異世界は甘くない。
夢に見た内容を描きました。
目が覚めると知らない場所にいた。
どうやらここは森のようだ。
どういうことかと立ち上がり、周りを見渡そうとすると急に頭痛が俺を襲った。
そして全てを理解した。
俺は死んだ。そして異世界に転生した。
そして何か能力をこの世界で暮らすために受け取った気がするが…
ダメだ。死んで新しい体になった影響か思いだせない。
そのうち行動しているうちに気づくだろうか。不安だがそのことを信じて行動するしかない。
深く考えこんでいるうちに、近くの茂みから音が聞こえた。
何かいるのかと、そちらを見てみるとそこには奇怪な生命体がいた。
それは体長は俺と同じほどだった。大きいのかといわれるとそうではない。
俺の身長が子供ほどになっているだけだ。
それの体は茶色の毛皮でおおわれており、二足歩行で腰には布のようなものをまいている。
手にはこん棒のようなものを持っており、顔は動物的というより、人に豚を混ぜ、ビー玉のような瞳にしたら生まれる化け物だ。
それは俺を見ると、口からよだれをたらしながら襲ってくる。
そいつが近づいてきたとき咄嗟に立ち上がり、後ろに下がるが、鼻に強烈な匂いが襲った。
その匂いは獣と泥、垢の匂いを混ぜたような吐きそうな匂いで、それだけでも相当気分が悪くなる。
物凄い匂いに顔をしかめていると、目の前の化け物はこん棒を振り上げ、自身の体に殴ってきた。
恐怖に一瞬強烈な匂いを感じなくなり、目の前のこん棒に注目させられる。
そのこん棒が自身の体に当たれば死にはしないが骨は折れ、相当な重症を負うに違いない。
恐怖に足がすくみながらもその脅威から逃げるように全力で逃げる。
しかしそれでもギリギリだったようでこん棒の風圧を感じ冷や汗が吹き出る。
この体の動きの遅さに辟易しながら自身も戦闘態勢もどきに移行する。
もう一度、茶色の化け物に注目すると関係ないとばかりに、こん棒をやたらめったらに振り回しながらこちらに殴りかかってくる。
またこん棒に恐怖を感じながら、全力で後ろに回避する。
目では武器を探すが、よそ見させてくれるほど敵は甘くない。
肩に少し掠った。それだけなのに相当な痛みが俺を襲い、咄嗟に肩を抑えさせるだがその隙を逃さないかの如く、今度は腕を強打された。
このままでは、さらに攻撃を食らうと転がりながら化け物から距離を取りどこか遠くに逃げようとする。
しかしこの知らない土地でこの化け物から逃げられる可能性は薄そうだ。
ならこの開けた土地で戦うしかない。
痛みに耐えながら、相手を必死に観察する。
相手のこん棒は怖いがどうやら、こん棒の振り方は単純なようで、右から左下、上に持ち上げ、左から右下。そして最後に横振り。というパターンのようだ。
しかし相手は生物。それが特定の型かもしれないし、場合によって自由に振り方を変えるかもしれない。
だから距離をとりつつ、相手から極力逃げながら打開策を考える。
こん棒を痛み覚悟で無理やり奪う?左腕は痛みで思うように動かないが支えぐらいならできるかもしれない。
しかし手を伸ばせば武器を失うときに噛み付かれる可能性もある。打撃よりよっぽど怖い。
蹴り飛ばす?いや体長は同じくらいだ。こん棒を持っている向こうのほうがリーチは上だし、近づかなければできない。しかもそれほどダメージも期待できない。
では助けが来るまで逃げる?その保証がどこにある!しかもダメージをうけているこちらの体力が早く尽きるのがオチだ。
考えては考えては消えていく。
両腕少しは動くが痛みによって使い物にならないし、絶対絶命だ。痛みはずっと俺をむしばんでくるし集中力が全然続かない。
せっかく転生したのに死にたくない。今うけとった力に気づいても、その力が今すぐにやくに立つとは限らない。
本当になにかないかと目の前の化け物を見つめる。しかし殴りつけてこようとしてくるだけで、恐怖しか与えない。
その時近くの茂みから音がした。助けかと期待するがその希望はすぐに打ち砕かれる。
それはもう一体の化け物だった。
しかも色は黒く、鋭い牙になっており、手にはこん棒というより、丸太ほどの大きさの武器を持っている。体長はクレーン車ほどに大きい。
死ぬ。そう頭によぎる。目の前の化け物ならまだよかった。こん棒じゃまだ希望があるし、動きも俺と同じくらいだった。
しかしあれはだめだ。丸太ほどの武器など、当たれば絶対に死ぬし、黒くてわかりずらいが艶のある毛並みでその下には相当な筋肉を理解させる。
目の前の化け物もその存在に理解したのか、即座に逃げ出した。
こん棒を手から放してもお構いなしに、森の奥へと消えていった。
ヤバイ。ヤバイ。ヤバイ。ヤバイ。ヤバイ。
本当に死ぬ。リーチも段違い、武器があってどうにかできる相手じゃない。あの体なら当てても効くかどうかわからないし。
俺はなにも考えずさっきの化け物と同じように逃げ出した。あれは本当にヤバイ。
しかし黒き化け物が一つ、咆哮を上げたと思うと体が急にうごかなくなった。
動こうとしても金縛りの如く動かない。叫ぼうとしても声も出なかった。
そうして、俺は目の前の化け物に武器を振り上げられ、頭からつぶされ、もう一度死んだ。
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