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複対立

どうも

そろそろ投稿頻度上げないと完成より先に寿命が来そうな気がした有楽です

今日も頑張って1話上げます()

吊られた男(ハングドマン)を使う男、エピールドと雀達の戦いはどんどん崩れていく街を放ったらかしにして熾烈を極めていた。


「僕の役割はここで出来る限りこの街を破壊すること……既にその準備も終わってるし暇なんだよねー」

「儂達との戦いは暇つぶしでしかないとでも言いたいのか? 若造(ガキ)が」

「いや、実際そうなんだけど…ガキの方じゃなくてね?」


その時、ガシャン‼︎と大きな音を立てて、ビルの窓ガラスが割れた。

飛び込んできたのは黒い球場の……


「煙幕だ‼︎」


勇者がそれに気付き、叫ぶ少し前にその煙は放たれていた。

結論から言えばそれは見当違い。


「…‼︎」


おそらくエピールドの更に上の立場の人間が勝手に決めたことだろう。

それは戦いに向かった戦士達を一網打尽にする為の毒ガスだった。

エピールドも又それに気付き、縄で自らの口を封じ、勢いよく窓から飛び降りていく。

無論、勇者達もそれに続くように窓から飛び降りていく。


「…ッはァ……」

「奴の上は奴以上に下衆な野郎みたいじゃのォ……」

「ごめん、あの男は見失っちゃった」

「お前の責任じゃない。 寧ろ良くやったと言いたい。 結論としては違っていたが、煙だと言われなければ考える暇もなくガスを吸ってしまっていたかもしれない」

「そうじゃ。 お主らは安心しておれ…あれは儂が責任を持って探し出す。 お主らは……」


雀は迷っている

彼らをどう扱うべきか。

イブリースがわざわざ差し向けてきたということはなんらかの意味があるのだろうが、一切読めない。

事実、隣の男が果たした役割は毒ガスに気付いただけであり、教えてくれた事に感謝はするものの、実際に彼がいなくてもなんとかなったのではないかと思われる程度の活躍である。

彼らはこの世界にとって一体…


「僕たちはもうこの戦いに参戦する決意を固めました。 大丈夫です…!」


勇者は力強く答える。

彼の決意がこの戦いをどう左右するのかは雀には分からないが、それでもイブリースがわざわざ呼んだのであれば、彼らの好きにさせても構わないだろう。


「なら頼もうかの? ……お主らの実力は相当じゃ。 その力を活かして出来る限りの幹部格を倒してほしい。 勿論、数に応じて相応の報酬も用意するつもりだ」


勇者が一丁前に力強く頷くと、雀は柔らかく微笑んで何処かへと駆けて行った。

ただそこに一枚の紙切れを残して。

そこには、『灯火』の幹部格と思われる者の名前と、その能力と思われるものが並んでいる。


「幹部格って結構いるもんなんだな」

「そうだね」

「そうだ。 例えば……今目の前にいる私だな」

「‼︎」


気付けば『それ』は目の前にいた

全身を漆黒に染め、顔に奇妙なマスクを被ったその男がそこにいた。


「失敬失敬。ただちょっと驚かせたかっただけさ。 ボクはその組織の幹部なんかじゃないよ?」

「誰…?」

「ボクは『傍観者(ドラマツルギー)』。 この世界に存在する全ての戦いに無関係でありながら、全ての戦いを眺めている者…なんて説明じゃちょっと抽象的すぎるかもしれないけど、今はこの辺りが限界かな?」


瞬きの隙に手にステッキを持ったその男は

トントン

と軽く地面を叩く。

すると、先程まで存在していた街は全てまるで泥でできていたのかのようにドロドロと崩れ落ちていく。

そしてその代わりに建造されていくのは。

紫、黄色、赤色、青色。

派手な色で飾られた高層ビルの数々。

夢のように変わり続ける景色の中傍観者は語り続けていた。


「君には『コレ』がどう映る?」

「どうって…そりゃ……」


「大自然だろ…お前がいま生み出した風景なんじゃないのか?」


そう。

それも又一つの可能性であり、正解だった。

最も、傍観者の目にはビル街にしか見えないのだが。


「そこの勇者君は何に見えたのか教えてくれないかい?」

「ボクは……」


165cm程しかない勇者とは違い、190cm程ある傍観者は腰を屈めて、子供を相手にするかのように優しく語りかけた。

すると、勇者の口から可能性の一つが語られた。


「ボクには何も見えてないんだけど」

「……そうかそうか、それはちょっと予想外かな……」


ポリポリと頭を掻き、傍観者は戸惑う。

確かにそれは存在していた。

だが、実際に『そんな可能性が存在しない可能性』という物を目の当たりにすると、戸惑ってしまうものである。


「まぁいい。 今日はただ君たちを一目見に来ただけだ。また今度、じっくり話そう」

「ま、待て‼︎」


気付かぬ内に先程までの景色は全て街に戻っていて、傍観者の姿も無くなっていた。

しかし、その代わりにそこにいたのは。


「ん? 誰だお前ら」

「どなた……?」


この戦争の『悪』側。

しかし、標的(ターゲット)の灯火ではない。


「どう考えても人間じゃないことくらい分かるだろう勇者(バカ)ッ‼︎」

「まぁとりあえず、死んでくれないか」


魔王軍の幹部格であった。

『奇妙なマスク』はガイ・フォークス・マスクみたいなものを想定しています。

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