10.隠れ家
遅くなりました!!
今度からは、出来るだけ間隔を開けないようにしたいと思います!!
しばらく小型竜を走らせていると、斜面がほぼ垂直の崖の前で小型竜が止まった。
「ロウ?どうしたのですか?」レイチェルがロウに首を傾げて、聞く。
「ここが俺の隠れ家だ。」ロウの言葉にレイチェルは軽く驚いて、崖をしげしげと見つめた。
「何処にもなにもありませんけど……」レイチェルは疑問に思ったのか、ロウへ疑問を口にする。
「……仕掛けがあるんだ。俺仕込みの特別な仕掛けだ。俺にしか解けないように出来ている。…まぁ、待っていろ。」ロウは薄く笑うと、小型竜から飛び降りた。
「目を閉じていろ。」ロウは静かにレイチェルへ言った。
レイチェルは、ロウの言葉に従って、ギュッと目をつぶった。
ゴゴゴゴゴゴ、と重たい何かが動く音がする。
「開けていいぞ。」とロウから言われたので、レイチェルはそっと、目を開けた。
レイチェルは目を見開く。
ただの崖であったそこに、人ひとりが通ることのできる穴が開いていた。
「何が起きたのですか?」レイチェルはロウに助けを求めれば、ため息をつきながらも、ロウは教えてくれた。
「崖をくりぬいた仕掛けを造っておいたんだよ。ちなみに、仕掛けは俺のオリジナルだから、目をつぶってもらったわけだ。」
「そうなのですね。入ってみてもよろしいでしょうか。」レイチェルは、好奇心の覗く声色でロウに聞いた。
「ああ。入るといい。入口のすぐそばに、ランプが置いてある。それを使え。」ロウは鷹揚に頷いた。
「わあ!!ありがとうございます!!」レイチェルは小躍りしているような、弾んだ声で喜ぶと入口に入る。
ロウはそれを入口で眺めた。
「入らないのですか?」レイチェルは、不思議そうに隠れ家の中で聞く。
「見張りだ。ランプを灯したら言え。入る。」ロウは辺りを警戒しながら、そう手短にレイチェルに答えた。
「ふふ。もうランプは灯しましたよ。どうぞ、お入りくださいな。」レイチェルは、まだ興奮覚めないようで、弾んだ声で、返事が返ってきた。
「そうか。」
ロウは、小型竜を中に入れ、自分の体も滑り込ませた。
素早く、入り口を隠す。
レイチェルに小型竜を渡し、ロウはランプを受け取ると、奥へと進んでいく。
しばらくすれば、生活感溢れる隠れ家へと着いた。
ゴツゴツした岩肌に、ふわふわな緑の絨毯が敷かれ、キングサイズのベットが一つ、机といすも完備されている。
ベットの隅に可愛らしいウサギの縫ぐるみがあるのが、なんともシュールである。
奥へと続く廊下が一つ存在した。
レイチェルは、ベッドの隅にあるピンクのウサギぐるみが気に入ったようで、そのウサギをそっと抱き上げる。
「可愛らしいウサギさんですね。この部屋には似合わないですけど。」レイチェルは、そうロウに言った。
「そう、だな。この部屋には、似合わない。だが、それは大切なヒトに貰ったんだ。捨てることもできなかった。」そう言うロウの目は。
完全な悲しみに染まっていた。




