1-4 獣人の少女と黒服
?「ふぇ!? だ、誰ですか?」
簡易扉を開けた音で気付いたのだろう、少女が振り向く。
その少女の容姿は、紅玉色の右眼と蒼玉色の左眼のオッドアイに、キャラメルブロンドと呼ばれる髪色をしており、それに加え猫耳と猫の尻尾が2つありコスプレには見えず、生えているようにしか見えない。
[名前/フローラ・エクセリア 年齢/12
種族/獣人族・霊猫種 職業/癒術士]
「取り敢えず落ち着いてくれ。俺は敵じゃないし、危害を加えるつもりも無い」
微妙に慌てている少女を宥める。
?「本当……ですか?」
「ああ、名前を教えてほしい」
ウィンドウのお陰で大体のことは分かるが、一応名前を聞く。
フローラ「フローラ・エクセリア………です。」
嘘はついてない。一先ず信じて良いだろう。
「俺は、シオン・クロスロード。シオンでいい」
「何があったのか教えてくれるかい?」
後ろにいる傷だらけの女性を一瞥して少女に聞いてみる。
フローラ「分かり…ました」
フローラ「私たちは、ココには居ない2人を含めた4人で小規模ギルド『フラワーフェスタ』を組んでるのですが、ギルドメンバーの1人のベリルさんが、錬金に使う素材を取ってきてほしいと言われ、私とティファさんで取りに来たのですが」
(錬金術……そんな物もあるのか。)
シンプルに驚く。
フローラ「この洞窟に向かう途中で野盗に襲われて、何とか逃げきれたのですが、ティファさんが大怪我を負い、回復魔法を掛けても治らないんです」
「成る程」
実際、ティファと呼ばれる女性のHP部分の数字は上がったり下がったりを繰り返している。
フローラに聞こえないようにアリスに聴く。
(アリス、ティファの傷は何故治らない?)
『解答。毒を喰らっており、解毒しない限りは、何をしても治りません』
2人の様子を見る限り、相当仲が良いんだろう。
俺には居なかった仲間や友達のような関係性に羨望を持ちつつ、どうすれば救えるか考える。
(俺が解毒魔法を使う事は可能か?)
『解答。魔力が足りず不可能です』
(マジか…)
(霊力を魔力に変換する事はできるか?)
『解答。可能です』
(じゃあ、やってくれ)
『変換。霊力の3分の2を魔力に変換します』
10秒後
『完了。霊力の3分の2を魔力に変換しました。これより、解毒魔法を発動します』
ティファと呼ばれる女性に近づき、右手を翳す。
フローラ「な、何を?」
右手の魔方陣を見て驚くと同時に納得する。
フローラ「解毒魔法!? そっか、毒を喰らってたから治らなかったんだ」
「解毒魔法」
青白い光が女性に入っていき、少しだが傷も治り始める。
「毒は治した。後は回復魔法で何とかなる」
そう言いながら、出ていく。
フローラ「ま、まっt」
フローラが何か言ってるが、無視して立ち去る。
『質問。何故立ち去るのですか?』
「さっき助けたのは、唯の気まぐれだ。これ以上施す理由は無い」
再び、出口を探して探索する。
暫く進むと、行き止まりに引っ掛かるが違和感を感じる。
「…………」
『質問。どうしましたか?』
彼女? の問い掛けを無視して聴く。
「アリス、この壁を壊す手段はあるか?」
『解答。一応あります』
「一応?」
行い辛い事なのだろうかを
『説明。壊す手段自体はありますが、それを行うと魔力が無くなる上、洞窟が崩落し生き埋めになる危険性があります』
「あ~あ」
魔力が無くなるのは確かに困るし、生き埋めのリスクは怖い。
「それでも壊そう」
根拠があるわけではないが、壊した方が良い気がする。
『了解。右手を向けてください』
右手を壁に向ける。
「赤魔法」
小さな火の玉が壁を貫くと、空間が出てくる。
「これは……隠し部屋か!」
空間には、箱全体に髑髏のマークがある黒と紫の宝箱があり、開けてみる。
中には、黒と濃灰色のフード付きパーカーがあり、袖部分が半袖だが、裾は長くそのアンバランスさが、俺にはカッコ良く思える。
[ブラックホール・サンダーボルト
特殊効果/HP・魔力・霊力を自動回復。フードを被れば認識阻害]
「有能だな。早速装備しよう」
ブラックホール・サンダーボルトを装備する。
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