3話:「だからお前はバカなんだよ。」
「照れ屋で我が侭な俺様との恋でお題」をお借りしました。
Site Name ハニィラブソング(略してハニラブ・英語だとHoney Lovesong)
Master リコ
URL http://amaiainouta.kakurezato.com/
「何これ……ラブレター……?」
下駄箱の中に手紙が一つ。
「体育館裏で待っているですって……差出人は……多々先輩?」
名前を見て、色の白い美少年が浮かぶ。確か委員会で少し話した事がある先輩だ。
「おい、行く気か。やめとけよ」
美少年からの恋文に思わずにやけてしまう。
呆れてため息をつく相田を無視して、私はラブレターをそっとスカートのポケットにしまった。
昼休みになって、ルンルン気分で体育館裏に行く。
体育館裏にはもう先輩が先についていた。
「先輩!」
「根田さん! 本当に来ちゃったよ……バカだなぁ」
予想外の言葉を言われて、呆然とする。すると、物陰に隠れていた男子達がわさわさと出てきた。
「賭けは俺の勝ちだな」
「君、バカなの? ちょっとしか喋った事のない先輩に呼び出されてホイホイ来ちゃうなんて」
その顔には嘲笑が張り付いていた。
「いつまでいるの? 用済みだ、早く行きなよ」
下唇を噛み、私は走り去るしかできなかった。
走って走って、気づけば屋上まできていた。手すりにもたれ下を覗くと、生ぬるい風が頬を撫でた。
「だからお前はバカなんだよ」
立ち尽くす私の隣に、いつの間にか相田がいた。
「だって……だって! 初めてだったんだもん!」
自然と声が大きくなる。涙が出そうで出ない。
「男を顔で判断するから、そんな痛い目にあうんだ。いい勉強になったとでも思うんだな」
正論すぎて、何も言えなかった。