Data2.Enemy
オペレーター室にて。
俺とルキナはオペレーター室に着くと、アリサから「もう少し待っててください。」と言われ、結局この場で待機する形になった。
そして…俺たちを含め20人位になったところで、アリサの話が始まった。
「もうじき、C級隊員の昇格試験第二部、戦闘実践があります。そこで、A級隊員に見張り役のようなものでC級隊員の試験官をしてもらいます。それでは、各隊員のデータをインプットするのでここに並んでください。」
インプット後、再びルキナと行動することとなる。そのときルキナは、
「あんな事でサイレン鳴らすかしら…?」
と苛立ちを見せながら呟いていた。
だが、そんなことよりも担当の隊員である。俺は話すタイミングを待っていた。
そして、ルキナの苛立ちもおさまったころ、俺は話しかける。
「ルキナの担当はどんな奴なんだ。」
「えーと…それなりに成績は良いかも。ちなみに、女の子ね。アンタは?」
「男だ。首席らしい。」
「首席って…ええっ!?一番の子?」
ルキナにとっては驚愕だったかもしれない。だが、事実は事実だ。
実際、俺の担当は戦闘にしろ学力にしろかなりのものだった。だが…それにしてもだ。
(何故俺を担当にする必要がある?)
ふと、そんな考えがあがった。
そこまでの天才あるいは秀才レベルのやつならば、ある程度の成績のA級でも良いのではないか?
とすると…、ロクでもないのだろう。そいつは。
他の奴らからすれば酷い偏見に聴こえるかもしれないが、そんなことはどうでもいい。
俺たちはただ静かに、廊下を歩いて行った。
3日後、昇格試験第二部当日。
担当の隊員とペアになり、堅苦しい挨拶から始まる。
「これより、昇格試験第二部を開始する。くれぐれも無理をしない程度に行動するように。」
そうして、外へと出た。
「やっと始まったな。」
俺の隣でそう言う声がした。担当の隊員、ロニだ。
「エネミー5体倒せば試験合格か…。なんだか甘いな~色々と。」
「油断していると足元をすくわれるぞ。」
「そのぐらい分かってますよ。トワさん。」
さっきまで分かっていなかっただろう。そう言いたかったが、こいつの実力を見てからだな。
だが、その前に一つ、首席としての知力を見ようじゃないか。そう思い、俺は話を切り出す。
「エネミーの生態は知っているか。」
「もちろんですよ。力はあるけど知能がなく、ただ見境なく敵だと判断したものをねじ伏せる。あと…っ!」
そのとき、ロニの話が止まる。どうやら出てきたらしい。
「やっとかよ。ったく、退屈させんなよ!!」
そう叫ぶと、ロニは無防備な状態で飛び込んでいく。本当に大丈夫なのか?
だが、心配する程でもなかった。ロニはエネミーの重い一撃を華麗に避け、その隙を突き大量の弾丸を浴びせる。
そして、あっという間に終わってしまった。天才だというのはあながち間違いではないようだ。
ロニは、俺の方を向き「どうよ?」と笑顔で言ってきた。
「合格だ。怪我もないようだな。」
そういった後、一つだけ気になったことがあった。
「ロニ。戦う前、何か言いかけたような気がするが…あれは?」
「ああ、エネミーの生態の続きですね。あれ、人間が進化したかのようにも見えるらしいけど、違うんだとか。」
「むしろ人間が退化した姿とでも?」
「まあ…そういう事ですね。」
「誰から聞いた?」
「エネミー研究員のエデン博士からです。ちょっとした話で聞きました。」
「なるほどな。…!着いたな。」
気が付くと、もうアークの本部基地だった。俺たちは結果を報告した後、あの休憩所へと向かった。
休憩所に着き、早速座ろうとすると、一人の少女が焦ったような表情で俺の目の前に来た。
「あ…あの、トワさんですか?」
「そうだが、お前は?」
「スーと申します。ルキナさんから聞きました。」
「俺に何の用だ。」
するとスーは、思いもよらない一言を発した。
「エネミー研究員のエデン博士が、突然いなくなったんです…!」