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断罪後の公爵令嬢  作者: まるや
37/61

37、街でデート−2 スタンとレティ リアーナ

レティシアはまるで生まれたての雛のようだった。

ヤバイ、マジで可愛い。


「でも家族ではもう少し気楽に話すでしょう?」

首を横に振った。

「家の中でもこんなに砕けた話し方した事がないわ。会話なんてした事ほとんどないもの。

お父様もお母様もお兄様も真面目な方だから。」


「「「「………………。」」」」

「レティ、公爵ご夫妻は分からないけど ローランド殿は結構面白い方って評判だよ?」

「お兄様が? 面白い方? ……あら、まあ。そう言えばあまり話した事がなかったけど 本当は面白い人なのね…。 そうなのですね、お兄様は面白い方…どう面白いのかしら。」


「レティ…、食事の時の話しは? 一緒に遊んだりした事がないの?」

「…ありません。婚約は6歳ですが、私はスタンと同じ年に生まれた事もあり、女と生まれた瞬間から第1王子の婚約者になるべく教育が施されました。 そして同じように兄は筆頭公爵家の嫡男としての教育が始まり、常に家庭教師がつきカリキュラムが組まれ自由時間はありませんでした。

ああ、一緒になるのはダンスの時間だけです。

食事は両親は出掛けている事が多いので6歳で正式に婚約者となるまでは同じテーブルで摂ることもあったのですが、決まってからは殆どマナー講習がてら王宮で摂っていましたし…その後も授業がありました、帰宅しても私もやる事が多かったので顔を合わせることは殆どありませんでした。ああ、婚約してからはダンスも王宮で習っていましたので…私の方が家には寝に帰っている状態で、そうなのですねぇ。」


「……本当にごめんね。」

「ふふ… 私の人生ってスタンと結婚するためだけにあったのね。スタンが素敵な旦那様で良かった。つまりは私の努力が実を結んだって事でしょう? 報われて良かった。」

すまなそうな顔をするスタンビーノの髪に手を伸ばし手で髪をすき その後両手で髪をくしゃくしゃにした。

スタンビーノは面食らった顔をした。


「もう、謝らないで! ね? スタンが悪い訳ではないでしょう? それにこうしてスタンと2人で同じ方向を見ていられるんですもの それでいいの 大好きよスタン。」

そう言うとくしゃくしゃになった髪を丁寧にすいて整えた。

スタンビーノは眉尻を下げ困った顔をした。

「有難う私と結婚してくれて、愛しているよレティシア ちゅう。」

レティシアは優しい笑顔でそのキスに応え身を預けた。


「よし、次はどうする? 観劇もレストランもこの格好では難しいかな?」

「そうね…普通のデートはこの後どうするのかしら?」

2人はラーズを見る。


そもそも夫婦になってから初めてのデートって! しかも初々しい! 年がいくとデートの目的は1つ!なんて言える訳ないし、貴族然のデートなら貴族服でなければ入れない、平民服だと行ける場所が限られる。

昼も屋台メシで夕食までって言ったら普通はビンタものだ、それがまさか俺の判断で殿下をそんな目に合わせられない。何だ! 何が正解なんだ!?


「スタン様、レティ様 平民服ですので行ける場所が限られております。お食事をされるようでしたら大衆食堂になってしまいます、大衆劇場もあるのですが狭く人が乱雑に詰め込まれるため安全上お勧めできません。然程お腹が空いていないのであれば また軽食を召し上がり、監視塔に行かれても宜しいかもしれません。監視塔は明かりの灯った街が一望できなかなか美しいですよ?」


「へぇ〜、どうするレティ?」

「素敵ね。スタンお腹空いてる?」

「んー、まあちょっと。」

「じゃあオススメのそのコースに行きましょう? 有難うエヴァン隊長。」


屋台メシ 肉串や揚げ物、飲み物ドーナツボールなどを食べて監視塔へ向かった。

殿下が妃殿下の不興を買わなくて良かったぁ〜。



監視塔に登るのが結構きつい。

いや、ほら だから 勉強しかしてこなかったしー、何かあったら大変!とお茶会や夜会も殆ど出た事ないしー、目が回るしー、はぁーキツイ!!


「大丈夫? あとちょっとだよ、うわー、凄い汗に 息……少し休む?」

「う、うん ちょっとく、苦しい…ぜーはーぜーはー。」

「ぷふっ。うん、あっ見て やっぱりまだ見ちゃダメ。」

スタンビーノはレティシアを抱きしめて背中をさする。

だからレティシアはスタンビーノの胸に体を預けて暫し休息。

「こっちに顔を向けちゃダメだよ。」

「何で?」

「その顔を見ていいのは俺だけだから。」

囁く声にゾクゾクする。

「バカっ。」

あっ、馬鹿って言っちゃった。


「あと少し行ける?」

「うん。」

そういうと手を引いて登ってくれた。

「さあ、ついた。目を閉じて…いいって言うまで目を開けちゃダメだよ?」

ん? この言い方スタンはここに来た事があるのかしら?


「さあ、いいよ 目を開けて。」


!!!

「ふわぁぁぁ!」

絶景だった。柔らかいオレンジ色の光が灯 街は昼間の賑やかな顔とは違う厳かな気持ちになった。まるで聖夜の蝋燭を見つめている気分。

その光は本当に温かく一つ一つの明かりに人々の営みがあった。

そこに住み家族を作り必死に生きている それが胸に突き刺さる。私たちが守るべきもの。


「どう?」

「……綺麗… 凄く綺麗で 凄く重いわ。この一つ一つに人々の生活があるのね。私たちが守り支えるもの、そして私たちを生かすものたち。なんだか胸がいっぱい…だわ。」

「ああ、そうだね。私たちはこの灯りを守るために頑張って来たんだね。そしてそれが存在価値…その通りだね。こんなに沢山の命がある…重いね。」


暫く2人でその明かりを見つめた。

それぞれが決意を新たに胸に深くこの光景を刻んだ。




ハラダーニュ国のリアーナも最近は毎日祈りと祈りの合間に街に出ていた。

この頃のジャビスタ第3王子は偽レティシアに夢中で連日少しでも都合がつけばどこにでも連れて歩いた。


リアーナもレティシアほどではないが十分美しい女性だ。

しかもレティシアとして生きているため慎み深く上品に見えた。第3王子と謎の美女の噂は瞬く間に広がって行った。当然 婚約者キャスリーンにも実家のトラベルト侯爵家の耳にも届いていた。そして王家に苦情が入った。


「ジャビスタ! 秘匿すべき存在をどうして連れ回しているのだ!! 分かっているのか? ここにいてはならない存在なのだぞ!!」

「分かってはいます。でも寂しそうなあの方を少しでも癒して差し上げられれば、この国を好きになって貰えたらと そう思わずにはいられないのです! 

あの方はこんな軟禁状態であるにも関わらず毎日祈りを捧げてくれています。

逃げ出そうともせずにひたすらこの国に尽くしてくださる。

聡いあの方は 自国に帰ることはもう出来ないかもしれない、そう思っていても我が国のために祈りを捧げてくださるのです!

私は少しでもお慰めしてこの国を好きになっていただきたい! あの方が笑えるように尽力したいのです!!」


「ジャビスタ…分かっておるのだろう? お前がどんなに思いを寄せてもあの娘との婚姻は結べない、側室にも出来ない。この国には存在してはならないのだから、つまりお前はトラベルト侯爵家と婚姻を結ぶ そうなった時、あの娘の存在をどうするつもりなのだ?


もし子供が出来ても誰にも認められない望まれない許されない…存在してはならない者を囲い続けることなどできまい。その子供はお前を恨むであろう、いくら慈しんでも戸籍を持てない子供は所詮 庶子として使用人として生きていくしかないのだぞ? 目を覚ましなさい!!」


「ジャビスタ王子殿下、あの方が毎日祈りを捧げてくださっているのは有難く存じます。ですが、宝玉は一層禍々しくなり 各地からの報告は甚大な被害ばかり…既に 側に置いて祈りを捧げるだけではどうにもならないとの証明ができております。 次の段階を考える時期に来ております。」


「そ、それはどう言う意味ですか!? 次の段階とは?」

恐る恐るジャビスタは聞いた。

だが誰もそれに返答しなかった。


「トラベルト侯爵にはお忍びで来ている他国の王族ゆえそなたが相手をしているだけだと返答した。もうすぐ自国に帰る予定だと。

良いな、祈りの補佐は今後はそなたではなく バマラーン第2王子とする そなたは暫く皇太子の政務の補佐につきなさい、分かったら戻りなさい。」

「父上! 次の段階とは何ですか!? 父上! まさか…嫌だ! 嫌だ!! 彼女が何をしたというのだ!! 考え直してください! 父上―!!!」

護衛に伴われジャビスタ第3王子は退出させられた。


ジャビスタは厳重な警備の元 レティシアには会えなくなってしまった。



コンコンコン

「失礼致します。 バマラーン第2王子殿下がお見えです。」

「お通しして。」


「竜妃 レティシア・マルセーヌ妃殿下にご挨拶申し上げます。ハラダーニュ国 第2王子 バマラーン・ハラダーニュでございます。

いつも神殿に同行しておりましたジャビスタ第3王子が別の任務に就くことになりましたので、今後は私がご一緒に参ります。ジャビスタ同様 何なりとお申し付けください。」


レティシアは同行者がジャビスタから自分に代ったと言っても動揺は見られなかった。

上から下まで舐め回すように見るバマラーン。


「第2王子殿下がその様な物言い…レティシアで構いません。では 参りましょう。」

「他国の妃殿下ですからね、不敬になるでしょう? それともジャビスタの様に私も可愛がってくださいますか?」

バマラーンはこの国の第2王子 立派な第1王子である皇太子がいるのでバマラーンはあちこちの女性と浮名を流していた。未婚の令嬢から立派な家の夫人の熟女まで女性であれば地位と金をふんだんに使って一夜の恋を楽しむ。相手もバマラーン第2王子が相手だと火遊びと分かっているので後腐れのない関係と割り切っている。

本気になる女性は何となく分かるもので そう言った相手には手を出さない。

根っからの女たらし。ジャビスタの二の舞にするわけには行かないので、百戦錬磨の女たらしのバマラーンに白羽の矢が立ったのだ。


「私より年上の王子殿下にそれこそ不敬です。行かぬのですか?」

「えっ? ああ、参りましょう。」

人に好みはあれど、女性が自分を見て秋波を飛ばさないことは今までの人生で一度もなかった。レティシアは物静かに視線を動かすバマラーンに興味を示すことはなかった。



レティシアは神殿へ行き静かに祈りを捧げた。

既にここへ来てから毎日1日に3度も行っていること、誰かが教えずとも勝手知ったるだ。

レティシアはいつものように祈りを捧げると、自室へ帰っていく。

あまりに淡々としていて、こちらに擦り寄る様子がない。


ジャビスタを籠絡した手腕は微塵も見せない…これが手なのか?

そう思ったが違和感が拭いきれない。

そこでレティシアの侍女・護衛に話を聞いた、てっきりジャビスタと一緒の時はしなだれかかり男に甘えるのかと思いきや、レティシアから何かを頼んだ事は1度も何もないというのだ。『帰りたい』その1言も言ったことがないという。


祈りが終わり部屋に戻れば本を読むか窓の外を見つめるか、ただそれだけだと。


護衛にも連日街に連れ出し、何か買い物をしているのでは?そう思って確認しても 服もドレスもジャビスタが勝手に用意し連れ出しているだけ、街で何かをねだることもないと言う。食事ですら自分の好み一つ言わないと言う。まるで死刑を待つ人形のようだと……。


ジャビスタ王子殿下は籠に囚われた鳥に籠の中でも生きる気持ちを持って欲しいと手を尽くしておられたように思います。


ジャビスタが片想い? はっ! 逃げるための演技だって気づかないなんてアイツも甘いな。そう心の中で毒づいていた。

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