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断罪後の公爵令嬢  作者: まるや
26/61

26、リアーナの処罰

「リアーナ・ドリトルを連れて行け。」

「王子殿下! 王子殿下! 誤解です! お願いです!! ど、泥棒なんて何かの誤解なんです!!」

「厚かましいな、お前がここに入って3日目で指輪をポケットに入れて部屋に持ち帰ったのも分かっているのに。」

「な、何でそれを!」

「レティが住む場所に私がただの使用人など置くものか、お前以外は全て一流なのだ。

レティが気が休まる様に、と従姉妹を置いたのだが……全くの無駄だったな。余計な心労を増やしただけだった。」


目で合図をするとリアーナは引っ立てられた。


夜にレティシアは父に詳細を書いた手紙を認めていた。

「レティ、何しているの?」

「スタン 今日はお骨折り頂き有難うございました。これは父に…リアーナについて報告をと思いまして。」

「ああ。レティも知っていたんだね。コッソリ処理するつもりだったんだけど。」

「まあ宮を好きに取り仕切るくらいなら我慢をしてあげられたんだけど……最初にポケットにしまったのがスタンが贈ってくれた物だったの、 今後ずっと大切なモノを奪われ続けるかと思うと…放ってもおけないでしょう?

従姉だし、お母様の妹 カリーナ叔母様の事もあるから穏便に済ませたかったのだけれど…リアーナったら 杜撰で行き当たりばったりで…コホン 大胆で、隠蔽のしようがなかったの ごめんなさい。」

「いいんだよ、まあお陰で暗殺者を釣る事ができたしね。」

「分かったのね。」

「ああ、シャドウが総力をあげて証拠を掴んできたよ。」

「お手間を掛けさせました ちゅう。」


「誤魔化されたのかな?」

「隠しているつもりはないのです。ただ……。」

「ふふ 2人きりなのに口調が… 無意識なの?」

「そう…なのね。うん 無意識。少し調べていることがあるの。確かめたいの、そう 確かめたいのよ。」

「うん 分かったよ、きっと話せる時が来たら話してくれるよね? 危ない事は…どうしても必要なら私がいる事を忘れないで。私が出来る事は手伝うから。」

「うん 有難うスタン 大好きよ。」



レティシアはどうやら隣国 ハラダーニュ国を調べている様だった。

何故かは分からない。先日面会していたペンドール伯爵もハラダーニュ国との交易をしている。ここ最近興味を示すのはやはりハラダーニュ国に関わる事だ。

理由は分からない…私がレティシアの周りに気を配っている事は知っている心配している事も傷ついて欲しくないと思っている事も それでもまだ真意を教えてはくれない。

信頼していない訳ではないだろう…どう言う事なのだ? いったい何があるって言うのだ? 何を隠している…いや何を躊躇っているのだろうか。

最近一抹の不安がいつも付き纏う。




数日後 リアーナの両親がレティシアに謁見を求めて来た。当然スタンビーノ王子殿下にも。会議中であれば終わるまで待ってもいた だが全て却下された。

せめて詳細を知りたいと言えば捜査中とし却下された。 だが時間がないここで引き下がることなど出来ない、裁判が始まれば揉み消せるものも揉み消せなくなる。

何度も何度も謁見を乞い願う。


「ふぅー、諦めが悪いな。」

「それはそうでございましょう。娘の助命と言うより伯爵家お取り潰しの危機なのですから、諦めきれぬ事でしょう。」

ギルバートが答える。

「煩わしいな。先日の刺客は殺害目的で侵入したのにレティシアがどこにいるかは知らなかった。レティシアを殺す目的は何だ? 結婚した今こんなあからさまにレティシアを執拗に狙う意味が分からない。 しかも不可解なのは心臓を持ち帰れなど…どう言うつもりだ? 心臓など誰のものか確認など出来ないではないか…。」

「はい まったくです、 恨みでしょうか?」

「恨み? レティシアは外と関わりはほとんど無い。」

「ですが…、妃殿下暗殺に関わったものたち若しくはその家族は優秀な跡取りを失った訳です。妃殿下がご無事でご結婚まで出来るとなれば、身分の回復又は補償を求めたりするものではないですか? でも今のところその様な動きはない。考えられるのは深く反省しているか 除籍された子供に興味ないか、回復させるべき本人がいないかなど… 本人が既に死んだ場合はその恨みは王家又は妃殿下へと向かうかも知れません。」


「テレーズ以外は家からの抗議は恐らくない。だが警戒するに越した事はない 頼むぞ。」

「はい。」


「ところでレティシアは今どこにいる?」

「神殿です。」

「そうか。  ドリトル伯爵家はまだいるのか?」

「はい、今日も朝から王宮が閉じられるまでずっと来ております。」

「まあ、真相は知りたいだろう。折角だ … 裁判の場にご招待しよう。」



結局 ドリトル伯爵夫妻はレティシアに会う事は叶わなかった。

娘リアーナには縄がかけられ兵が両脇に控えており中央に立たされている。

中央にはスタンビーノ王子殿下、その横は空席。右側には捜査関係者、左側には近衛騎士が控えている。その中にはハッサンやシレイラもいた。


ドリトル伯爵夫妻は必死に会場内のレティシアの姿を探すが見当たらない。


「これよりリアーナ・ドリトルの裁判を行う。」

最初 レティシアが一度も会ってくれないまま裁判が始まった事に憤りを感じていた。

こんなにも懇願しているのにたった1度もレティシア本人とは会う事どころか手紙すら突っ返されていた。恨みを込めてレティシアが座るであろう空席の椅子を睨みつけていた。

だが、リアーナの不敬、着服したモノのリストが読み上げられるとその目から怒りの感情が消え怯えの色が見えた。


そして盗んだ品を売り捌いた店の店主と品物も全て並べられていた。

手にした金で何をしたかも詳細に報告された。

最初は宝石などに替えられていたが、次第に大胆になり王都に家まで購入していた。王家しか取り寄せられないような食べ物やドレスや宝飾品にも姿を変えリアーナの自尊心を満足させていた。


それからある日のレティシアのスケジュールが伝えられた。

かなりの多忙でその日は昼休憩は取れず、公式行事もあり深夜まで部屋に戻る事はなかった。(敢えて忙しい1日をチョイス) そしてその日のリアーナの1日も発表された。

前夜の深酒で起きてきたのは昼過ぎ、部屋を侍女に片付けさせる。

レティシアの部屋で、レティシアのベッドで、レティシアのドレスを着て、レティシアの宝飾品を身につけ、レティシアに献上された食材を使い飲み食いし、レティシアの宮の使用人を使い、レティシアのバスルームで風呂に入りながら酒を飲み、レティシアの宝物庫から物色した物品を持って街で売り捌き買い物をし戻って自分に晩餐を作らさせ、レティシアのベッドで眠る。侍女としての役割は何一つ果たしてはいなかった。


ドリトル伯爵夫妻は信じられずに言葉もなく首を振っている。口からは声にならない声が漏れ、娘リアーナに『全て嘘だよな?』懇願するような顔で見つめていたが、その顔に嘘ではないと知り絶望していた。

この場にはレティシアの父もいた、詳細を知るためだ。裁判がどのような判決を迎えるかは分からないが、少なくとも妻の妹の家の話だ、全てを把握するために出席していた。だが思っていたよりリアーナが酷すぎてこちらも絶句していた。


「何か申し開きしたい事はあるか?」

「あ…だって レティシアはいつも殿下のところで生活してて帰ってこないから…。

最初は少しくらいならいいかな?って思って…でもその内 妃殿下宮で暮らす自分が妃殿下になった気分になっちゃって…やめられなくなりました。」


「それからここからが本題だ。リアーナ お前はレティシア妃殿下宛に贈られてきた献上品及び証拠品などを外に持ち出す事が難しいと思ったものは、妃殿下の宮殿に人を呼び寄せ 査定させ金を受け取り品物を持ち帰らせた。間違い無いな。」

「はい。」

当然 リアーナも『お口すべーる』の効果で包み隠せずペラペラ喋る。

その返答にリアーナの母は椅子から崩れ落ちた。


「その店主は自慢気に話していた…『これはレティシア妃殿下の私物です。懇意にさせて頂いている私は直接宮殿に呼ばれ下賜されたもの、私はこの栄誉を皆様にもお分けしたい、今ならお安くお売り致しますよ』 この謳い文句で客寄せし、刺客まで誘い込んだ。」

「う、嘘よ 私知らない、そんな事知らない!! 刺客だなんて、私はただこの男にモノを売っただけ! レティシアを殺そうなんてしてない!!」


シーーーーーーン


「この通りだ、ドリトル伯爵夫妻 レティシアに謁見を申し込んでいたがそれは全て私が却下した。これ以上彼女が悲しみ煩わされるのを見たくなかったからね。

レティシアに敬意を払えと何度注意されても、『レティシア、レティシア』と敬称もつけずに自分の方が立場が上かのように振る舞い不敬を重ねる。今更 そなたたちがレティシアの慈悲に縋ったとしてどうにかなる問題ではないと理解したか?

だいたいレティシアはこの1週間ほど神殿に篭って儀式を行っているので会う事など誰にも出来ないのだ。」


「さて、ドリトル伯爵夫妻 ご息女リアーナの犯した罪の深さをご理解頂けましたか?」

「あわわわわわ。」

「許してください! 許してください!! ちょっと自分の立場を勘違いしてしまったのです。これからは誠心誠意レティシアに尽くします! 本当です! 2度とレティシアのモノに手を出したりしません、許してください!!」


「はっ黙れ、ドリトル! お前たちは娘にどんな教育を施したのだ! 誠心誠意尽くすと言ったその口で不敬にもレティシアを呼び捨てにする神経! 何も言わないからと勝手にマウントをとってレティシアを下に見る その性根の醜悪さ!

レティシアはこの様な者でも従姉だからと盗みに気づいていると遠回しに忠告した、ハッキリ口にして仕舞えば罪を問わないわけには行かないからと その心遣いをレティシアは自分の言いなりと勘違いしたのだ! 呆れてものも言えぬ。」


「因みに刺客も全て捉えておる。ドリトル伯爵…残念ですがリアーナ・ドリトルは処刑とする、そしてドリトル伯爵家は取り潰しも免れない。 リアーナが与えた損害は全てはドリトル伯爵家から回収とする。足りない分も生涯返済とする、 リアーナを連れて行け!」


「…イヤイヤイヤイヤ イヤー! イヤー! イヤー!」

リアーナは兵によって連れ出された。

ドリトル伯爵夫妻は力が抜けてしまってその場から動けずにいた。

呆然として何も口に出来ないし、立ち上がる事も出来なかった。

気付けば部屋にはドリトル伯爵夫妻とスタンビーノ王子殿下と護衛しか残っていなかった。


スタンビーノ王子殿下は辛抱強くドリトル伯爵夫妻が立ち上がるのを待った。


「あっ、殿下……。」

「残念だよ、レティシアのいい話し相手になればと思っていたのに…。」

「申し訳ございませんでした。」

魂が抜けた様に肩を落とし放心状態だった。


「さて、リアーナの罪は分かっただろう? レティシアに贈った両陛下並びに皇太子ご夫妻、そして私からの贈り物を売り捌き 賊を宮殿に引き入れた…残念だが 助ける事はできない、命をもっても返しようもない。王宮に刺客を引き入れるなど密偵と疑われても仕方ない……そうだろう!」

「はい、年が近いと安易な考えでリアーナを送り出した事を後悔しております。」


「ふむ…そこでだ、まあどちらでも構わないが、一つ提案をしようと思う。

一つは先程聞いた通りの未来だ、もう一つは… リアーナがそんなにもレティシアに成り代わりたいと言うなら…それも良いかもしれない。」

ん? どう言う意味だ? 殿下はリアーナを気に入ったのか? これは側室のお誘いか?


「リアーナをレティシアの身代わりとして刺客に誘拐させてみようと思う。当然、バレそうになっても我々は助けられないが…どこへ運ばれるのかを知りたいと思ってね。黒幕を知りたいのだ、雇い主ではなくね。

さて、どの道リアーナはこの世から消えなければならない……、同じになるであろう『死』と言う結果だとしてもやはり身代わりは心情的に許し難いと言うなら……、そうだな もし身代わりを引き受けるなら伯爵家は存続とし領地の召し上げだけで許してやろうと思うがどうかな?」

「はっ!?」

「えっ!?」


理解が追いつかない。

「それは娘を売れと言う事ですか?」

「どうとっても構わないが… 私はチャンスをあげたつもりだよ? レティシアが悲しむだろう? 従姉が死んだ、叔母夫婦は家がなくなった、もう1人の従姉妹も家がなくなったから今後結婚は難しいかもしれない。そう聞いたら心優しい彼女は心配するだろう?

だから妥協案だ、勿論 隠す事の出来ない罪だ、私は罪には罪として厳しく対応するゆえどちらを選んでも構わないが…、伯爵を名乗れなくなったら君たちはどこまで出来るだろうね?」


「ああ、そんな〜 リアーナ……マリアン……。」

「あなた考える余地なんてありませんわ。リアーナは可哀想だけどどの道死ぬ運命なら…私たちだけでも生き残るべきだわ! 弁償だってどうするのよ! 平民になってどうやって返していくって言うの! 冷静になって頂戴! 反逆者の家族なんて私嫌よ!!」

「カリーナ……ああ、でもリアーナが連れ去られ…うぅぅ心臓を……抉り取られるなんて。」

「うっ……。」


「お前たちも人の親だ、すまないこの話しは忘れてくれ。今の話しは秘匿せよ。」

そういうとスタンビーノ王子殿下はその場を去ってしまった。


決めきれなかったドリトル伯爵、機会を失ってしまい失意の中で泣きくれるカリーナ伯爵夫人、数時間後 リアーナの処刑の日取りが発表された。




テレーズがいくら探してもノーマンは見つからなかった。

仕方なく1人で王宮へ行き不当だ言って、身分の回復を求めた。だが誰も取り合ってはくれなかった。身分もない後ろ盾もないブレーンもないただのテレーズではどうにもならなかった。


ああ、こんな時ノーマンがいてくれれば。

やっぱり せめてアシュトンとグレッグが必要なんだわ!  アシュトンは牢の中だけど…グレッグにもう一度話をして一緒に王宮に行ってもらおう!!


早速グレッグの勤務地へ向かった。

だがそこにグレッグはいなかった…急に辞めてしまったらしい。


えーーー! どうしてよ! どこに行ったって言うの? まさか私の事が迷惑だって言うの!?

困ったなー、アシュトンは牢の中なのにー!! もうぉぉぉぉぉぉぉぉ!!


別の日アシュトンに会いに行くとアシュトンもいなくなっていた。

えっ!? どう言う事!?  そこには煩いアシュトンの母親がいるだけだった。上品で優しそうな人だったのに今はほつれ髪が酷い目が落ち窪み老婆みたいだった。

「ねえ、アシュトンはどこ行ったの? 教えてよ。」


「アシュトン? ああ、あの疫病神か! 知るもんか!」

なんか酷いこと言ってるけど……この人カーライル公爵夫人だよねー?

こんな乱暴な話し方する公爵夫人見た事がない。


ああー、それよりアシュトンもいない、ねえ皆どこ行ったのよー!!!

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