怒りの再会
[ジート人]
サライセンダー発祥の亜人
獣人の身体能力を持ち、魔力量はゼロだが魔法を扱える。
外見的特徴は黒髪で獣人のような特殊な部位を持たない
「これで全員か」
人数は42人、老人や男、女もいくらかいるがいずれも30代を超えている、皆疲弊し顔色が悪く痩せている、ウィリアムは所持していた食料をほぼ全て使い食事を用意する。
「皆さん、食事を用意しました、ぜひ食べてください、ミメーシス様に感謝を」
ウィリアムは右手で握り拳を作りそれを左手で覆うように祈り、目を瞑る喋り出す。
「我らに祝福をお恵みくださり感謝いたします、ミメーシス様に見舞われる我らに祝福が在らんことを、ウィクショナリー」
全てアドリブである。
それを見た村人たちもウィリアムの真似をして祈る。
「「「ウィクショナリー」」」
(ウィリアム、我に力が集まり始めている、そのうち能力が解放されるはずだ)
「そりゃ良かったな...思ったよりも適当でいいっぽいな」
食事を食べ出すがあまり進んでいないようであった、あくまで食料は旅用の保存食ばかり、お世辞にも美味ではない、そもそも食事をする気分でもないのかもしれない、どうにか元気になって欲しいとは思うがどうすればいいのかわからない、ウィリアムは難しい顔をして指を頭に当ててるとフォルトが後ろからウィリアムの肩を叩く
「ウィリアムさん？ 大丈夫ですか？」
ウィリアムは振り向くと同時にいつものニヤついた顔をし声色を変える。
「大丈夫大丈夫！ みんなにもっと元気になって欲しいなって思っただけだよ！」
いつもに表情にフォルトはホッとする
「さっさと山賊どもを皆殺しにすればいいじゃない！」
フェイルがウィリアムの頭を掴みながら無邪気な顔で言う。
「国に報告した方が速いとは思うが...ダメなのか？」
コーダル人のレオンに聞いてみるが首を横に振る。
「中から外に出たらおそらく山賊にバレる、村の中は見えないがお前らが入るところは見ているはずだから死体か生け捕りで出さないといけない、急がないと山賊が来る」
突然の言葉にウィリアムは驚き声を荒げる。
「そう言うことは先に言っとけ！」
レオンの胸ぐらを掴むがヒューズがウィリアムの腕を掴み制止させる。
「落ち着け、山賊がいる場所は話によると2kmほど距離がある、今すぐでも準備をすればまだなんとかなる」
ヒューズの言葉に少し落ち着きを取り戻すとウィリアムは皆に聞こえない声でミメーシスに語りかける。
「山賊は近くにいるかわかるか？」
(半径1kmに山賊らしき姿はない)
ミメーシスの言葉を聞くとウィリアムは皆に話を持ちかける。
「わかった、じゃあこうしよう———」
____________________________________________________________
〜山賊アジト〜
「おい、街に来た商人を捕まえた、ミソッドの少年1人だった」
ウィリアムは身体を鎖で拘束された状態で山賊に身柄を渡す。
「そうか、んじゃあ報酬だ、受け取れ」
そう言ってパサパサのパンを地面に落とす、レオンはそれを拾うと礼を言ってさって行った。
「さてと...おいガキ！ 顔を上げろ！」
ウィリアムは顔を上げると顎を乱暴にもたれ口の中を確認する。
「悪くはねえ、適当な金持ちに売ってもいいなこりゃ」
醜悪な顔でニヤリと笑うと山賊は鎖を引き歩き始める。
鎖の音と足音だけが鳴り響きそのままついていくと階段を降りていく、そのまま歩いていくと牢屋についた。
牢屋に入ると蹴り飛ばされ顔から転ける。
起きあがろうとすると鍵をかけられてしまった。
「じっとしとけよ、あとで頭領が来るからな」
そういうと山賊は消えてしまった。
そうして数分経つと足音がどんどん近づいてきた。
そこでウィリアムは驚愕した、そこにいたのはあのカルダー人のあの女であった。
「あら...あなただったの？ レオンを呼びなさい」
ウィリアムは嫌な汗がどっと出ると同時に怒りが湧き上がり始めた。
