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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

水仙

作者: A.N
掲載日:2026/04/22

青酸カリ0.2g

ヒ素300g

「やっぱり、そう簡単には行かないか」

リコリン10g

「リコリンって…」

庭の水仙がぼんやりと見える。勝手に生えてきた水仙。抜けば良いのだが、面倒くさいし綺麗だったから放置していた。誰も手入れしていない割には、毎年綺麗な花を咲かせている。らしい。ここ最近、彼女には何かを綺麗と思った記憶がない。「心が荒んでるのかな」心の中で苦笑いをした。

 『早く死んでしまおう』そう思って自殺の方法を調べていたのだが、画面を埋め尽くすほどの相談窓口と「1人で悩まないで」の文言にため息が出た。先生に相談したこともあるが、カウンセリングを勧められるのがオチだった。『貴女に聞いて欲しかったの』『貴女に甘えたいの』『貴女だから泣けるの』そんなこと言えるはずもなく、そのうち誰にも話さなくなった。

 気づけば1時間経って、検索履歴は(自殺)と(S◯X)で埋め尽くされていた。「大事にされたい」「構ってほしい」それが彼女の口癖だった。大して顔立ちは良くないが、一度だけナンパされたことがあった。人気のない駅、電車を待っていると耳元で「5000円でどう?」と、くたびれたスーツの男に声をかけられた。その時はスルーしたが、後になってから後悔した。「適当に相手して30000くらい取ればよかったなぁ」欲求不満になるたびに思う。

 そのうち心の中は『大事にされたい』という感情で埋め尽くされた。外を見ると、庭の水仙と目が合った。彼女は突然、庭へ駆け出した。夜露に濡れた葉をちぎり、口いっぱいに頬張る。朝日が昇るにつれて、指先が震え出した。眩暈がする。視界が白く霞む。

 満開の水仙が咲く庭に、一輪の造花が植えられた。

 

 



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