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生きる世界と冒険譚  作者: 山田浩輔
ウィダー諸島編
62/78

第12話 変装

 マルセル地下街 〜宿屋〜

 「大丈夫か?」

 アストラはベットに横になりながら桶に嘔吐し続けるラルクの背中を摩りながら聞くとラルクは親指を立て、ニコリとするが次の瞬間にまた嘔吐する。

 「全然大丈夫じゃないな」

 「いやぁ、あの光を浴びてから体調がすこぶる悪いッスねえ...身体は痛いし最悪ッスよ...」

 作り笑いを必死にするラルクであったが目が明らかに笑っていない、声も少し低くなり、掠れ始めているとアストラは口を開く。

 「お前はどうしてこの仕事をしようと思ったんだ?」

 アストラの問いにラルクはキョトンとする。

 「なんすか? 急ッスね、まあいいですよ」

 ラルクは身体を少し起こすと話し始めた。

 

 〜12年前〜

 「7歳だった俺は優しく尊敬できる父がいたッス、裕福ではなかったけどとても楽しい暮らしだった。だけど壊れるのはとても早かったッス」

 

 「その日、ドラゴンが街を襲ったッス、その時に二人で逃げてるときにドラゴンが目の前に現れて、父さんは俺は置いて逃げていったッス、今思えば恐怖というのは生きている以上は仕方ないッスがね、そんな時にある人が救ってくれました」


 ラルクの話にアストラは顔を曇らせる。

 「...重くね? お前に似合わない」

 「ひでえっす!」

 ラルクは勢いよくツッコむとアストラは微笑む。

 「冗談だよ、続けてくれ」


 

 「その人はカルダー人ではなかったすけど、女の人で、素手でドラゴンを撃退したッス、そして女の人は俺の方に来て言ったっす」

 

 「私の娘と結婚する気はない?」

 

 「まあ結局その人と会うこともなく生きてるんですよ、父さんが悪いとは思ってないッス、悪いのは全てを壊したドラゴンです、だからこそドラゴンを滅ぼすべきだと俺は思うッス」

 ラルクが話を終えるとアストラは口を開こうとした瞬間に扉が開く。

 

 「大丈夫ですか? ラルクさんが重症と聞きましたが...」

 部屋に入ったフォルトはラルクに近づくとミメーシスに聞く。

 「ミメーシスさん、これは毒ですか? それとも病ですか?」

 (放射線だな、わかりやすく言うなら超エネルギーの塊が一斉に入ったことで身体全体が破壊され尽くされた状態だ)

 「傷は無いようですが...」

 (怪我は放置すれば自然に治癒するだろう、その再生ができなくなる)

 「つまり怪我をしたら終わりということですか?」

 (それだけではない、皮膚というのは自然に劣化し再生することで肌を保っている、それができなくなれば段々と皮膚が剥がれ落ち、なくなる)

 「それって...つまりは...」

 (肌が剥がれアンデットのようになる、感染症に罹る可能性がある、包帯でも巻け)

 「...とりあえず包帯を巻きましょう、感染症にかかる可能性があるので」

 フォルトは部屋を出ると急いで大量の包帯を持ってきた。

 「ありがとうございます、フォルトさん」

 「いやあ、ありがたいっすねえ」

 ラルクは元気そうにしているがミメーシスの言葉もあり、フォルトはあまり安心することができなかった。



 「こっちは調査に戻ります、アストラさん、ラルクさんを頼みました」

 「了解」

 そうしてフォルトは宿屋から出ると人気ない廃墟へと入ると地下へ階段を降りると埃っぽく薄暗い、そして血の匂いが漂ってくる、木の扉を開くとそこには、指、歯を数本無くし、薄汚れたルイスがいた。

 「何か情報は出ましたか?」

 ルーカスが首を横に振ると拷問へと戻る。

 「何をされても絶対に話す気はない!」

 ルイスが啖呵を切る暇もなくルーカスはルイスの手の甲に銃を押し当てる。

 「次は二発だ、六発打ち切る前に吐け」

 ルーカスはロシアンルーレットを始めるが相変わらずルイスは口を開くことはなく、最終的にルイスの手は撃ち抜かれる。

 「あああ...!」


 「...まあこんな風に喋りませんよ、続けますがね」

 「そうですね、一応続けるとして...僕が潜入しましょうか? 私はこのように顔を変えられるので」

 フォルトが顔を手で覆うとルイスの顔へと変わる。

 「これなら潜入も容易でしょう」

 「すごいですね、魔法の類ですか?」

 「...まあそんなところですね、情報がなくてもこれなら捕らえた意味もあるでしょう...まあ不備はあるかもしれませんが」

 「ではお願いします、いざという時は頼みましたよ」

 ルーカスの言葉を後にし、フォルトはルイスの着ていた服を身にまとうと教会へと向かうのであった。

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