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強きこと

この話から続く(であろう)チェイス、アイザック・ジレンマ、記憶編は前23話(暗殺部隊)〜前27話(契約)投稿後に改編されたものになります。

だからなんだと言われると、自分の中で記憶しておく為にわざわざ前書きで長々と紹介させていただいただけです。


「クソ……」


チェイスは夜明けの冷たい風に流されるかのように呟いた。

マドゥはチェイスに対して『更なる障壁の存在』と称して第三勢力の参戦を示唆し、予測可能な範囲として王朝国家キングルゥを指した。

相手は見た目上は極普通の一般人らしい。

それも非力そうな少女だという。

不審な動きをしている相手を追えと言われても、各方位から各勢力が襲いかかる街の中にとっては不審でない動きをしている人間を探す方が難しい。

故にチェイスが行う行動はただ一つ。

殺戮を尽くすのみであった。

チェイスの生活の中で唯一にして不動のもの。

ただ強くあること。

それだけがチェイスにとって自らを定義し得る事実であり、それだけが自らの誰にも誇れないような人生で唯一自らが胸を張れるものであった。


「しらねぇ奴は沢山いたが…第三勢力じゃァなさそうだな……」


屍の山を背にして尚自らの殺意を止めることを知らない地に飢えた狼がそこにいて

そこにちょうどもう一つ


「…なんの音だ?」


(ゴウ)。と耳を劈き

天地をも裂かんとするまでの笛の音がそこに響いた。

方角は南東

丁度ハルディン号という船に関する事件があった場所だ。


「向かう価値は…十分にありそうだなァ」


狩人は決して血の匂いを逃さない。

例えそれが一対一の熾烈な戦場であったとしても。


_________________________________________


「貴方は確か記憶の…」

「私の事を知っているのか…殊勝な心掛けだな」


科学都市キタヴの東に位置する大きな森には、決して近付いてはいけないという場所が複数存在している。

その数多くが根拠のない迷信の類なのだが、中には本当に近付いてはいけない場所がある。

その一つがここ『地獄の入り口』とも称される闇ギルド『記憶』の本拠地である。

彼らは未だ本格的な活動を始めていない故にそこまで危険視はされていないが、実力は今存在するギルドとは比べ物にならないと噂されるほどである。


「イヴィル・アルカード…私が貴方を『救い』ます」

「そういう奴が1番苦手なんだ…やり辛い」


記憶のリーダー

イヴィル・アルカードは中でも不思議に包まれていた。

その姿は各地で確認することが出来ているが、何を為しているのかは一切不明。

ただ知られているのは『実力派』と称されるメンバーを束ねているという実績のみである。

だがしかし、彼らの交流の中で『右腕』『左腕』を重んじているという報告がなされている。

左腕を叱責、右腕を褒賞に使うという話だけが現れるが、それによって何が分かるのかと言われれば、一切の不明である。


「貴方の戦い方が見れるというのは少し興味も湧きますが…」

「私は君の戦い方が気に入らない…」


一方のアイザック・ジレンマ

アイザックファミリーのナンバー2として猛威を振るっている

…訳ではない

混血派

純粋なアイザック家ではない彼女が最も得意とする戦法

それは『不殺』の構え

敵を以てしても彼女は殺意を抱かない。

一切の全てを許し、救い出だすという。

そんな彼女だからこそその他のアイザックは彼女を忌み嫌う。

唯『強く在れ』と教えられ続けた彼らが愛や正義といった言葉で世界を救う様を見ているのはいかにも自分が『無力』だと知らされるようだから

防戦の美を見せつける彼女は民衆(とおく)に好かれ、家族(ちかく)に嫌われた。


「だが、こうなってしまっては戦わないという選択肢は無いようだな」

「決して傷付けはしませんから…」

「それが気に入らないんだがな…」


彼女は誰が望まなくても目の前に在るものを救うためだけに生きてきた。

そうして望まないものは力で『無理矢理にでも』救った。

強きこと

それは自らの我儘を貫き通す力。

彼女は救うためにただ強く在った。

誰もを救うため、そうして自分の弱き心を守るため。

そのためだけに彼女はアイザックに入門した。


_________________________________________


「ねー…暇なんだけどファメロ‼︎」


ペインティは『灯火』の中でも特殊な役割を担う事になっている。

それは現段階では決して表に出てはならないもの。

凄惨な宣戦布告時によってまるでパノプティコンのように恐怖で相手を統治する事。

そして『この戦い』が失敗した時の保険。

彼女は絶対に今出てはいけない存在だった。


「ペインティ…気持ちは分かるがこの作戦はマドゥが何年も前から計画してたんだ、僕たちの数週間数ヶ月は我慢して」

「でも退屈だもん! それにマドゥが勝ったら戦うことも出来ないんでしょ? そんなん無駄じゃん‼︎」

「ペインティ、静かにして」


彼女達はキングルゥという街からマドゥに拾われた子供達。

その役割は『強く在る』事。

昔の主人無き今彼女達に出来るのは

戻ってくるまで生きる事しかなかった。

そしてその為には『強く在る』しかなかった。

彼女達は自分の生きがいを守る為。

世界を灯す

烈火の炎と化した。

彼らは出来れば番外編で生い立ちでも描こうかなと思っている個人的なお気に入りですが、その前にこの話で出てきたハルディン号事件とキングルゥの話を書いている途中なのでなんとかしたいところですね。

一応明白かと思いますが、その辺りはマドゥ番外編となります。

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