第5話 殲滅の炎
「ルイス様! ココ様!」
僕が声をかけても二人とも反応しない...
声が聞こえていなかったのだろう、そうして僕が肩を叩いたその瞬間であった。
「うわああああ!!」
ルイス様とココ様はどちらもドロドロのスライムのように溶けてしまった。
僕は思わず後ろにゆっくりと後ろに後退りをすると手にねっとりとした感触が宿った。
「うわあ!!」
後ろにはドラゴンが立っていて、今にも僕の腕を飲み込もうとした。
「うあああああ!!」
朝日がホセを照らし、ベットの上で静かに目を覚ます。
「.....夢か」
状況を理解したホセが起きあがろうとするがねっとりとした感覚がまだ手にある、そしてゆっくりとその方向を見ると、ココがホセの拳をしゃぶっていた。
「ココ様!? 食べないで!!」
ホセが必死に手を離そうとするがさらに飲み込みが強くなる。
「ちょちょちょっと待ってください!!」
「よく眠れましたか?」
「はい!!」 「はぁい...」
ルイスの問いかけに元気よく返事をするココと睡眠不足で力無く返事をすることしかできない。
「大丈夫かい?」
ホセの不調に気づいたルイスがわけを聞く
「いやぁ...まあ色々ありまして...」
「まあ詮索はしませんが、それよりもへーリオス様、頼みがあります」
先程まで半笑いだったルイスであったが突然、真剣な表情になる。
「なに?」
「へーリオス様として、壇上に上がっては頂けないでしょうか?」
「うーん、いいけど私はへーリオスじゃないよ?」
「大丈夫です、記憶を失っているだけで、あなたはへーリオス様なのだから」
ホセもルイスも信じてやまない現状にココは呆れつつも受け入れることにした。
「おお!」
ツノの飾りに全身を覆う白いコート、金色のラインの入ったシンプルだが高級感のある服、そして白い鱗で覆われた無骨な仮面。
「お似合いですよ」
使用人、司祭も頷き、皆が称賛する。
そうして舞台裏からゆっくりと出るのであった。
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〜駐屯跡地〜
「これは...血...?」
鏃についた赤黒くどろりとしたその液体から発せられる鉄の臭い、フォルトはその液体を瓶に採取するとゆっくりと立ち上がる。
「鑑定をお願いします、この物質について」
フォルトがジャンに渡す。
「了解です!」
ジャンが去った後もフォルトが調べていると突然、何かがフォルトの目の前で空を切る。
フォルトがそれの着弾点を見るとそこにはボルトが深々と刺さっていた。
「敵襲!」
フォルトは叫びながら岩に隠れると次の瞬間にボルトの雨が辺りに降り注ぐ。
「まずい...ミメーシスさん! 状況を!」
(正面の茂みの奥に二人、右から回り込む者が一人いる)
「ここは派手に行きますかね!」
フォルトは刀を引き抜くと鍔を回す、刀を逆さにすると鍔から透明な液体が染み出る、ゆっくりと刀全体をその液体で覆うと柄を叩く、すると刃が等間隔に分かれ、それをワイヤーで繋ぐような形になる。
そうして岩を壁にしたまま刀を正面に振るうと、刃に絡ませた髪から、わずかに電流を流す。
炎が勢いよく燃え上がり、刺激一帯を焼き尽くす。
フォルトは魔力結石を取り出すと上に散らばるように投げ、詠唱し、ダッシュで離れる。
「ウォーター!!」
炎に水がかかり、さらに炎が燃え広がり始める、フォルトが後ろを確認しようと振り向くとナイフを持った紫髪の男がフォルトの首元を狙う。
「うお!」
フォルトは後ろにのけぞることで紙一重で避けると男の腹部に回し蹴りを当てる。
しかし男はフォルトの足を掴むと全身を回す、フォルトは体制を崩して背中を地面に強打する。
男は倒れ伏したフォルトの顔にナイフを突き刺そうと体重を掛けて突き刺すがフォルトがその攻撃を躱すとナイフを蹴り飛ばし、拳銃を発砲する。
「ファイア!」
男の左前腕に当たる、男は傷口を押さえながらフォルトを睨みつける。
「お前、そのアミュレット、信者だな」
フォルトがゆっくりと近づくと男は詠唱する。
「ブラスト!」
フォルトは後ろに吹っ飛び、受け身を取るが立ち上がる頃には男の姿は既になかった。
「逃げられた...か...」




