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<R15>15歳未満の方は移動してください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

なぜでしょうね

なぜ自分は裏切っても裏切られることはないと思ってるんでしょうね

終盤、お食事中の方にはおすすめできない(グロ系)描写がありますのでご注意ください。

なかなか良い火力が出せたと思います。

「ほんと使えねえな」

 空気同然に扱われていたあたしに対して、久しぶりに向けられた言葉がそれだった。

「この女もういらねえや」


「……どういうことでしょうか」

「これだから頭が悪い女は嫌なんだよ。もう用済み、辛気臭えからもう近寄んな」


 大怪我した息子を治して欲しいと代官様に頼まれて、領地の外れからやってきた。あたしの家は病気の弟がいて貧しく、薬代が必要だったから。

 あたしの治癒魔法で治せるのは怪我だけ、病気は治せない。弟に街のお医者様の診察を定期的に受けさせてくれるという約束で、あたしは街に出てきた。

 それが、三年前。



 代官様のご子息様の怪我はひどかった。

 馬車の事故でこんなにひどい怪我をするなんて、田舎では考えられない。街ってこんなに怖いところなのか、想像してぶるりと震えるくらいにはひどかった。傷からばい菌が入って、熱にもうなされていた。


 よく死ななかったな。そう思いながら身体に手をかざし、自分の魔力をしばらく流していると、まぶたがうっすらと開いた。

『……なんだてめえ』

『代官様に頼まれて来ました治癒魔法士です。ひどい怪我なので、そのまま横になっててください』

『……はっ、少しは気が効くじゃねえかクソおやじ。おいてめえ、しっかり治せよ』

『頑張ります』



 下働きとして雇われた領内の同年代の子たちと一緒に、大部屋で寝泊まりをする。

 食事は乾いたパンと具が少ないスープ。家と違って寒さに震えることはなかったけれど、山羊のミルクが飲めなくなったり、田舎ではよく見る野生の果物を食べられないことが悲しかった。

 野いちごは、酸っぱいけれどとても元気が出るから好きだったのに。ベッドからほとんど出られない弟にも、よく持って行っていたな、と思い出しながら、窓際に座って外を眺めていた。


 弟は、両親は、元気なのか。あたしが病気も治せたなら、離れ離れに暮らすこともなかったのに。あたしの力で、元気にしてあげられたのに。



 三ヶ月くらいでご子息様が回復してからは、高貴な方々の傷を治癒することが増えた。

 寝床は保証してもらえているから、お給料は全部実家に送ってもらっている。弟の様子を見に実家に帰りたいと代官様にお願いしても、ちゃんと見ているから心配いらない、それよりも治療費や薬代がかさんでいるから、お前が稼がなければその分の金を請求するぞと言われ、一度も帰っていなかった。


 怪我しか治せないのに、病気を治療しろと言ってくる人もいた。

 言葉遣いがなってないから仕事中はしゃべるなと言われていたけど、どうしようもないので『できません』と断ると、お客様にも代官様にも激しく打たれたりした。

 自分の怪我は癒せない。そんな日は痛みを我慢して眠るしかなかった。使用人仲間がこっそりくれる湿布が、冷たいのに温かかった。


 弟にも、家族にも手紙を書いた。元気?薬は飲んでる?良くなってきた?

 薬があっても、ちゃんと食べて眠らなくちゃ良くならない。手紙は初めは返事が来たけれど、季節が変わる頃には届かなくなった。

 頼りがないのは元気な証拠だと、自分に言い聞かせてきた。



 ある時から、治癒魔法の効きが悪くなった。いつも出してる力を五とするなら、八まで出さないと治せない。

 見た目だけはきれいに治すようにした。傷を治さなければまた打たれる。肌がきれいなら、満足して帰ってくれる。



 ――そうやってごまかして、やり過ごしてきた三年間。

「ご、ご子息様」

「あん?近寄んなって言ってるだろ」

「お暇をいただくのは良いんですが、弟は、弟の病は治ったんでしょうか」

「は?死んでんじゃねえの?」



 ……今、なんて?



「死んで……え?代官様はあたしがご子息様の怪我を治す代わりに、お医者様を」

「あー、そんなこと言ってたな。すぐ辞めたってよ。不治の病だから金かけるだけ無駄だって」


「じゃあ、どうしてあたしは」

「金になるからに決まってんだろ!?あと最初は多少可愛いからそのうち唾つけてやろうと思ってたのにどんどんガリガリになるから搾り取れるだけ搾り取れって親父に言われたんだよ!

 でも今はもう切り傷ひとつ治せねえじゃねえか。もう出涸らしになっちまったから用済みだっつってんの。とっととどっか行けよ」


 頭が真っ白で、言葉が何も入ってこない。


「ああ、そうだ、これやるよ」

 右手をつかまれ、古びた腕輪をつけられた。真っ赤な石がギラリとあやしい光を放つ。

「餞別だ。荷物まとめてとっとと出てけ」


 三年前に来た時の肩掛けカバンに勝手に荷物を詰めこまれ、あっという間に邸の外へ放り出された。



 ***



 外は雨。

 灰色の空の下、涙も出ないあたしの分まで、泣いてくれているみたいだ。



 ずぶ濡れになって街を歩く。

 まずは家に帰らなくちゃ。弟は本当に死んでしまったのか、確かめなくちゃ。


 でも、金をかけるだけ無駄、ということは、治療は……きっとされてない。


 ぬかるみに足を取られて、危ないと思った瞬間には顔からビタンと地面に叩きつけられていた。

 立ち上がり、また歩き出す。口の中、ザリザリとした砂の食感が気持ち悪い。


 家までどう帰ろう。馬車を乗り継いで……でも、この泥だらけの格好で馬車に乗せてもらえるかな。

 とりあえず乗合馬車の乗り場まで向かおう。そう思って歩いていくうちに、雨が強くなった。

 どこかで雨宿りをしようかと辺りを見回しても、大きな木の下は雨宿りをする人でいっぱい。あたしが入る隙はない。


 大粒の雨があたしの身体を突き刺してくる。シャワーみたいだな、とぼんやり思った。


「あはは、あたしってば、馬鹿だ」

「お嬢さん、ここにいては危ないですよ」

 馬鹿だわ、と口にしようとすると急に頭の上が暗くなり、見上げると黒いフードを深くかぶった人があたしに傘を差し出していた。



「あ、大丈夫です、ありがと」

「申し訳ない、あなたが代官の邸から放り出されるところから見ていたんです。このままあなたを放っておけないので、ついてきていただけますか」

 ありがとうございます、と続けようとしたところでまた話を切られた。


「……わかりました」



 この人、何か変。

 そう思ったけど、この格好じゃ馬車に乗れるかもわからないし、ひとまずついて行くことにした。


 もし、弟が……弟だけでなく家族みんなが、もうあの家にいないのだとしたら。

 あたしにはもう居場所も行く場所もないから、騙されたり、殺されたりしても良いか。

 そう思いつめるくらいには、生きる意味をなくしていた。


 そうして連れてこられたのは、娼館でも奴隷商人のアジトでもなさそうな、小さなアパルトメントの部屋。

 どうぞと言われて中に入ると、静かに後ろでドアが閉まった。

 置かれた家具は特別高級じゃないけれど、部屋の中は暖かくて、まるで家に帰ったかのような気持ちになって。


 気付けば涙が、頬を流れていた。


「浴室に行きましょう」

 あたしをここに連れてきた人物がフードを脱いだ。

 最初、少し声が低い気がしたから男性かなと思っていたけど、気のせいだったのかな。頭の二箇所、高いところで髪の毛を丸めた黒髪の女の人。歳はあたしとあまり変わらなさそう。


 パチパチとまばたきして見つめていると、彼女は気の毒そうな顔をしてあたしに微笑みかけた。

「私の名前はシャオ。とある捜査であの家を調べているの。まずは身体を温めましょう。その後、話を聞かせてもらっても、良い?」



 温かいお風呂なんて、最後に入ったのいつだったかな。

 少なくとも、代官様のお邸ではなかった。身体を拭くのは、どんな日でも水だったから。


 泥だらけの服を脱いでお湯に入ると、あっという間にお湯の色が茶色く染まった。

「あ、ごめんなさい、汚れてて」

 と浴室の入口近くに立っていたシャオさんを振り返ると、彼女は目を閉じて首を横に振った。

「問題ないわ。あまり良い環境でないという話は聞いていたけど本当みたいね。すぐお湯を替えるから、そのまま浴槽に入っていてね」

「は、はい」


 シャオさんが浴槽に近付いてきて、ボタンを押した。するとお湯が一気に抜け、透明なお湯ですぐに満たされる。

「!!?」

 驚いてシャオさんの顔を見る。

「ふふ、この浴槽が魔道具なの」

 あたしの反応が嬉しかったのか、早口になった。

「私の師匠が開発したのよ。身体が温まって皮膚がふやけたら、きれいに洗いましょ。その間に、髪の毛を私が洗っても良いかしら」


 高貴な方の怪我を治すために、髪の毛は梳かして油を塗られて、それを毎日三つ編みにして、最低限整って見えるようにしていた。

 シャオさんが、それを石鹸を使いながら何度も何度も洗い流して、やっと髪のきしみが取れた。

「身体の方も洗えそうかしら。少しくすぐったいかもしれないけど、自動で洗ってくれるからそのまま浸かってて。頭もマッサージしながら洗うわね」



 はっと気がつくと、口を開けて眠っていた。浴槽のお湯が抜けて、身体が泡だらけになっている。

 そして頭も揉みほぐされて、まるで天国にいるようにフワフワとした心地。


「あっ、ごめんなさい、寝ちゃってました」

「ううん、大丈夫。ぐっすりだったわね。泡を流すのにもう一度お湯を張るわ。しっとりする成分も入ってるからミルクみたいに白く濁ったお湯だけど、故障じゃないから心配しないで」


 そして身体の泡を流してもらい、シャオさんが持っていた部屋着を着せてもらう。少しぶかぶかしたその部屋着は、とても着心地が良かった。

 髪の毛を魔道具を使って乾かしてもらうとすっきりとして、身体だけじゃなく心まで洗ってもらえたような気がした。



 ソファに座ってハチミツがたっぷり入った温かいミルクを飲み終えると、スツールに腰掛けていたシャオさんが話を切り出した。

「それで、何があったか聞かせてもらいたいんだけど、ええと……」

 視線を上に向けながら数秒考え込み、「ごめんなさい!」とシャオさんがあたしに頭を下げた。

「私ってばあなたの名前を聞いてなかったわ。今さらだけど、お名前、教えてくれる?」


「ソフィアです」


「ソフィアさんね。ソフィアと呼んでも良いかしら。私のこともシャオと呼んで。口調も崩して構わないから」

「……うん。よろしく、シャオ」


 あたしの答えににっこりとシャオが笑った。初めの印象よりもだいぶ話しやすそうだ。

「それであたし、何から話せば良いのかな?」


「確認したいことがあるの。そのために、まずソフィアが今右手に着けてる腕輪について教えて欲しい。それはいつから着けてるの?」

 右手を見る。ひんやりとした腕輪は、ついさっき着けられたもの。


「お邸から追い出される時に、代官様のご子息様に着けられたの。餞別だ、って」

「……今日?」

「うん、今日。急にご子息様にお前はもう用無しだって言われて。あたし、病気の弟のため……痛っ!!」

「!!大丈夫!?」


 急に頭が痛くなる。ぎゅうぎゅうと締め付けられるような痛み。息が、できない。

「ぐ……いた、痛い……っ」

「ソフィア!」


 そして首も絞められているかのようにギリギリと痛くなってきた。

 意識が遠くなる……ああ、みんなのそばに逝けるなら、それでも。


「待っててね、すぐに楽にしてあげるから!」


 シャオがあたしの手を取って、腕輪の石に何かを突き立てた。

 すると、頭痛があっという間に引いて、呼吸も楽になった。


「……かはっ!!」

 喉をおさえてぜえぜえと息をしていると、シャオが背中をさすってくれる。

「ごめんねソフィア!本当にクソみたいな魔道具使いやがって……!」

「……ま、魔道、具……?」

「大丈夫、今あれでぶっ壊したから」

 足元に落ちている針がついた道具をシャオが顎でしゃくった。

「シャオ、この腕輪は、魔道具なの?」


 シャオは痛々しげな表情を浮かべると、あたしの手首から腕輪を抜き取った。

「……これは、話されてまずいことを口にしようとすると、装着していた人間を口封じのために殺す魔道具よ」

「!!?」

「……クソったれ」

 シャオが吐き捨てる。


「外そうとしたことは?」

「ない。今日勝手に着けられたばっかりだったから。まさかそんな理由だったなんて」

「それが正解。外そうとした時点で呼吸困難になった可能性が高いわ。これ、解析に出すわね。借りても良い?」

「借すもなにも……もういらな」

「証拠になるわよ」

「証拠?」

「ソフィア、あなたを殺そうとした証拠よ」



 あたしを殺そうとした、証拠。



 その意味がわかって、急に震えが止まらなくなった。

「……なんで、そんな……」

「一度落ち着きましょう、ソフィア」

 シャオがあたしを楽な姿勢にさせてくれる。そして、奥の部屋から毛布を取ってくると、背中からかけてくれた。


「すぐに解析に出すわね」

 テーブルの上に魔方陣が描かれた紙を広げると、その上に壊れた腕輪を乗せる。魔方陣がぼうっと光って、次の瞬間には腕輪が消えていた。

「これでよし、と。仲間がすぐに見てくれるわ」

 ひとつうなずくと、シャオがこちらを見た。


「私は、違法魔道具の捜査をしているの」


「違法魔道具?」

「そう、魔道具といってもなんでもやって良いわけじゃないのよ。人を殺める魔道具もあるけど、それは使える人が限られてるの。そもそも流通していない。

 ……だけど、こういう非人道的な魔道具はどうしても作られてしまう。そしてその被害に遭う人もいる。私がいるところは、こういう魔道具の取締りをしてるの。作ってるやつも売ってるやつも使ってるやつも全員捕まえて裁いて罰する。私はその一員よ」


 隣に座ったシャオがあたしの右手を優しく撫でてくれる。ついさっきまでこの手首に、あたしを殺すための魔道具がはめられていたんだ。


「最近、違法魔道具がこの街で使われていたとわかって、仲間と交代で張り込みをしていたの。そんなに頻繁に使われるものではないから長期戦を覚悟していたんだけど、まさかこんなに早く使われるなんて思わなかった。本当なら着けられる前にあなたを助けられたら良かったのに……遅くなってしまってごめんなさい」


「……ううん」

 静かに首を振る。

「そんなことない。助けてくれてありがとう。

 あたし、あのまま故郷に帰ろうとしていたから、声をかけてもらえなかったら、途中で死んでいたかもしれない」


 そうだ。あの時声をかけられなければ、あたしは必死に帰ろうとして、帰る途中や故郷で事情を話そうとして……死んでいたかもしれない。


「そう言ってもらえて、良かった」

 あたしの手を握るシャオの力が、強くなった。

「ソフィア、話してもらえる?あなたがどうしてこの街に来て、何をしてい」


 ピーピーピー


 魔道具、なのかな。窓際に置かれている箱型の物体から音が鳴った。

「えっ」

 シャオがびっくりした声を上げた。

 それと同時に室内に風が巻き起こり、思わず目をつぶる。


「ちょっと!ヨル!」

 シャオの声に目を開けると、青い髪の男の子が、あたしの顔をのぞき込んでいた。

「きゃっ!」


 その男の子は、あたしの目をまじまじと見つめると、深いため息を吐いた。

「……良かった、大丈夫だ」

 今、一瞬、眼がギラッと光っていたような……。


「ちゃんと事前に連絡をちょうだいよヨル。服を着てなかったらどうするの!?」

 シャオがヨルと呼んだ男の子は、シャオの方を振り返ると、気持ちを押し殺したような声で答えた。

「あれ、精神干渉魔法も組み込まれてた」

「なんですって!?」

「だからすっとんで来たの。大丈夫そうで良かったよ」


 十五、六歳くらいかな。

 あまり歳が変わらないように見えるその男の子が、あたしを見てにこりと微笑んだ。

「僕はシャオの仲間のヨルム。ヨルって呼んでね。

 早速だけど、今に至るまでの話を聞かせて欲しい。話を聞きながら、おかしな魔法にかけられていないかも見るから」



 テーブルに置かれた箱は、記録用魔道具。

 あたしの異変もわかるらしい。

 今度は頭痛も、気分が悪くなることもなく、最後まで話せた。


「ありがとう。うん、話を聞いてても異常はなかったから、もう大丈夫だと思う。

 あと、僕は医術の心得が少しあるんだ。君の身体を診せてもらっても良い?」

「うん」


 まぶたの裏と舌を見られ、手首に指を当てられる。

「……随分栄養状態が悪いね。食べさせてもらえてなかった?」

「食事は食べられたけど、栄養はいまいちだったと思う」

「治癒魔法が使えるんだったよね」

「そう。怪我しか治せないけど」

「……なるほど。立てるかな?魔力を診たい」

 小さくうなずき立ち上がる。ヨルはあたしの前に立つと、「失礼するね」と言ってあたしの両手を持った。


「力を抜いてね。もし気持ち悪くなったら教えて」

 そう言って、ヨルが目を閉じた。あたしもならって目を閉じる。

 少しして、身体が内側から温かくなった。とても気持ちいい。


「ありがとう、もう大丈夫。座っていいよ」

 ヨルに話しかけられて目を開ける。身体がすごく楽になった気がする。

「シャオ、薬を持ってきたから飲ませてあげてくれる?テーブルの上のやつ。……ちょっと僕、考えをまとめるから」

「了解」


 シャオの返事を聞いて、ヨルが窓際にある椅子に座った。

「ソフィア、少し待っててね。薬を準備するわ」

 シャオはあたしに声をかけると、テーブルの上の紙袋を持ってキッチンへ入っていった。


 今のは診察?それとも治療かな。

 内側から力が湧いてくるような感じがした。

 あたしが怪我の治療をする時よりも、もっと深いところを()()()()感じ。

 ヨルを見ると、あごに左手を当てて、目を閉じて考えごとをしていた。


「お待たせ」

 シャオがティーポットを持って戻って来る。

「身体の調子は、どう?」

「うん、少し楽になった。あれって治癒魔法なのかな?」

「治癒魔法もあると思う。ヨルは緻密な魔法操作が得意だから」

 コトン、とテーブルにマグカップが置かれた。

「一気に飲まなくても大丈夫。苦かったら、ハチミツ入れるから言って」

「ありがとう」


「あの、シャオ。最初にヨルが言ってた精神干渉魔法って、何?」

「……わかりやすく言えば、洗脳よ」

「洗脳!?」

「確実にソフィアを殺すつもりだったんでしょうね。悪質すぎる」

 イライラを隠さずにシャオが言った。

「出会った時にすぐ気付けなくてごめんね。私は耐性があるからわからなかったんだと思う」


「洗脳って、どういう風に……?」

 洗脳が殺すことになる仕組みがよくわからなくて、シャオに尋ねる。

「さっき、話そうとした時に苦しくなったでしょう?引き金になる話題を口にさせるようにするのよ」

「なんて、ひどい」

「ここまで悪質なのは初めて見るわ。過去に使われたものも同じ型かもしれない」


 悔しそうなシャオの顔をチラ見しながら、マグカップの中身を一口。あまり苦くなさそ……

「……にがぁい」

 飲み込んだ後に一気に苦みが来た。

「ああ、やっぱり苦かった?ハチミツ、入れましょうか」

「お願い……」

 シャオがたっぷりとハチミツを入れてくれる。

「相殺まではいかないけど、さっきよりは飲みやすいはず」

「ありがとう」


 おそるおそる、一口。

「どう?」

「苦いけど、さっきよりはマシ」

「良かった。冷めても薬効は変わらないはずだから、焦らず飲んで」

「わかった」



「ソフィアちゃん」

 窓際のヨルから声がかかる。

「はい」

「もう一度、魔法をかけても良いかな?ちょっと気になることがあるんだ」

「大丈夫です」


「ありがとう。さっきと違う魔法なんだ。ちょっと気持ち悪くなると思うから、今度は座ったままで」

「さっきのは治癒魔法ですよね?今度は?」

「うん、さっきは診るのと同時に、軽い治癒魔法と回復魔法をかけたよ。今度は記憶を読む魔法」

「記憶を読む?」

「頭で覚えていることも記憶だけど、身体が憶えている記憶もあるんだ。今回特に確認したいのは身体の記憶。代官の息子の怪我を治していた時のことが知りたい」


 思ってもみなかった言葉に首をかしげる。

「ご子息様の怪我?」

「馬車の事故だとは思えない怪我だったんだよね?」

「うん、そう」

「その時の記憶、おそらく頭よりも身体の方が鮮明に憶えてると思うんだ。良いかな?なるべく気持ち悪くならないように気をつけるし、耐えられなくなったら止めるから」

「わかった」


 座っているあたしの前に、ヨルが跪く。なんだか王子様みたいだな、とぼんやり思った。

「それでは、お手を失礼いたします、()()()



 ***




 ひと月後、領主である伯爵親子と、代官一家が告発された。

 容疑は、違法魔道具の使用と聖女の報告および保護義務違反。


 なんと、あたしは『聖女』と呼ばれるほど強力な治癒魔法の使い手だったらしい。この国に生まれた百五十年ぶりの聖女。

 実は、病気も治せる治癒魔法を使えるだけの力があった。それなのに怪我しか治せなかったのは、栄養が足りていなかったから。

 祈りの力でもっと強い魔法が使える人もいるらしいけど、あたしは心と身体の状態が良くないと力が発揮できないタイプだった。


 ――君がもっと元気だったら、弟くんの病気も治せたと思う。

 そうヨルから聞かされた時、あたしは大声を上げて泣いた。

 家も貧しかったしどうしようもないと頭ではわかってても、どうしてもそれが、悔しかった。



 また、代官の息子が大怪我をしたのは、馬車の事故じゃなく、私刑だということがわかった。

 領主のご子息様が連れていらした留学中のご学友に暴力をふるい怪我させた報復。このご学友が、同盟国であるファクトリア王国の王子殿下だったのだ。


 少し浅黒い肌をしていたことから暴力をふるったらしい。そもそも肌の色が違うから暴行していいという理屈がまったくわからないけど、この王子殿下は国王陛下の寵愛を受けていた第三妃の忘れ形見だった。王位を継ぐ可能性は低くても、とても大事にされている人だったのだ。

 事件を知ったファクトリア王家がよこした人たちによって代官の息子はボコボコにされた。あたしが呼ばれたのは、その治療だったのだ。


 そして、領主親子はこの事実をもみ消した。


 どうしてもみ消せたのか。

 それは、代官の息子が被害者の第三王子が肌身離さず持っていた、お母様の形見を奪い、『誰かに話せばこれを粉々に壊す』と脅したから。


 そんな浅知恵で隠し通せるはずがない、あたしでもわかる。

 王子なのだから護衛などもいるのに、なぜバレないと思ったのか。

 王子が暴行をされた時、護衛たちは食中毒で動けなかったらしい。話を聞いてると色々怪しいけど、本当のところはわからない。


 形見は三年前の報復の時に回収され、無事に第三王子の手元に戻っていた。

『誰かに話せばお前たちの命はない』と脅されたとか騒いでいたらしいけど、当然だ。

 自分がやったことが返ってきただけなのに。


 発覚した時点で立派な国際問題。あっちは小さな国だからもみ消せると思っていたみたいだけど、そうはならなかった。

 これは、シャオやヨルの組織が大きく関わっているらしい。なんと、いざとなれば帝国の皇帝もいうことを聞かせることができるくらい特別なんだと聞いた。



 ……でも、国の上層部が国内からも国外からも一番批判されたのはこのもみ消しではなく、あたしの冷遇だった。


 治癒魔法を使える人間は貴重だから、本当なら見つかり次第国へ報告して、力を測ったり訓練をしたりするらしい。

 まず、代官や領主が報告をせずにあたしを隠した。そして報告を進言したお医者様は逆に弱みを作られて脅されてしまい、このお医者様があたしの弟を……見殺しにしたらしい。診察は振りだけで治療も薬も一切なかった。

 両親は、娘である()()()()()()()()()だと渡された腕輪を着けた後、弟の後を追うように亡くなっていた。きっと、弟がろくな治療を受けられなかったことを話そうとして、殺されたんだ。



 ところで、聖女と呼ばれるくらい強い力を持つ人間が、その力を出せるかどうかのポイントとして愛国心があるらしい。

 愛国心なんて元々ほとんどなかったけど、事実のもみ消しを図ったと知ってすっからかんになった。

 あたしの治癒魔法の力は、平均よりも少し上くらいまで下がった。


 聖女と呼ばれるほどの治癒魔法士は超貴重。他の国から一日でいいから来て欲しいと頼まれることもあるくらい。

 そんな聖女の能力を落とした。あたしが特訓すれば助けられたはずの命を見殺しにした。

 世界の非難はものすごかったらしい。あたしは知ったこっちゃないけど。


 治癒魔法士を管理・保護する国際的な組織もあって、うちの国は加盟国だった。

 でも今回のことで、()()()()だと世界に見なされた。



 あたしは国を出ることにした。この国に、思い入れも未練も全然なかった。

 受け入れ先として声をかけてくれた国はたくさんあったけど、ファクトリア王国に決めた。

 そう、代官の息子に暴行された第三王子がいる国。


 ファクトリアは気候が暖かくて犯罪もほとんどない。美味しいごはんとたっぷりの睡眠であたしはみるみるうちに元気になった。

 また、この国の人々はみんなすごくいい人で、あたしを温かく迎え入れてくれた。

 祖国と文化は違うけど、その文化こそが、あたしの手厚い保護を申し出てくれた一番の理由だった。




 ファクトリアに来て半年。

 あたしは、王都の中心にある闘技場に来ていた。満員の観覧席は、不気味なほどに静まり返っている。

「どうぞ、ソフィア様」

 エスコートしてくださった第三王子殿下に頭を下げてフィールドに入ると、顔を苦悶に歪めた男が一人、転がっている。


「……っはぁ、くそっ、なんで俺が」

「まだ悪態をつく元気があるんですね」

 声に反応して代官の息子がこちらに顔を向けた。

「お、お前……早く俺を助けろ!聖女なんだろ!」


「聖女?あなたにとってはただの金儲けの道具でしょう?」

 聖女として言葉遣いやマナーも教えてもらった。

 それっぽく首をかしげて見せると、男はつばを撒き散らしながら叫ぶ。

「良いから助けろ!この役立たずが!!」


 男の言葉を聞いて、静かだった観覧席から怒りがあふれる。

「役立たずは誰だー!」

「助けてもらえるなんて思うなよ!!」

「この人でなしめ!!」


 あたしは人差し指を唇に当て、ぐるりと観覧席を見回した。

 場内はすぐ、息の音だけになった。


「あなたのご家族やお仲間と、ここで殺し合いをして勝ち上がってきた気分はどうですか?」


 告発された人たちは、全てファクトリアへ身柄を移された。

 自分たちで裁く、という祖国の言葉が、信用されなかったから。


 亡き妃の忘れ形見を虐げ、権力で事実を塗りつぶそうとする者たちを、この国が許すはずもなかった。


『恩も仇も、受けたものは倍以上にして返せ』

 それが、このファクトリア王国の国是。

 倍加返報律(ばいかへんぽうりつ)、通称バイガエシ法典と呼ばれるこの国是があるから、ファクトリアの人たちは日々善い行いをしようという気持ちがとても強い。

 治安が良いのも、自分がしたことの倍以上の懲罰があることをよく知っているからだ。

 ちなみに、お返しのお返しは余計な争いの火種になるので行わない、ということも決められている。



「最後まで生き残ればとっておきのプレゼントをくれてやる、って言われてんだよ!!それが手前(てめえ)ってことだろ!?早く助けろ!!」


 代官や領主たちは、とっくに蠱毒の闘技場で互いに潰し合い、消えた。

 最後に残ったのが、この男。


 あたしが着けられたものよりも何倍も強い魔道具をはめられているはずなのに、よく喋るなあ。

 その精神力の強さは、褒められるものなんだろうけれど。


「はい、とっておきのプレゼント。それを差し上げに来ました」


 そう答えると、男は歪んだ顔でもわかるくらいに嬉しそうな表情をした。

「そうだ、は、早く助けろ!!」


「そんなに急かさなくてもすぐ差し上げますよ。さあ、まっすぐ横になってくださいね」

 どこにそんな気力があるのか、あっという間に仰向けにまっすぐ横たわった。


「青い空がきれいですね。さあ、目を閉じて」


 あたしの言葉どおり、目を閉じた罪人の胸のあたりに、両手をかざす。

 深く息を吸い込むと、あたしは見世物の始まりを静かに告げた。


「まずはあの日の絶望から」


 手のひらから黒い雫がこぼれ、男の身体に落ちる。

「ぎゃあああああ!!」

 男が身体を硬直させて断末魔の叫びを上げた。


「今味わってもらっているのは、弟が死んでいると知った時の私の絶望です。

 次は、腕輪によって私が受けた苦痛をどうぞ」



 ***



 身体が回復してから始めたのは、治癒魔法の訓練と研鑽。

 本来であればすぐにやるべきことに、ようやく取り組むことができたあたしは、自分の治癒魔法の能力が、聖女と呼ばれるくらい高いことを知った。


 そして、あたしが初め病気を治せなかったように、治癒魔法士それぞれに得意分野があり、また固有の魔法も使えることも知った。

 あたしの固有魔法では、自分が癒したもの――怪我や病気など全てを――身体に蓄積して、誰かに与えることができる。


 それを知った時、あたしは誓った。

「これ以上の苦しみを、あいつらに味わわせてやる」と。



『聖女』はあくまで治癒能力の高さからくる記号で、神に愛されているかは関係ない。


 第一、こんなに残酷なことを平気でできる連中を生かしておく神様なんて、あたしは認めない。


 治癒魔法士として、『聖女』として。

 褒められたことじゃないとはわかってる。


 ただ、これが『神』に与えられた力なら使うだけ。

 聖女の名に相応しくないなら取り消してくれて良い。痛くも痒くもない。


 たとえ刺し違えても、絶対にあたしはこいつらを許さない。

 あたしの大切な家族が受けた苦しみを、それ以上にして返してやる。



 あたしが移住先にファクトリアを選んだのは。

 徹底したお返し、しかも上乗せして返す。そんな国是であるバイガエシ法典が、あたしの望みにぴったりだったから。


 祖国を出ると発表した時、聖女と呼ばれるほどの治癒魔法を求めて、たくさんの国から受け入れ提案があった。


 その中でファクトリア王国は、第三王子が受けた暴行や、国として受けた不当な扱いを表沙汰にしてくれた()を、倍以上にして返したいのだと言った。

 あいつらをとことん苦しめたいというあたしの望みも、治癒魔法を報復に使うことによる代償ーー力を失うかもしれないことも、全て受け入れてくれたのがファクトリアだったのだ。



 ひたひたと近付いてくる死を受け入れるしかなかった弟が感じたであろう恐怖。

 突然やってくる発作と激痛。

 医師が来ない、薬をもらえないと知った時の、家族の絶望。

 両親が弟を思って死んだ無念。

 腕輪を贈った()()()への怨恨。


 ……想像することしかできない。

 そしてこれはあたしが癒したものではないから、誰かに与えることはできない。


 代わりに、回復してから治癒魔法で蓄え続けた病気や怪我だけじゃなく、くっついて流れ込んできた痛みや悲しみ、苦しみも全て、この時のために大切にあたためてきた。


「弟と同じ病の人もたくさん治しました。是非あなたもその痛み、たっぷり味わってくださいね」



 事故でガラス片が目に入った人。

 理不尽に殴られ歯が何本も折れ、鼻が曲がってしまった人。

 馬車に轢かれて全身を骨折し内臓を激しく損傷した人。

 肺病にかかり、死が迫る恐怖を抱えた人。

 毒蛇に咬まれ、全身が麻痺し凍死寸前だった人。


 たくさんの痛みや恐怖、孤独に絶望。

 それを一身に受け止める気持ちは、どう?


 男は「痛い、やめろ」とうなりながら、

 全身に現れる痛みに耐えのたうち回っている。

 腹を抱えるように丸まったかと思えば、全身を大きくのけぞらせて白目をむく。

 そして突然死んだかのように動かなくなり、少しして壊れたぜんまい式のおもちゃのように暴れ出す。


「ああ、そうそう。とっておきのやつ、忘れてました」

 両手で器を作ると、手のひらから湿った触手のような塊が湧き出した。

 気持ち悪い。これを自分の中に飼っていたと思うだけで心の奥が冷たくなる。


「これはあなたの道連れにここに連れてこられて惨めに死んだ方々。苦痛とあなたへの怨念を預かってきたので、これもプレゼントしますね」

 男の目が、大きく見開かれる。



 これの父親である代官とその妻、代官の愛人。

 領主親子。

 第三王子殿下へ暴行した実行犯の主要メンバー。


 彼らの死に際に寄り添い、あたしは恐怖と恨みだけを丁寧に抜き出したのだ。

 癒やしたかって?とんでもない。あたしはただ、怨嗟だけを預かった。


「な、んで」

「なんで?それは一緒に暴行したじゃないか、一緒にもみ消したじゃないかってことですか?あたしにはわからないですね。はい、どうぞ」


 こぶし大の塊を、息も絶え絶えのその口に押し込むと、それは喉の奥へ消えた。

 飲み込んだと言うより、怨念が自分で喉の奥へ入っていったように見えた。


 その途端、喉をかきむしりながら言葉にならない唸り声を上げ始めた。

 顔が土気色に変わり、眼がぐるりと回る。

 身体が膨れ、服が裂けてもまだ肥大し続けている。



 裏切られた、そんな顔をしていたけれど。

 先にあたしたちを裏切ったのは誰?


「なぜ、自分は裏切っても裏切られることはないと思ってるんでしょうね」




 東から上っていた太陽が、いつのまにか真上に来ていた。時間をかけすぎたようだ。


「そろそろ、終わりましょうか」

 髪を留めていたピンを外すと、それは手の中で杖になった。

「人を殺める魔道具は、道具も使用者も厳密に審査されます。所持も使用も許されていないあなたは本来、死をもって裁かれる。だから、お仲間はみんな死んだでしょう?」


 あたしが苦痛や怪我、病巣をプレゼントした結果、見上げるほどに巨大化したそれは、口から唾を垂れ流しながらうめいている。


「聖女である()は、本来人を殺める道具など持つべきではないのですけれど。あなたはもう人ではないので、聖女の名のもとに災厄を消し去らなくては」


 あたしの背丈を超える杖を空に向かって掲げると、一帯に暗雲がたちこめた。

 杖に力が満ち、金色に輝くと、それを右手に構える。


「心から悔いることができたら、楽になれますよ。そんな日は来ないでしょうけれど。それでは」


 花畑の真ん中で浮かれ踊るように軽くステップを踏み、勢いをつけて右腕を勢いよく振り抜いた。


 杖は金色の輝きを強めながら空を裂いて異形に向かっていく。


「……っ、死んで楽になれると思うなよ、この人でなしがっ!!!!」


 杖は勢いよく異形の頭を貫いた。

 そして稲妻が三本、間髪入れずに杖に落ちた。


 轟音の後、たちこめる焦げた匂いとともに、闘技場は長い沈黙に包まれた。


 軽く息を吐いて空を見上げると、白い雲の隙間から陽光の筋が一帯に射し込んでいた。



 ***


 あたしはまた治癒魔法が使えなくなった。

 ただこれは愛国心やあたしの状態は関係なく、無理な力の使い方をしたことが原因で、そのうち多少は戻るだろう、とヨルが言った。

 そう、王子様みたいだと思ってたヨルは()()()()()()()()()らしい。

「ここからは遠い国だし、王子業は開店休業してるの。今の僕は違法魔道具根絶部隊の隊長だよー」

 とか、よくわからないことを言っていた。

 シャオとヨルは、時々顔を見にきてくれる。


 復讐する聖女なんて『聖女』じゃないことくらい、わかってる。

 それでもやりたかったことだから後悔はない。そもそもあたしは、聖女なんて呼ばれるほど大したものじゃないから。


 ファクトリアの人たちも、力を失ったあたしに変わらず優しく接してくれる。いや、ほんの少しおっかなびっくりな感じがするのは、あの日の制裁がこの国だけでなく全世界に中継されていたからかもしれない。

 あたしも後で知った。政治的に必要ってファクトリア王国の判断だろうから文句はないけど、文句はないけど事前に知っておきたかった……。



 それでも、また心から笑える日は来る気がする。

 大切な人もできるかもしれない。

 今は静かに、その時を待つ。みんなに会いに行くのは、まだまだ先になりそうだ。

 草むらに寝転んで空を見上げていると、子どもたちが蹴ったボールがとんでいった。


「こら!ここに寝てるぞ!!」

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― 新着の感想 ―
面白かったです。 良いですよね、倍返し。 善人しか出て来ない話も好きなのですが、個人的には悪人を出すならこれくらいの報いがあって欲しいと思います。
正直、なんだか腑に落ちない話でした。というのも、 領主の息子が第三王子うんぬんの話であって聖女には関係がなく > 「死んで……え?代官様はあたしがご子息様の怪我を治す代わりに、お医者様を」 「あー、…
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