盗賊蔓延る村
[スキル]
天が与えるとされるもの、百年に一度あるかないかと呼ばれるほどに確率は低いがその能力は最強クラス
能力は10歳の誕生日に手に入るとされている
「すまん! 遅れた!」
ウィリアムはすぐに謝るがヒューズはそこまで気にしてないようだった。
「お前が遅れなかったほうが珍しい、お前には15分先の時間を教えてるから問題ない」
「俺が遅れずに来たらどうするんだよ!」
ウィリアムはほんの少し怒りを込めて言う。
「普段の行いですよ..」
フォルトは笑いながら続けて
「それでどこにいくんですか?」と言った。
「ああ、次は東の方に向かう、村の防衛らしい、銀貨42枚だ」
ヒューズはそう言って立ち上がると窓から見える馬車を指差した。
「じゃあ行くか〜」
ウィリアムは面倒くさそうに立ち上がると馬車に向かった。
ヒューズが御者台に乗り馬を扱う
「ここからどれくらい?」
ウィリアムは横になるリンゴをむしゃむしゃと貪りながらヒューズに聞く。
「8日」
ヒューズはこちらを向かず前を向いている
他に喋ることもなくただ道を進む。
外を見るが周りには何もない、虫の声と馬車の音、そして風で草が靡く音のみが耳に入る、フォルトは本を読んでいる、ウィリアムは後ろからチラリと見る
(何かの本か...俺は文字が読めないのによく読めるなぁ...)
リンゴを食べ終わると外に投げ捨てるとまた横になり目をつぶり寝ることにした。
「おい、交代しろ」
ウィリアムは重いまぶたを開くと夜になっていた。木の床に寝たこともあり身体中に痛みが走るが、起き上がり御者台に座ると周りに魔物がいないかを確認しつつ、馬を進ませる。
村などに向かいたいが遅いと村が先に壊滅する可能性はなくはない、だからできるだけ早く進まなければならないのだ。
水を飲み目を覚まさせると、ただ周りを確認して、進むだけ、敵が来ることがないのはいいことなのだが暇である。
(昔は夜が今よりずっと怖かったな...魔物は出るけど成長すると怖いって感情は無くなるもんなのかな...)
どうでもいいことを考えながら星を見ていた。
7日後...
「ここがその村か...」
遠目に村が見え、煙が上がり周りには盗賊の野営地がある、村は木でできた雑なバリケート、近くの街から何人か衛兵が派遣されている、村の中から弓を撃ちお互いが膠着している。
「おい、起きろウィリアム、フォルト」
ヒューズはウィリアムとフォルトを揺すり起こす
「あ、着きましたか...」
フォルトは先に起き上がり武器を持つ
「あと25分.....」
ウィリアムはマントを顔に覆い二度寝する
「起きろ!」
ヒューズはマントを取ると顔にビンタをかます
頬をさすりながらウィリアムは起き上がると馬車を降りようとして足を引っ掛け顔から転ける。
「痛い....」
ウィリアムは顔の土を払い、木に頭をぶつけて無理矢理に起こすと伸びをする
「目は覚めたか?」
「あっはい」
そうしてウィリアム一行は盗賊達に見つからないように歩いて近づいた。
「よし...行くぞ....」
三人は立ち上がり野営地の中で戦う
フォルトは雷鎖剣という刀身が鎖で作られた先端にのみ刃がついている特殊な武器を使う、この剣はレイド人特有の武器である、電撃を剣に加えることでスタンガンのような武器となる
鎖を振り回しながら走り振って盗賊の服を切り裂く、電撃を高威力にするには表皮に直接当てた方が威力が高いからだ。
露出した部分に鎖を当てて電撃を放つ、盗賊は意識を刈り取られ気絶する、この武器は盾などで防ぐのはほぼ不可能である、この電撃は1日に合計で約10分ほど使うことができる
ヒューズは大剣の横振りを顔が地面につくほどに重心を下げ腕を支点に体全体を回し蹴りを盗賊の頭に届くほどに上げ両足で首を掴むと剣を心臓部に刺さるように胸骨を避け突き刺し殺すと違う盗賊がナイフを投げヒューズの左上腕を裂く
ヒューズは盗賊の首を速攻で掴み地面に叩きつけると顔面を爪で切り裂くとそのまま村の中に入った。
ウィリアムは後ろから一人ずつ、隠れながら進む、首にナイフを刺して殺していく、数人いる場合は一人にはナイフを刺し負傷させ、一人を刺し殺すとすぐにもう一人の眼に斬撃を与え、有利な状況にする。
そのままトドメは刺さずにそのまま村の中へと向かった。
[ファラル島]
北東に存在する隔離された島であり、別名「錬金術の国」
2万年前に大陸から分離し長い間他の人類と干渉はなかった。
ファラルにはここ百年まで魔法の存在は語られず、錬金術が発展し、ファラルの特殊武器、銃は魔法にも匹敵する威力を持つ、そしてファラルの文化は戦国時代の日本を彷彿とさせる