【閑話】炬燵
私は、銀盃花のウェヌス。
囲まれた菜園と愛と美の女神。あるいは怠惰と無精の女神。
電脳辞典にはそう書いてあるんだって、へー。
誰が教えてくれたんだったかな、アンキーセース?
まあいいや。
ウルズの泉の法廷で私の有罪が確定してからというもの、主神に管理者権限剥奪されて今ではしがない一般管理者。
ここ私の世界なのに。
誰かに一般管理者じゃなくて囚人だから、とか言われた気もするな。誰だっけ?
まあそれもいいや。
今の目標はこの世界からの脱獄。抜け穴探して七転八倒の真っ最中。
「こったつっだよー!」
「ワヒョーィイ!」
またもや駄女神から白い部屋へのご招待。
「相変わらず、キモイ叫び声だよねwww」
「これはこれはウェヌス様。それは確かにこたつ、ですね」
白い銀盃花に囲まれた菜園の真ん中にコタツをおいて、肩まで布団をかぶって横になってる。天板にはみかんと干し柿、あと急須と湯飲み。ああ、あの干し柿食いたいな。
前回来た時より周囲の銀盃花も熱でしおれてるように見える。いいのかそれ。
「でへへ〜、ネット通販で買っちゃったよー! こたつこたつー! これがないと冬は越せないからねー。こたつで寝るの大好き!」
「こたつで寝ると風邪引きますよ。というか、あの能力って(主に権利関係が理由で)使えないんじゃなかったんですか?」
「あんたがネット通販の贈物いらないっていうから、私が有効利用してあげたのよ」
「そんなことしてると、また訴えられますよ?」
「ビュッビュとか言わなきゃ大丈夫っしょ」
言ってるじゃん。
「もうバレないようにお願いしますよ、それバレたらこっちまで被害及ぶんですから」
「スタンドアローンじゃないんならなんとでもなるわよ。脆弱性なんてどこにだってあるしね」
「いや、やり方の話じゃなくて結果の話してんだよ、人の話を聞けよ駄女神」
「あんたも何か欲しいものない? 今の所、西◯のネット通販しか使えないけど」
全然聞いてないし。でもネット通販か。
「うーん、どうしようかな。欲しいものならいくらでもあるけど。いや、やっぱりいいです。いらないです。片棒とか担ぎたくないんで」
「あんたのとこ女の子は生理用品、男の子は味噌と醤油もらって行ったわよ?」
あいつら……。
「何にもいらないっていうなら、主神からの贈物もいらないかな?」
「ウェヌス様大好き!」
「今更そういうのいいから。でね、飛行時間延長とインターネット接続できるようになる能力どっちがいい?」
インターネット接続、だと!
ついにきたか……!!( ゜д゜ ) ガタッ
そんなエサで俺様がクマー!!(AA略)
いやいやいや、どう考えてもそれ罠じゃん。前回のネット通販と同じで選んでも使えないパターンだろ。
でも。
ネット接続できれば色々捗る。絶対俺の方がユージより上手くインターネッツを使いこなせるはず!
「飛行時間延長でお願いします」
「チッ」
いま、舌打ちしたよね?
「この間、4秒飛んだら意識も飛んだんですけど、どれくらい時間伸びるんですか?」
「今の体力だと大体2秒くらいかしら。体力消費は同じ感じだから気をつけてね」
2秒。
「ありがとうございます!」
「つまんないの。ちなみに今回も飛行時間延長は主神からの贈物で、ネット接続能力は私から。当然ながら権利関係で使えないハズレチートだったんだけどねー!」
「ネット通販できるのにネット接続はできないんですか?」
「それは今から!」
さいですか。
「ところで他の二人にはどんな贈物あげたんですか?」
「え、味噌と醤油とナプキンだけど? さっき言ったじゃん。ちゃんと聞いてなさいよ」
あいつら……。
「そういえば、残り刑期49万9768年だって。イイヨイイヨー。この調子でどんどんヤっちゃってー」
「おぉ、今回の防衛戦で住民数分減刑ですか!? もしそうなら住民数50万人の国とか防衛すれば一発じゃないっすか!」
「私の管轄で一番住民数多いのあんたのとこだけどねw まあでもこれ使えそうだよね、マッチポンプっていうんだっけ?この調子でシクヨロー」
うちが住民数ナンバーワンってどういうことだよ……orz
相変わらず他のニートはハーレムとか食堂経営とか別のことして楽しんでるってことですかそうですか。
歌う月12
住人数についての報告
報告者:モットー ドリュアス
移住希望者:4名
人間(3)
白熊人:1
死亡:人間1名
詳細は別紙にて
住民総数:120
内訳:
招来者:5
人間:91
ドワーフ:8
吸血鬼:4
ハーフエルフ:3
熊猫人:2
人狼:2
猫人:2
白虎人:1
龍人:1
白熊人:1
以上




