その25:輝く腕輪
レジスタンスたちの食事が終わり、見張りを残した五人がレティシアの元へと集まってきた。ハンターが放った発光弾も光を失ったため、室内は月明かりで淡く照らされている。
「さて、自分がやったことを反省したか?」
尋ねられるも、シングマス王は否定するしかなかった。心当たりのない謂れを、反省などできるはずがない。
あきれつつ、レティシアはシミターを頭上へとかざした。月光に照らされた剣先が、シングマス王へと向けられる。
間にはファリスの姿があるものの、レティシアはまったく引こうとしなかった。
「こんな暗君のために、無駄に命を散らすのか?」
「シングマス王は暗君などではない」
「まだそんなことを言っているのか? お前のような重臣が、数々の悪行を知らないとは言わせないぞ?」
「重臣だからこそ……いや、仲間だからこそ、胸を張って言える。どんな経験をしたかは知らない。だが、貴様が一方的に感情を押し付けているだけだ」
「だ、だまれ!」
シミターの剣先が揺れ、ファリスの頭上へと振り上げられる。
刹那、薄暗い室内に、青と黄色の光が点滅し始めた。レティシアの動きがピタリと止まり、光の出所を確認する。
それは、二人の特殊部隊長の腕輪から放たれていた。
「な、なんだ、貴様、何をした!」
顔をしかめるレティシアをよそに、ファリスも顔色を大きく変える――予想外の事態が起こったかのように。
「まさか、レッシュが!? 余計なことを!」
ファリスが叫んだと同時に、二人の姿が消えた。同時に室内を照らしていた青と黄色の光も消えうせる。
「ど、どういうこと?」
今まで黙っていたシェラがこそこそと、ハンターの耳元で尋ねる。ハンターは事も無げに、ぼつりと呟いた。
「特殊部隊の緊急招集だ。これが発動すると、ディヴァイナルの作戦会議室へとワープさせられるんだ」
「ああ、なんかそんなこと、レッシュが言ってたような……ってことは、わたしたち見捨てられちゃった?」
顔を強張らせたシェラに、ハンターはすかさず頭突きを食らわせる。
「いたっ!」
「あいつらを信じろ。特殊部隊の名はダテじゃない」
「だ、だけど……」
苦痛で顔を歪めつつ、シェラが反論をしようとする。それを止めるよう、ハンターは口早に伝える。
「とりあえず、できるだけ時間を稼げ。時間がたてばたつほど、シングマス王の生存率は上がると言っていい。それはすなわち、俺たちの生存率も上がるということだ」
「わ、わかった」
ハンターの言葉には力があり、自信に満ちていた。ファリスとレッシュはもちろん、他の隊長とも知り合いなのかもしれない。
目をこすりながら、視界を取り戻そうとするレティシア一味。時間を稼ぐためには、なにか行動を起こさなければならない――その行動を考える時間も、あとわずかしかなかった。