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追撃

お久しぶりです。


ルサンチ=ジェルマンと呼ばれる丘の上。

今度は全ての指に指輪をつけた長身の男が立っていた。

が、周りの空気は屈折し、姿をはっきりと捉えることはできない。


「あの男…遂に動いたか……」

(そうじゃの…)


すぐ近くで、戦いが始まった頃に天高く翔び立ち、傍観を決め込んだあの男が頷いているのだが、その事には気付いていない。


「じゃあ行くぞ」


指輪をつけたその男は隣にいるもう一人の。

お世辞にも背が高いとは言えない短身。

腰に2本の日本刀を携えたその男に話しかける。

が、その途中である。

指輪の男が異変に気付くのは。


「ミヤ…」

「ハロー♪」


さらにその隣。

気付けば更なる影があった。

イブリース・アシャ・ソマノフ。

世界一の実力を持つその男が『ミヤモト』と呼ばれる男と交戦していた


「やっぱスチレットナイフじゃ敵わないか…流石『世界最強(ツワモノ)』……♪」

(フン)‼︎」


その力強い一太刀。

それはスカリアの大地に地割れを起こすが、イブリースはそれすらもひらひらと躱し続ける。


「まぁ安心してネ? ボクはキミにトドメを指すつもりはナイ。 ちょっとだけ遊びに来ただけサ」

「待て‼︎ 貴様は誰だ‼︎」

「待たナーイ♪ ボクは…めんどくさいから魔人じゃ無いって事だけ保証しとくネ♪」


言葉を紡ぎ終わるとほぼ同時。

正確に言うなら食い気味、語尾がやや消えかけながらその姿はパッとその場から。

言葉通り『消えた』。


(一体何者だ…? 何より…)


指輪の男は考察というよりは。

どちらかというと疑問に近い物を浮かべる。


(何故魔人では無い者が魔人の事を知っている…?)


_________________________________________


「一先ず皆様『傘』を…ッ⁉︎」


突然。

今起きた出来事を二つの漢字で表すとするならこれ以上に適切なものはないだろう。

いや、もっと詳しく説明するべきか。

私達は『シリウス・オーバーライン』と名乗っていた男に着いて行き、地下道を抜けて地上に出た。

はずだった。


「なんだよこの砂嵐はよォッ‼︎」

「お前らがマドゥの言ってた殺害対象(ターゲット)かァ?」


それもまた突然。

殺意と敵意に満ちた声が真横から聞こえ。


「…‼︎」

「ほう……咄嗟に防御するだけの実力はあるか。 まぁそれ位は無いと何時間も待たされた価値が無いわな」

「クレッタ…大丈夫……?」

「勇者は黙ってあの男(シリウス)に着いていけ。 私はこの男を倒してすぐ戻る」

「感謝します…皆様! 私に着いてきてください‼︎」

「またまたァ…そんな大口叩いて……すぐ俺に殺されんなよ?」


未だ茶色の視界の中、唯足音だけが響く。

そして、

徐々に砂嵐が落ち着くと、男の輪郭がはっきりと見えてきた。

その筋肉隆々の大男は


「まァでも…勇者の前座にしちゃあ十分過ぎるほどだろうな」


不敵に笑った。


_________________________________________


マドゥはまたしても予期せぬ狂騒の中に飲まれていった。

眼前に迫るは注射器を持つ白衣の天使…

否。


(完全に悪魔だろうがッ‼︎)


なんとか傘を持ちながら片手で敵の攻撃を受け流すマドゥ。

知らぬ間に少女が消えていたという僥倖。

敵の武器が注射器というリーチの短い武器だったこと。

片手を使わないということはその全てを打ち消しても余りある程のハンデである筈だが。

神を目指す男の底力は止まることを知らない。


「莫迦がよォッ‼︎‼︎‼︎‼︎」

「…ぅぁッ」


ズドン。と

彼の試作品である『携帯式ショットガン』の痺れ薬入り弾が女の腹にバラ撒かれる。

無論、抵抗など出来る筈もなく女は地に伏せる。


悪魔は地獄に帰りな(ゴートゥーヘル)


_________________________________________


「…ぃゃ……」


最後に女はもがく。

彼女も王女と呼ばれる器の持ち主であったのだが。

やはりこれが人と神の差というものなのだろうか。


「否。って言えばいいんだっケ?」

「誰……?」


数分、いや数時間だろうか。

王女が目覚めるとそこに『それ』はいた。

何者でもあって何者でもないような矛盾。

その矛盾を擬人化したかのような圧倒的な。

『違和感』がそこにいた。


「ボクが誰かどうかはどうでもいいジャン?」

「助けてくれたの…?」


初めて彼女が文章を口に紡ぐ。

その力ない声色からは怯えの類の感情が漏れている。


「そうダヨ? ボクは君を助けたくてココに連れてキタんだ♪」

「あ、ありが…と……う?」


『それ』は王女の手の甲に優しく口づけをすると。


「安心シテ? ボクが君を……」

「何…?」


「『永遠』にしてあげる。」


直後、再び王女の意識は途切れた。


「君は今日から『風の王』…いや、『風の女王』か♪」


彼女も後にこの物語の重要なピースになるが、その事実を知るのは勿論イブリース以外にいない。



多分近いうちにカクヨムかハーメルンかどっかで更に別の作品書き始めると思います。

大変申し訳ないと思ってます()

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