神話
いや、間違えて20話を投稿してました(無能)
本当にすいません
チェイスはその昔人類の希望として人類を脅かす者と戦い続けていた。
そして多少の不満は抱えながらも未来永劫希望を守る戦士として生き続ける。
つもりだった
ある男に出会うまでは…
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気付けば雨は既に上がっていた。
が、今はそんな事に一々触れる程の余裕などない。
ただ目の前に顕現した男に全意識を集中させる。
「お前、ただ目の前だけに警戒するなんて浅はかだなァ……⁉︎」
後ろから部下が奇襲を仕掛ける…
手筈だった。
が、そこにいた人間は既に重石のようなものに潰されていた。
「成る程…余裕の意味は『強さ』か……」
「まぁ、それなりの強さって自信はあるからな」
そして、トドメを刺す。
という程順調に行く敵でもない。
「莫迦か? その辺の人外と一緒にすんじゃねェよ」
「⁉︎」
クレッタが手に握っているナイフを心臓に突き付けようとしていたのだが、チェイスはそのナイフを
『腕』で受け止め、骨でその刃が止まったところでチェイスが仕掛ける。
「お前は確かに強いな…それに自信はあるが慢心はない。 それも武人には必要だ。 だが圧倒的に足りねぇな……潜った死線の数が」
「‼︎」
「最初に潜る死線が俺ってのも不遇な話だ。 死んじまうんだからなァ……♪」
そう言うと、チェイスは蹴りを脇腹に
無慈悲にも深く突き刺す様に
決める。
「ッぐアッ⁉︎」
「なんだなんだ。 意識飛ばねェなら十分頑張った方だ…な……?」
「ア…アァァ……?」
意識は残りながらも力なく地面に伏したクレッタ。
その体が糸で吊り上げられるかのように起き上がり始めた。
その時。
「お? お前らお取り込み中か? もし良かったらオレ様も入れてくれや♪」
銃を両手に持ったその男は
ニヤリと笑った。
(ここは……!)
突然の来訪者に一瞬冷静さを取り戻したクレッタがする行動などもう決まっていた。
圧倒的な戦力差。
更に現れた一切不明な戦力。
どちらと戦っても負けるのなら今は。
「…! アイツの能力、ただの不意打ちってだけじゃねェのかよ……」
「煙幕なんて面倒クセェ事しやがって……」
無論、煙が消えた時にクレッタの姿はいない。
(まァ、あれはこれからもっと強くなりそうだったしな…やっぱ料理も戦いも狙うなら完成した時だろ。 それより…)
「なんでお前が『アレ』逃したのかは知らねェけどよ……」
「「お前はその代わりになる位の強さなんだろうな?」」
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「さて……」
真っ二つにされたロボットが尚も語り続ける。
「ゼロ君。私に聞きたいことはあるかね? なるべく手短に答えられるものが良いのだが……」
「そうだな…」
ゼロが訊きたい事。
そんなものはとっくの昔に、
『彼』がこの組を作った時から決まっていた。
「何故彼女を被験者に選んだ。 何の罪もない彼女を」
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マドゥは自らの新しい基地に既に到着していた。
そこに縛られていたのは先ほどまで飛行艇のモニターに映されていた男たち。
だが、先ほどまでの様な爽やかさや申し訳なさ。
二人の持っていた感情は全て『恐怖』に染まっていた。
「おい…言われた通りやっただろ…⁉︎ 早く解放してくれよ‼︎」
「許してください…」
「マドゥ様、この二人どうしますか?」
「当たり前だ。解放する他ないだろう? 約束もしっかりしてあるしな」
「ありがとうございま……」
その言葉が最後まで綴られることはなかった。
何故なら
全て終わる前に二人の口はおろか頭蓋が無くなっていたからだ。
「ほら、解放してやったぜ?」
返事も力もなく横たわる『肉塊』を眺めながらマドゥは呟く。
「後はゼロさえ殺せば完璧か…?」
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イブリースは一人、全てを見ながら純粋に。
ただただ楽しむ様に笑っていた。
「イイねェ…♪ 全部僕の予想のままに動いてくれてる……風の女王だって完成した。 アノ子は後はタコ野郎が復活するのを待つダケだし……」
全ての計画を円滑に進め続けるその男の隣には
トランプを持つ少女がいた。
「ねぇイブリース、暇なんだけどー」
「リリィ嬢、ジャックはどうしたんだい?」
「あのおじさんつまんない」
「君に忠誠してる故に砕けた接し方が出来ないダケなんだけどネ……」
ため息を吐くと
「まァ計画も今は休むか。 たまには休息も必要だもんネ?」
「ねー♪」
トランプを持つその少女と手を繋いだイブリースは
全てを救う天使にも全てを滅ぼす悪魔にも見えた。
【TIPS】魔王
この世界の魔族領を治める王。
十年程前に結ばれた協定の元、魔族領と人間領が定められ、一応の和平は結ばれているが、それ以前の怨恨や、一部の排人主義な魔族による暴動などから退治を呼びかける人間は少なくない。
魔族側も、以前まで根付いていた人間の魔族差別などの怨恨等から、武力で制そうと言う意見もあるが、魔王と魔族代議委員会(基本的に四天王と呼ばれる組織)の総合見解としては、『自由はあくまでも魔族領の中でのみ許されており、人間領に立ち入ることは人間による侵略からの防衛以外では禁忌であり、それ以外の理由でポストヒューマン(魔族領で人間領に接している街の名前。正式名称はニュータウン『ポストヒューマン』という)以降に魔族が立ち入った場合殺害を許す』とされている。
今回の第二次終世戦では、アズファハーン率いる魔族が人間領に侵攻しているが、その理由は『新人類王マドゥが魔族を滅ぼし、全世界を以て正しい人間領とする』という旨の連絡がペインティアと名乗る使いから来たから。とされている。
真偽は不明だが、ポストヒューマンにある監視塔が襲撃され、監視員数名が刃物により惨殺されていたという報告
ポストヒューマンに謎の人間がいたと言う複数人の証言から、魔族領に住む一般住人達にも、『それ』は事実であるとされている。




