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生きる世界と冒険譚  作者: 山田浩輔
リライプル編
21/78

毒と矢

[刻の神ダラムアルド]

三大神であり刻進めるとされている

祈祷により動きを早める、遅める、止めるなどができる

 パトリシアの武器は見たところナイフのみ、しかしこちらは武器を持っていない、仕方なく自らを縛っていた鎖を手に持ち振り回す。

 鎖の長さは3mほど、武器としては防御力がとにかくない、ウィリアムは先制を取り鎖を後ろに引き反動でパトリシアに攻撃を行う、女は紙一重で避けるとナイフをいきなり投げ飛ばす。

 直接手で受けると危ないので足を上げて蹴り飛ばすとそのまま回転し横振りをする。

 「あら危ない」

 パトリシアは上着を脱ぎ鎖を包むようにして受けると鎖を引く。

 力勝負ではお互い同格、お互いが引き合っているとパトリシアが鎖を離す。 

 (ウィリアム、鎖を必ず避けろ)

 流石に反応ができずウィリアムは転倒する、鎖を避けようと顔を少し右にずらすが顔の左側に当たる。

 痛みで顔を抑えると次の瞬間に焼けるような激痛が走る。

 「ウアアアアアアアア!!」

 左目に毒が入り痛みで目が開けられない、声が枯れるほどの悲鳴をあげるとパトリシアはニヤニヤとしながらウィリアムを見る

 「痛いでしょう? もう左目は失明したかしらね?」

 目だけでなく顔の左側も痛い、必死にパトリシアの方を目視しているとドアが開く。

 「ウィリアム!? 今助けるから待ちなさい!」

 フェイルはすぐに状況を察すると弓を構えてパトリシアに矢を撃つ。

 パトリシアはサッと避けると隠し持っていた毒針をフェイルに投げる。

 「避けろ!!」

 ウィリアムが叫ぶがフェイルは避けきれず左腕に刺さってしまう。

 「痛っ!」

 フェイルはすぐに針を抜いたが刺さった部分がみるみる青くなっていく。

 フェイルはナイフで患部を切り落とす、スライムのようにドロドロになっており切り取りきれなかった部分が僅かに残っている、フェイルは矢を連続で打つが全て避けられてしまう。

 ウィリアムはパトリシアが投げたナイフを急いで拾うと体勢など何も考えず当てることにのみ意識をしパトリシアの顔に切り込んだ。

 「あとは毒で...!」

 しかしその時自らの過ちを後悔する

 「残念、毒は効かないの」

 切り込んだそのままの勢いに衝突する形で蹴りを打ち込まれ、ウィリアムは意識を失いかける、しかし必死に気を保ちなんとかナイフを打ち込む。

 「遅いわね」

 軽々しくナイフを弾くとパトリシアは腕を振り上げる。

 この状況では避けられればウィリアムに当たってしまう、それを覚悟で弓を引き離す。

 パトリシアはそれに気づき避けるが何も飛ばない、弦の音だけが静かに鳴ると今度こそ矢をつがえ打ち出す。

 パトリシアはその場をジャンプし避けると次の瞬間にウィリアムは手をパトリシアに向ける。

 「ファイアボール...!」

 突然打ち出された魔法にパトリシアは避けることはできたが体勢を崩し倒れる、次の瞬間にウィリアムは叫ぶ。

 「ミメーシス!!」

 (まかせろ)

 フェイルが今まで撃った矢が宙にゆっくりと浮き出す、フェイルは部屋から出るとウィリアムは急いでその場から離れる、次の瞬間に矢は部屋全体を乱雑に弾き出される。

 

 運動の模倣

 対象の飛び道具を記録し再現する、新たにできるようになったミメーシスの模倣である



 「あ...あああ...あああああ....あ....あ...あ..........あ」

 パトリシアに矢が刺さっていく、全方位から身体を撃たれ肉が裂け血が爛れてゆく、目すら潰れ、そしてパトリシアは絶命した。





 「........おわった......か............」

 パトリシアの死体を見ながら呆然としているとフェイルが急いで近づく。

 「終わって早々悪いけど早く出るわよ、アンタはもう戦えないんだから外で待ってなさい」

  「いったたたたたたった....!」

 毒と全身の傷によりフェイルの介抱があっても歩くのが辛い、ゆっくりと歩き進む、前もこんなことがあったが、前回と違い無力感は感じない、勝利なのだろうか、パトリシアの死体を横目で流しながらウィリアムはそう思った。

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