1-3 今の自分と魔石ガチャ
「う、嘘……だろ!?」
俺は今、骸剣士というモンスターに襲われている。
だが、声にならない叫びの理由はコイツに襲われてるからでは無い。
コイツの左腕に装備された、鏡の盾に写る自分の姿だ。
そこに写る自分は、夜色の髪を靡かせたロングヘアーで、右目の瞳は紫水晶色で、左目の瞳は濁った濃灰色で、白磁の肌と合わせて美少女にしか見えない。そんな自分の姿に見惚れていたせいだろう。骸剣士が剣を振り上げてる事に気付くのが遅れたのは。
「!?」
「しまっ……!」
気付いた時には、刃は俺に向かって振り下ろされていた。
(間に合わない!)
そう思った次の瞬間、一瞬だけ意識が可笑しくなり、気付けば奴の剣を避けており、あまつさえ両手を重ねて奴に向けていた。
「火属性魔法」
まだ、微妙に聞き慣れないが確かに今の自分=シオン・クロスロードの声でそう言った。
重ねた両手より1回り大きい、赤色の円が描かれ、その中にも幾何学模様が描かれる。魔方陣だ。
そして、魔方陣程の大きさの炎の玉が奴に放たれる。
気付けば、骸剣士は、禍々しい色の球体の石を残して消滅していた。
「今……何が……起き…た……?」
時間にして1分も掛かってない事を、態々アリスに聞いた。
〖説明。先程のモンスターは骸剣士。初の戦闘には荷が重いので私が換わりに戦いました〗
だから一瞬意識が可笑しくなったのか。
〖説明。次に魔石について教えます〗
「魔石?」
〖肯定。目の前にある、禍々しい石が魔石です。使い道が多いので、拾ってください〗
俺は石を拾う。
[スカル・ソルジャーの魔石]
〖確認。それでは、魔石の使い道を説明します。1つ、売って換金する。並みの魔石は使う程のメリットは無いので換金する方が良いです〗
あ、売っちゃうの。
〖2つ、クラフトの素材にする。クラフト・リアクターの素材にして、何かしらのアイテムに変換します〗
マイ○クラフトかな?
〖3つ、魔石ガチャに使う〗
「魔石ガチャ?」
〖説明。先ずはステータスウィンドウを開いて右下を確認してください〗
言われた通りに確認すると、確かに魔石ガチャの欄があり、それを開く。
すると、黒い箱の能力ガチャと、白い箱の装備ガチャの2つが出てきた。
〖説明。魔石ガチャは転生特典の1つで、能力ガチャは魔石を消費し、ランダムにステータスアップします。具体的にどのステータスが上がるか。どの程度上がるかは、ランダムなのでやってみるしかありません〗
ランダムなのは使い辛いな。
〖装備ガチャは、魔石を消費して装備に変換します。具体的にどの装備になるかはランダムです〗
「? クラフト・リアクターだと装備にできないのか? でもこれはクラフト・リアクターで造ったけど」
そう言いながら、鉄の短剣を取り出す。
〖説明。クラフト・リアクターでは、原則装備品は造れず、他のアイテムと組み合わせ修繕する事しか出来ません〗
〖事実、今手にしている鉄の短剣も先程の錆びた短剣を錆取石で修繕しただけです〗
「そうなのか」
〖選択。そちらの魔石は貴方の物です。好きに使って差し支えありません〗
「じゃあもう使おう」
そう言い、先程の魔石を装備ガチャに使う。
〖質問。装備ガチャに使った理由は?〗
「結論から言えば、生存率を上げるためだ。今の装備は鉄の短剣だけ。武器が出てれば素早く戦闘を終わらせられるし、防具が出れば多少は攻撃を受けても耐えきれるしで、どっちが出てもデメリットにはならないからな」
そう言うと、ガチャから装備が出てくる。
[剣士の胸当て]
「早速装備するか」
アイテム欄にある剣士の胸当てを触れると、自分の身体に装備されるように出てくる。
「よし、行くか!」
出口を探して探索を始める。
しばらくしたら、簡単な扉が建て付けられて、部屋のようになっている所を見付ける。
その扉を開けると、自分より1歳2歳年上であろう傷だらけで意識の無い女性と、中学生もしくは小学生位の女性に何かしらの魔法を掛けている少女が居た。
面白い。続きが気になる。と思った方は、ブクマ、評価お願いします。