青空
私はアルバイトを始めた。
独り暮らしをする為に。
心咲「私。
私は、、
どっちとも居たくない!
私は、、
皆で一緒に暮らしたかった、、
だから2人のどちらかとなんて居れない。」
あの日の帰り。
背中を押された私は、
口論する両親に割って入り、
反抗をした。
何だかすっきりした。
その後どうなったかは分からない。
相変わらず、バイトから帰っても、
両親は家には居なかった。
子供が口を出しても、
どうにもならない事もある。
ただ、
言わない後悔よりも、
言った後悔の方が、
場合にもよるけれど、
時には良かったりもする事もある。
ある日。
テーブルの上に手紙があった。
2枚。
お父さんとお母さんの。
お父さん「心咲へ。
こんな事になって、申し訳ない。
私達はいつからから、
すれ違う様になってしまった。
お母さんが悪い訳ではない。
私がお父さんとしての、
役割や、責任を、
きちんと果たせなかったからだ。
いつも、喧嘩ばかり見せてしまい、
申し訳ない。
お母さんとは距離を置くことにした。
きちんと向き合える様になったら、
お母さんとまた居れる様になったら、
3人で出かけよう。
身体に気を付けて。」
お母さん「心咲へ。
いつも、きちんとご飯を
作ってあげられなくて
ごめんなさい、、
お父さんと、日に日に関係が悪くなって。
いつからか、私が望んでいた環境では
なくなっていってしまった。
それにあなたを巻き込んでしまって、
ごめんなさい。
こうなってしまったのも、お父さんを
きちんとサポート出来なかった、
私が悪かったの。
心咲には、幸せになってもらいたい。
だけど、お母さんとお父さんには、
少し考える時間が必要です。
お父さんが心咲を大切に思っているように、
私も心咲の事を大切に思っています。
あまり、無理をしない様に。
自分のペースでゆっくりと、
歩んで下さい。
レンジに玉子焼きが入ってます。
しばらく作ってなかったから、
味がどうか分からないけど、
お腹が空いたら食べて下さい。」
レンジに入ってる玉子焼きを
皿に取り分け、ラップをして、
お父さんの部屋に置く。
タッパーに詰めて私は家を出る。
心咲「お待たせ」
そこには髪の色が落ち着いた
見慣れない制服姿があった。
井藤「よぉ、」
心咲「高校生デビュー?」
井藤「まあ、うん。」
心咲「そっちのがいいじゃん」
井藤「ありが、とう、、」
鞄からタッパーを取り出す。
井藤「手作り?」
心咲「お母さんのね」
井藤「いただきます」
心咲「いただきます。」
空はあの時とは違い、
東屋から見上げる景色には
綺麗な青空が広がっていた。
井藤「うまっ」
心咲「でしょ、」
井藤「まあ、母さんのには
敵わないけどな、、」
心咲「じゃあ、もう。あげない、」
井藤「ごめんごめん、
冗談です。
すごく美味しいです。」
転校先では上手くやってる様だ。
勿論、寝ずに、、
たまに井藤とはこうやって会う。
他愛もない話をして、
図書館で一緒に勉強したり。
私は相変わらず退屈な学校生活を送る。
たまに井藤の姿を思い出したりもするけれど、
私は私で歩んでゆく。
生徒「雨だ」
生徒「まじかよ、、」
生徒「傘持ってきてねえわ、」
生徒「走る?」
生徒「おう!」
無邪気に走ったあの時を思い出す。
私は、、
鞄から折り畳み傘を取り出すと、
ゆっくりと雨の校庭を歩く。
大丈夫。
もう、雨が降っても、、
私には傘があるから、、
井藤「心咲、、入れてくれ、、」
心咲「嫌よ。濡れて帰りなさい」
井藤「そんなあ、、」