たとえ婚約破棄される運命だとしても…。
自分の趣味です。
私は14歳の久留米あかりといいます。
大手ゲーム会社社長の娘であり、将来は嫁ぐ身です。
無論、婚約者がいます。
「あかりちゃん!」
『…帝』
菊切帝。こちらも大手食品メーカーのボンボンです。
「今日ね、母様の誕生日なの!」
『そっか。じゃあ、お祝いしなきゃね』
同い年だが、私は冷めきった性格で無邪気な帝とは全然違う。
そのため、婚約者より兄弟みたいだ。
「あかりちゃんさー」
『うん?』
「指輪はどんなのがいい?」
『ぶふっ…み、帝!?』
ちょっと色々噛み合わないが、日々、楽しく過ごしている。
『いらないよ、指輪なんて』
「えー、なんで?」
『だって政略結婚だし…それに』
「…それにー?」
『……指が重くなる』
私の発言に、帝は笑った。それはもう、お腹を抱えるレベルで。
…でもそんな理由じゃないんだ。
どうせ、婚約は破棄される。
「帝様、あかり様!」
『あ…』
「羽奈!」
遠くから、可愛らしい女の子がかけてくる。
女川羽奈。彼女も大手会社の娘であり…
婚約者候補だ。
まだ10歳なため、婚約者にはできなかったが4歳差くらいどうってことない!…ってのが菊切家の考えらしい。
『転ばないようにね、羽奈ちゃん』
「はいっ、あかり様!」
羽奈ちゃんは私を姉のように慕ってくれる。でも…私は彼女を無意識にさけてしまう。
だって私は彼女の代わり。羽奈ちゃんが14歳…私と帝が18歳になると同時に、婚約は破棄されるんだ。
「あかりちゃん、羽奈がバラを見たいって…」
『…?行ってらっしゃい』
「違うよ、…あかりちゃんも、行こ?」
不安そうに私を伺う表情が可愛いくて、…つらくて。
『あ、…ごめん。私、帝のお父さんに呼ばれてるんだ』
「…そっか」
『羽奈ちゃんと行ってきな?』
「……うん」
私はあなたに嘘しか言えない。本当のことを言えば…偽物なのがつらくて、つらくてたえられない。
大切な弟と、…愛しいあなたと一緒にいたい。それでもあなたは告げる。
"婚約を破棄しよう"、と。
私は羽奈ちゃんみたいに可愛くないしん素直じゃない。ツインテールでもないし、金髪でもない。
…冷めてて、あまのじゃくで、伸ばしている黒髪がトレードマークの私。
『帝』
「なあに、あかりちゃん?」
『…あとで、一緒に本を読もう?』
「うん、いいよ」
それでも今だけは…あなたの傍で、安心させて。
いつかあなたが私を捨てようとも、私は大好きだから…。
現実から目を背けた私は、甘い甘い夢をを見る。
続きをかこうか悩みます…。