道乗り
[魔法の発動]
魔法を発動するのに必要なのは詠唱、そして自らの手が必要である、強力な呪文は手に負荷をかける、そのため片手では扱いきれない魔法でも両手を使えば負荷を分散できる、また杖を使えば杖に負荷を逸らすことで自らに負荷をかけずに魔法が使える、そのため強力な杖ほど、強力な魔法の負荷にも耐えることができる。
手が消失した場合でも杖を直接腕に着用するなどすれば使えば魔法を使うことが可能である。
朝の光というのは不思議なもので安心感を与えてくれる
水筒を取り出し水を一口飲みながら歩く
休憩を取ればその分遅くなる、歩くのを止めることは決してせずにただただ歩き続ける
この辺は辺境の地ではあるが道が作られている、つまり人が通る道なのだ
そうして歩き続けているとそうして歩き続けると草が揺れる
風の揺れではなく明らかに動物が通る音である
「何匹いる?」
ウィリアムは警戒した状態でヒューズに聞く
「4匹だ、1匹血が出てる、どうする?」
「戦闘は避けたい、どうにか追い払うよ」
ウィリアムはショートソードを抜くと手のひらを前に音のする方向に出す
ヒューズはウィリアムと同じ大きさの剣を取り出し、剣を構える
お互いで後ろをカバーしつつ待機していると
草原から狼が飛び出す
「ファイアーボール!」
ウィリアムが叫ぶと炎の球が手のひらに現れ真っ直ぐと正面に飛ぶ、それと同時に手に反動でウィリアムは後ろに倒れてしまった。
飛んだ炎は狼の肩部に命中し悲鳴を上げ狼は後ろに跳ぶ
炎の攻撃は少しダメージを与えるが戦闘をやめる様子はない
ミソッド人は魔法が使えるが適性は何も持たない、ましてや子供ではまるで効果がないのだ
「やっぱり俺って戦闘じゃまともに戦えないな...」
ウィリアムが苦笑いで言っている内にヒューズは1匹倒していた
「無駄口叩くな、動物は基本的に近づいてくるからその時に刺せ」
ヒューズは盾で狼を地面に伏せながら首元に刺しながら喋る
ウィリアムはすぐにローブをとると腕に巻き付ける
狼が飛びつくとローブを巻きつけた腕でガードをするが勢いで後ろに倒れる
「うわっ!!」
仰向けになった状態で噛み付いてる狼の首を刺すと顔に生温かい血が流れる、それでも狼の勢いは止まらなかったが剣を抜くとバタリと倒れてしまった
刺した食感はとても気持ちが悪い
肉を突き抜け骨に当たると嫌な音が鳴る
さらには狼の悲鳴で罪悪感も多少なり出てしまう
すぐに起き上がり体制を整えると同じ戦法を取ろうとするが残りの狼2匹は走った逃げていった
「終わった...か...」
ウィリアムはボソッと呟くとその場にへたり込む
「はああ...これが戦い...辛えなあぁ...」
手には殺した感触が残りウィリアムは自分の手を見る
「......本当に....俺が殺したのか....」
「おい、さっさと解体するぞ、あとさっさと顔を拭け」
ヒューズはナイフを取り出し腹にナイフを入れる
「あーはいはい、わかりましたよ」
そう言って解体を始める
首の部分と焦げた部分は切り取らずに綺麗な部分を綺麗に切り取る
傷物であれば市場価値は下がる、そのためあたかも綺麗に仕留めたようにするのだ
「そんじゃあ川で洗うぞ」
ヒューズはそう言って皮を広げながら川に向かう
ウィリアムも川に向かい皮を洗う
皮を広げ水で軽く洗うとナイフを平らにしてなめしていく
油をとると火を起こし乾かす
そしてくるくると巻きカバンの中に入れる
水筒を取り出し水を飲むと歩き出した
殺した感触が手に残り続けウィリアムは手のひらを見つめていた
それを見かねてかヒューズは声をかける
「大丈夫か?あれがきついならお前は戦闘に参加しないほうがいい」
「大丈夫!あんなの全然怖くなかったし!」
焦りながらウィリアムは言う
ヒューズは少し呆れながら
「冒険者になれば慣れるだろ、とりあえずこの皮をどこかで売って資金にするぞ」
ウィリアムは静かに頷くと前を向く
そうして歩き続け、ウィリアム達は王都に着いた
[ミソッド人]
リライプル発祥の純人類
どれをとっても平均的な能力であり魔法を使うことができる
この世界で一番数の多い純人であり、特にリライプルで繁栄している
目の色は赤く、髪の色は黒・茶・金など様々である