【第3話】「村の過去」
信じることに意味はあるのか。
答えを求めて、ひとりの青年は歩き出す。
これは、壊すことでしか進めなかった者の旅の記録。
カイは夜の静けさに包まれて、ウトウトと眠りに落ちそうになった。温かい布団に包まれ、身体の疲れを癒すことができると感じたが、ふと目が覚めた。
時計を見ると深夜を過ぎたばかり。家の中はひっそりと静まり返り、外からは風の音と夜の静けさだけが聞こえる。カイは少し身を起こし、寝床から外を見つめた。すると、ふと思い出したのは、あの老人が言っていた言葉だ。
「夜は外に出るな。」
その言葉が胸に残り、気になり始めた。何かがこの村の夜に潜んでいるのだろうか?カイは少しだけ外に出てみようかとも思ったが、老人の言葉が頭をよぎり、足を止めた。
「無理に行く必要はない…」
結局、カイはそのまま窓から離れ、再び布団に戻った。しかし、睡魔には抗えず、深い眠りに落ちていった。
朝、太陽の光が部屋に差し込み、カイは目を覚ました。外に出ると、すでに村人たちは活動を始めているようだった。カイはゆっくりと支度を整え、外に出て村の探索を始めることにした。
村の広場には、元気よく動き回る人々の姿が見える。しかし、よく観察すると、どこか元気がない。どこか、心の中に暗い影を感じるような気がした。カイは村の人々に挨拶をしながら、少しずつその原因を探ることにした。
村人たちは最初こそカイに優しく接してくれたが、どうしても話をするたびに、どこかよそよそしさが漂う。その違和感を感じたカイは、何気なく村人に声をかけてみた。
「皆さん、元気がないように見えますが、何かあったんですか?」
すると、村の中でも年長者の一人が口を開いた。
「……実は、2ヶ月前に大きな事件があったんだ。あれがあってから、村の皆の気分が重くなってしまった。」
カイは興味を持って、その話を聞くことにした。村人はゆっくりと話を続ける。
「キラーベアーという魔物が夜、村に降りてきたんだ。恐ろしい魔物で、すごい力を持っている。あの夜、村の自警団が必死に立ち向かったが、結局、惨殺されてしまった。」
カイは思わず息を呑んだ。
「自警団が……」
「そうだ。あの魔物は、村の周りを何度も徘徊して、とうとう自警団をやっつけたんだ。あの日から、村は不安定になり、皆の心にも影がさしてしまった。」
村人はしばらく黙り込み、重い空気が広がった。カイはその話を聞き、村の人々の悲しみや恐怖を感じ取った。
「それから、夜に外に出ることが怖くて仕方ない。あのキラーベアーが再び現れたらどうしようかと、皆が怯えているんだ」
村人の話を聞いているうちに、この村で何ができるのかは分からないが、もし自分にできることがあれば、少しでも村の人々を安心させられればいいなと思った。
「…あの魔物が再び現れたら、どうすればいいんだろう」
カイは心の中でつぶやいた。自分も何かできることがあればいいと思うのだった。
カイはその日、村の中を歩きながら、村の人々と交流を続けていた。まだ自分に何ができるのか分からないが、何かきっかけがあれば、少しでも力になれるかもしれない。
初めての小説執筆で、不安もありましたが全力で書きました。
この物語が、誰かの心に少しでも残れば嬉しいです。