1-5 洞窟のヌシは異形の骸骨
黒鉄だけで形成された、広く複雑な洞窟を俺は歩いていた。
「はぁ、はぁ、はぁ………出口は……何処だ?」
アリスに聴く。
「アリス、出口を教えてくれ」
『不可。出来ません』
「何でだよ!!」
叫ぶようにツッコむ。
『解答。私が行えるのは、転生特典の使い方・この世界の常識・魔法発動時の代理詠唱等であり、ナビゲーションのような事は出来ません』
「マジか」
落胆しながら進んで行く。
暫く彷徨うと、禍々しい大扉を見付ける。
「如何にもボスの部屋って感じだな」
『肯定。此処には黒鉄の洞窟のヌシ、骸狂王が居ます』
「……………」
暫く考え込んで質問する。
「アリス」
『返答。何ですか?』
「2つ聞きたい事がある。1つ、今挑んだとして俺は骸狂王に勝てるか?」
『解答。私のサポートありきではありますが、勝利は可能です』
「2つ、そいつを倒したら、この洞窟から出れるか?」
『解答。出れます。原則としてヌシの居る部屋には出入口付近まで飛ばす、専用の魔法石があります』
「よし。俺は、骸狂王を倒す。準備が出来たら、突入する」
『質問。準備とは何を準備するのですか?』
「心の準備に決まってんだろ!」
『推察。恐怖んですか?』
「恐怖さ。でも……動かなきゃ何も変わらないだろ」
『……』
「ふぅ」
叫んだお陰か、覚悟を決めれた。
「行くぞ!」
言いながら、大扉を開ける。
「? 何も無いし、誰も居ない?」
中は、だだっ広い空間があるだけだった。
その時、大扉が勝手に閉まり、床に巨大な魔方陣が現れる。
「!?」
そこから出てきたのは、一言で言うと異形の骸骨だった。
その容姿は、先ず下半身が無く、頭部には角と思われる物が側頭部から生え、額部分に3つ目の眼窩が空いている。そして、右目の眼窩には、眼球を思わせる赤黒い宝石のような球体がはまっている。
次に手は、両手とも指が6本あり、右手にはカトラスとも呼ばれる海賊が持ってるような剣があり、左手には七支刀と呼ばれる刃から刃が出ている剣を持っている。
更に背中?からも、サブアームのように4本指の手が4つ伸びており、それぞれ剣や杖、斧に槍とそれぞれ武器を握っている。
「こいつが、骸狂王か」
俺は一瞬だけ振り返り、扉が閉まっているのを確認する。
「後戻りは不可能か」
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