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理由

なんかこの前投稿したつもりだったんですが出来ていないみたいなので初投稿です()

なんででしょうか


「原因…」


勇者は仲間と共に決戦に臨もうとするその最中

確かに迷っていた。

例え自らが確かに意図しないとしていても

例え自らがその黒幕を知らなかったとしても

その何処に自らがこの戦いを画策していなかったと断ずる証拠があるのだろうか。

先程まで自らが信じて止まなかった『復讐』ですらもが何の証拠もない錯覚だったと発覚したというのに。


「おい、どうかしたか?」

「いえ…特にどうという訳では……」


ガミュルカは自らは平凡なギルドのメンバーに過ぎないと語っていた。

実力が秀でている訳では無いし、歩んできた人生に大きな波は無く、今日この特殊な事情に巻き込まれるまでは特異とは真反対とも言えるようだ。と。

だが、今はその平凡が

平凡でありながらそれすらも自らと認め、自らが歩んだ道と肯定することが出来るガミュルカ自身が

羨ましいと思えてしまう。

自らが不安定に次ぐ不安定故に目の前に存在している安定を目の敵にしようとしてしまっている。

そんな自分を厳しく叱りつけるように自らの頬を叩くと。


「おぉ、どうしたんだ?」

「いえ、なんでも…」


「うわぁ‼︎」

「⁉︎」


まるで呼応するかの様に目の前に少年が転がってきた。

無論、それは前を歩いていた者の中には含まれていない。


「えっと…すいません、今ってギルドの会議…ってギルドメンバーどころかギルドマスターすらいませんもんね……」


彼の名は戌神

自らの犬耳を激しくうなだれて落ち込んでいるこの少年こそがこの戦いで勇者にとっての大切なアンテナとなり得る。


_________________________________________


「さて…」


マドゥは次なる一手を考える。

彼らが集まるであろうスカリアを手中に収めた。

正直に言えば『陣を敷いた』時点でそこに執着する必要はあまりなかったのではあるが、『あれ』はあくまでも最終手段。

寧ろ自爆じみたその装置は本人すらも出来る限り発動を控えたいと思っている。

だとするならば、無数の罠を張り巡らせ

待つ。

この悲願を成就しなければいくら格好を付けたところで意味がない。


「陣の回路を幾らか流用するとして…」

「おい」


マドゥは不意に聞こえた後ろからの声に動揺を隠せない。

地下深くに建てられたこの隠れ家の存在を教えた相手など一人として存在しないし、スカリアには自軍の兵士が無数に駐在している筈なのだ。

そんな状況で数多の兵を掻い潜り、ここまで辿り着ける程の実力を持つ者など…


「まぁ、アンタくらいしかいないだろうなァ…ゼロォ……」

「そんなことはどうでも良い。 早くワクチンを渡してもらおうか」


ゼロはこの男が改心などするはずがないと分かっている。

だからこそ中途半端に希望を持たない。

ただ要求だけを突きつける。

だが、それと同時にそんな要求を受けるような人間でもないと分かっている。


「おそらくお前が狙っているのはここで俺が直接与える情報なんかじゃないんだろうし、ここで俺を殺すつもりでもない事だってこっちは分かってる。 高圧的な態度でもっていくら優位に立とうとしたところで、先に仕掛けたのは俺で、その優位はこの戦いが続く限り揺らぐものではない」

「勿論だ。 お前があのウィルスをエミに投与した時点で主導権はお前が握っていた。 エミの命という人質がある限りお前は私を見下し続ける事も分かっている」


が、とゼロは言葉を続ける。

その先に紡がれるであろう言葉をマドゥは知っている。

それと同時にその言葉が持つ意味の無さをマドゥはゼロよりも深く知ると自負している。

筈だった。


「もし…既にワクチンは開発されているとしたら、君はどう思う?」

「それは驚きだ。まさか慎重な君が『開発する方法が見つかった』ではなく、『開発されている』と強気な言葉で脅しにかかるなんて…」

「違う」

「え?」

「それこそが間違いだ。 私の言葉は一言一句脅しや早とちりをしている訳ではない…」

「私の実験の『失敗作』でしかないあの出来損ないウィルスは徒らに被験者の命を奪うだけだ…それに繁殖力やらも何もなく、直接摂取するしかないような使いようのないウィルスにワクチンどころか研究価値すらないだろう…あれは鍵でもなんでもないただの『ガラクタ』」

「だから研究に加担をする存在がこの世にはいないと思ったか? 私一人でどれだけ理論を展開した所で実行する程には至ることが出来ないと思っていたか? …まさに徹底した合理主義の権化であるお前の考えだ。 他人の感情は一切排除して自らの利益と幸福だけを追求するその態度…最初に見抜くことが出来なかったことだけが心残りだ…だが、」


勝ち誇ったようにゼロは拳を固める。

それはもはや生かす価値の無くなった極悪人に裁きを下すような無慈悲の鉄拳…

その拳は、マドゥに届くことは無かった。


「まったく…だからといって『殺せる』と『殺す』を同一視して自らを過信するのは良くないなァ……」

「‼︎」


突如、研究所の内部に煙が蔓延する。

大量の火と共に。


「流石に侵入されないと思っても対策をするのが真の一流ってモノだろう?」

「クソ…ッ」

「悪いがゼロ。 君には犠牲になってもらおう…もう少し観察していたいとは思っていたが、観察対象であるそのウィルス自体が無くなってしまっては元も子もないのでな…」


ゼロは自らの能力を駆使して地下からの脱出を図る。

が、


「犠牲になってもらうと言っているだろう。 勿論それが逃すことを意味する訳ではないことくらい君にも分かるだろうに…いい加減諦めたらどうなんだ?」


マドゥは逃げようとするゼロを囲うように無数のロボット兵を並べると


「じゃ…俺は一足先にウィルスの回収に向かうとするかな」

「マドゥッッ‼︎‼︎」


悠々と歩いて何処かへ消えていった。

ここも早く更新しないと…

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