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断罪後の公爵令嬢  作者: まるや
36/61

36、街でデート スタンとレティ

「スタン ギュッてして?」

「ん? どうした?」

「んー、何だか最近眠いの。」

「そっか、いつも限界まで頑張るからな〜、ほらおいで。」

「スタンはいつも温かくて安心するの。側にいてくれて有難う。」

「ふふ 本当? 嬉しいな、レティの温かい場所になれて。

ねえ、レティ 明日はデートしようか? 王子と竜妃じゃなくてただのスタンビーノとレティシアになって一日中のんびりしよう?」

「ふぁぁぁぁ、デートって初めてだわぁ。うふふ 楽しみ!」

さっきまで眠いと目を擦っていたのに 今は明日のデートの胸を弾ませている。


「…ごめんね、私は婚約者としても旦那としても最低の人間だな。

そっかー! ごめん! 本当ごめん! はぁー、何度謝っただろう……もう 自分が嫌になる。 レティを大切にしようって思ったのに、忙しさを言い訳にして何もしてあげてないんだな。よし! これからは今までしなかった事しようね!」


「……そうか デートもしないで結婚って そうなのね、でも普通が分からなかったからおかしいとか悲しいとか思ってないよ?

でも、これからスタンとたくさんお出かけできるって事でしょう? 嬉しいなぁ。」

「んー、可愛いレティ ちゅうちゅうちゅう。

ああ、レティと結婚できて良かったぁ〜、今まで知らなかった感情をレティと一緒になってから知って自分でも驚いているよ。

愛しいって感情も温かくなる心も守りたいって思う感情も 誰にも取られたくないって気持ちも自慢したくなる気持ちも 欲望で淫らな気持ちになるのも…全部レティが教えてくれたものだよ、有難う ちゅう。」

「私もね、スタンとの時間を守りたいって思う。大好きよ旦那様。」


幸せな気持ちでスタンビーノの胸で眠り、翌日は本当に朝から休みとなった。

皆 レティシアに楽しい一日を過ごさせてあげようと準備に勤しんだ。



鏡の前に立つ街娘の格好はシエルとの旅を思い出させた。

『ふふ あの頃はまたここに戻ってくるなんて思わなかったな。

前世からずっと恋人もいた事なくての結婚だったから どうなるかと思ったけど、うん案外 人に少しは甘えられるようになって来たよね?

旦那様は王子様 乙女ゲームの悪役がまさかのヒロインポジションとは驚きだけど、ちゃんと自分の人生を歩めているよね? ちゃんと自分の足で立って生きているよね?


そう言えばデートって言うデート初めてなんだけど 意識するとどうしていいか分かんないや。

ゲーム内ではイベント発生して選択!なんてやったりアイテム購入したり好感度上げたりしてたけど、正直 ヒロインでも無いし…普通が全部分かんないな。悪役の選択肢はないしなー。デートって受け身でいいの?秘書だとあらゆる事前情報を用意して臨機応変に準備してたんだけど、街についても何も知らないし、目的も知らされていないし、妻のこの時の役割は何だろう?


ぐるぐる考えているとすぐ後ろにスタンビーノが立っていた。

「うん、凄く似合ってる…どんな格好をしていても綺麗だよレティ。」

「スタン…。」

「どうしたの? 体調が良くない? やっぱりやめる?」

「違うの…デートって意識したらドキドキしちゃって、どうしていいか分からなくて…。

き、緊張してしまって。」

「あはははは 可愛いなレティ! 実はちゃんとしたデートは私も初めてだよ?

前にテレーズと あっごめん。 コホン 街に出かけた事はあったけど、街に出てすぐに帰ってしまったしね。

私たちは結婚もしたしずっと一緒だったのに 初めてのデートだなんて、不甲斐なくてごめん。でも、私たちの初めてをこれからは一緒に時間を作って積み重ねていこう?」

「はい、お願いします!」

「ふふ いいお返事だね。」


廊下に出るとレティシアがモジモジしている。

「どうしたの? 気になる事でもある?」

「あ、あのね…は、はしたないかもしれないけど! こ、恋人繋ぎをしてみたいの!」

「ん? 恋人繋ぎ? どんなの?」


「えっとね、普通はこうして手を繋ぐけど 恋人繋ぎはこう繋ぐんですって。」

指と指が1本ずつ交互に重なりしっかりと繋がる。

「へぇー、これが恋人繋ぎか…うん、いいね。じゃあ行こうか!」

「はい。」


はぁぁぁぁぁ、恋人繋ぎぃ〜! 

やだ、ちょっと人生初なんですけどー。

デートって言ったら恋人繋ぎ! なんて夢見ちゃってたけど、て、手汗が気になる。

なんか、相手の温度とかも…握りすぎかな?とか 案外ハードル高いな。


レティシアは閨の儀式は本で勉強したけどデートについては勉強してないので ちょっと妄想と偏った知識で暴走気味。


王宮門を歩いて潜る。

門番も敬礼して見送る。勿論 後ろには私服の護衛もわんさかついている。

「ふふ ここの道って石でできてたのね。」

「ん?」

「馬車で何度も通ったのに歩くのは初めてなの… ふふ。」

「さあ、初めての世界へようこそ、行こうレティ。」

「はい お供いたします。」


王宮から伸びた道、王宮を中心に5方向へ伸びている。

今回は市場や店が立ち並ぶ道へと歩を進めた。

18年間この国で生きて12年間通った場所なのに 何もかもが初めて見るものばかりだった。キョロキョロしてしまう。


「ねえ、スタンアレは何?」

「んーーー、何だろう? ごめん私も実は初めてで…。

ラーズ、サック分かる?」

「アレはロメリッド国の商品を取り扱う店のようです。」


「レティ興味あるの? 入ってみる?」

「うん、ちょっとだけ… 実は実際に行ったから何が置いてあるのかちょっと ほんのちょっと見てみたい。」

「ふふ どんなに気にしなくていいよ うん、じゃあ寄ってみようか?」

「いいの? 買わないわよ? ちょっと覗いてみるだけで…いいの?」

デートってどう言うものか分かんない、いいのかな? 間違ってないかな〜?


「ねえレティ いいのかな? 間違ってないかな? おかしくない? 教科書には載ってないって考えてるでしょ? デートの教科書なんてないんだから2人で行きたいところに行って楽しめばいいんだよ。

デートって難しく考えないで 街に散歩に来た そんな感じでいいよ。今日行けなかった場所は次に行けばいいよ、ね? 

私たちは頭で考えすぎちゃうから 計画を立てずに気ままに過ごそう。」

「えへへ そっか 計画を立てないだなんて…緊張しちゃうな。でもスタンとの初めてのデート楽しみたいな。」

「うん じゃあ入ってみよう、それで私に教えて?」

「ええ、勿論よ。」


3時間経っても80mくらいしか進んでいなかった。正直 2人揃っておのぼりさん状態で見るもの全てが初めてで一軒一軒覗いていたらそんな事になってしまった。


「私たちって国の勉強して来たけど あまりに足元のこと知らなかったのね。」

「民の暮らしを沢山勉強したのにね。」

「スタンはお金を出して何か買い物した事ある?」

「実はない。ナディルがいつもいるから選ぶだけだな。」

「私もね、シエル任せで…したことないの。ねえ、あそこで売ってる飲み物買ってみる?」


「ゴホン 恐れながら毒味のないものを召し上がるのは禁じられております。」

「「…………。」」

いや、マジで喉乾いたって言うのに まさか歩くだけ?


「スタン様、私でよろしければ毒見致しますから お2人でお飲みになられたらいかがですか?」

キラキラした目でレティシアが見る。

「そうだな、ナディル頼む。」


2人で話してオレンジスカッシュを1つ頼み2人で飲んだ。

ふぅー、生き返る。

シエルと旅に出た時は危機管理はシエルがしてくれてたし、他国だったから全然気にしなかったけど、自国なのに…自国だからこそ注意が必要なのね。


そう言えば前世を思い出したけど、最近細かいことをどんどん忘れていってる。

自分の名前 必死に働いてたー頑張ったー殺されたー みたいな感じで大まかにしか覚えてない? こっちはこっちで忙しいから昔のことを思い出しておセンチにって浸る時間もなかったし、『竜妃』とかになってこのままだとマズイ感じだし、長生きしたいって目標立てたのに 今のままだと詰んでる感じ、スタンのお嫁さんいつまで出来るのかなー?



「ボーッとしてどうしたの?」

「ん? んーーー、こんな自由で幸せ初めてで すごいジーンとしちゃって。

…いつまで続くのかな? ゆっくりできたんだからまた死ぬ気で働け!とか誰かに叱られるのでは!? そんな妄想しちゃって。」

「んー、確かに。 今まで少しも自由がなかったから いざ自由にしていいよって言われても何していいか分からなくなるね。

さっきからデートって言うより視察って感じが否めないしね。」

「この格好であちこち見るのは楽しいよ。うん 今が幸せだから少し不安になるだけ。」

「そっか…、 ねえ 疲れてない? どこかに座ってゆっくり話でもしようか?」

「ええ そうしましょう。」


普通のデートに仕事の話しはタブーだが 普通と違って夫の仕事場に妻が同行し手伝ってもいるので共通の話題が多岐に富む…でも やっぱりいつの間にか話しは仕事の話になってしまう。 同じ場所に立ち同じ方向を見つめこのヴァルモア国をどうして行きたいか理想を語り 話しは尽きなかった。


レティシアも自分の目で見た他国の話をし、2人でメリットやデメリットを話して夢中になっていると あっという間に夕方になっていた。


「ん、冷えて来たね。おいで。」

肩を抱いて手を握る。

「ごめん 折角のデートだったはずなのに…結局仕事の話しばかりになっちゃったね。」

「うふふふ 私たちって結局仕事人間の似たもの同士なのね。

すっごく楽しかったよ! スタンは聞き上手で私の話を真剣に聞いてくれるから役に立てたようで凄く嬉しい。」

「実際に現場で見たり経験したことは本では知ることができない裏側が知ることが出来て凄く興味深かったよ。それに私はレティの感覚を信用している だから凄くためになったよ。ほら、報告書には主観や第一印象、匂い、触感、インスピレーション そう言った個人的感覚は削ぎ落とされてくる。でもそう言った『何となく気になった』感覚って馬鹿にできない。個人的に話しても私の立場上 確定した事実しか皆口にしない、だからレティの話しは違和感なくストンと落ちてくる。

あー、私も行ってみたいな…あっ、ごめん! レティは行きたくて言ってた訳じゃないのに。」

「くすっ、大丈夫よ。スタン追いかけて来てくれたじゃない。あんな場所で会えるって私の事ちゃんと見ててくれたんだなって思ったし。モントラ山しか2人では見られなかったけど。、いつかおじいちゃんとおばあちゃんになってのんびり出来るようになったら2人で行けるといいわね。」

「うん、凄く素敵だね。あっ、でもモントラ山…ヨボヨボじゃいけないかも。

もうすぐ皇太子になったら 更に忙しくなって自由がなくなる…ごめんねレティ 暫く イヤかなり長く待たせちゃいそうだけど待ってて。

その代わり健康に気をつけて元気な老人になるよ!」

「あはははは うん! うん そうだね! 元気な老人! 最高!」


「ん? レティ変わった?」

「おかしい?」

「いや 別に。なんか1年前とは別人みたい。」

ドキっ! 前世を思い出したから…確かに今 MIX状態。油断して令嬢仮面忘れると前世の素が出てたりする。

「へ、変かな?」


「ん? 変じゃないよ。んー、ほらレティって王妃教育で完璧令嬢の箱の中に本当の自分を閉じ込めてた感じでしょ? その箱から出てきて本当の自分を私に見せてくれているなら嬉しい。ん? ちょっとニュアンスが違うかな? レティも本当の自分がどんな人間か分からない…心のままに行動したら 自分はこんな人間だったって知る うんそっちの方が近いのかな…。だから んー、新たな一面を知ることが出来て嬉しい…それが1番しっくりくる。

だから私には そのままのレティを見せて ちゅう。」


「………… ふぁぁぁぁぁぁ!」

「な、何!? どうしたの?」

「ス、スタンが格好良すぎて心臓がバクバクする!! ふぁあ! め、免疫がないの。こんなに格好いいいいいいい人が本当に私の旦那様だなんてぇぇぇ はぅ 幸せ。」

ゲームと違って破壊力が違―――――う!!


聞き耳を立てている護衛たちも思い描いていた完璧令嬢のレティシアが 若干壊れてて驚愕していた。


「もしかしてレティはこう言う王子様然が好きなの? 甘い言葉を吐きまくる完璧王子が好みなの?」

「す、好きって言うか…本当に免疫がないのよ、家ではお父様もお母様もお兄様も公爵家として恥ずかしくないようにって言われて冗談を言ったりもなかったから 皆理想の完璧のお面を被っている感じ? それに周りは『竜妃』として一歩引いた対応しかされてこなかったから…、王宮ではお爺ちゃん先生と目を吊り上げた夫人たちしか周りにはいなくて…こんな風に笑顔を向けられたこと…なくて ゴクン は、恥ずかしいぃぃ。ドキドキして何も考えられなくなっ!」


ちゅうちゅうちゅう


あっ、ベロちゅう 路ちゅう 恋愛中

違う、違う、違う! 理性! 仕事してぇぇぇ! 

人妻なはずなのに …レティシア 崩壊。


トロン くたぁ はぅ サイコーかよ スタン…キスが前より上手くなってるみたい


「レティ可愛い。外じゃなければ押し倒してる。」

耳元でそっと囁かれて 更に真っ赤になってスタンビーノを見つめる。涙目でフルフル首を振って必死に抵抗。

「分かってる、そんな可愛い顔 他の奴には見せたくないからね。」

また耳元で囁かれる。くぅぅぅ腰にくる! そうだよね、人気声優さんのメインヒーローのイケボが脳内蹂躙。はぁ、43年恋愛バロメーター最低の私には意識した途端 初心者が過ぎてどうしていいか分からない。


「さっ、行こうか?」

差し出された手に自分の手を重ねて立ちあがろうとした。

カクン 

腰抜けた。

咄嗟にスタンビーノが腰を支えてくれた。

全員 目が点になって 言葉を失った。まさか腰抜けたの? えっ? 夫婦だよね?

床入りしてるよね? 何で今更?


「くっくっく、大丈夫? レティ… 凄く真っ赤だよ?」

「スタンどうしよう?」

「ん? えっ、どうした? 何があった?」

「ス、スタン… 私 今 初恋を自覚しました。」


ガシャん! 

あっ、誰かが剣を落とした。

だって、だって 分からなかったんだもーーーーーん。

18歳 何度もエッチしている夫に恋を自覚した瞬間はキスの後の魅惑的な視線です。スキ。

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