その24:確認と決意
「どうやら無事みたいね……」
天井に張られた窓ガラスから、レッシュが中の様子を覗き込む。一瞬だけシングマス王と目があったものの、シングマス王はすぐに視線をそらしてしまった。
「あいつらにバレないようにか。それにしてもハンターとシェラを除いた全員とはね……骨が折れそうだなぁ。といっても、助けないわけにはいかないし」
レッシュは窓ガラスにコンパス状の器具を取り付けると、慣れた手つきでガラスに傷をつけていった。円盤状に切り取られた窓ガラスを取り除くと、直径一メートルほどの穴が開く。
もちろんレッシュは、そこに飛び込む気などなかった。そんなことをしても、あっさりと捕まって終わるだけだ。
レッシュは上半身を穴から会食場へと入れて、宙吊り状態でデザートイーグルを構えた。だが、フラフラと揺れてしまう不安定な体のせいで、照準が思うよういかない。
「ダメだ。これじゃあ、外したら最後ね。狙い打ちにされる……」
フランカーと同様に、レッシュにも焦る気持ちがあった。シングマス王と同じぐらい尊敬している、ファリスの姿が目に焼きつく。
ファリスはシングマス王の前で、体を張っていた。このまま自分がミスをすれば、シングマス王の前にファリスが殺されてしまう可能性が高い。
「ここにいるのが、お姉ちゃんだったら……」
そう、ファリスなら、きっとライフルを使って的確に的をしとめるだろう。穴から覗き込まなくても、穴から銃身の先を入れればいい。
「……待てよ?」
レッシュの脳裏に、一筋のひらめきが降臨する。レッシュは急いでフランカーの元へと戻っていった。
「フランカーさん」
「おおっ、中の様子はどうだった?」
「まだシングマス王は生きてます。それより……」
フランカーの耳元で、先ほど閃いた作戦を説明する。だが、フランカーはあまり乗り気ではなかった。
「時間との勝負になるぞ?」
「でもわたしが思いつく限りの作戦では、これしかありません。フランカーさんはここで待機しておいてください。中で銃声またはガラスの砕ける音が聞こえたら、突入をお願いします。それと、銃弾を防げるような大きな盾を用意した方がいいかと……」
「分かった」
レッシュはすぐにその場を走り去った。目的地は城内の一室――特殊部隊の本部だった。