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正義

どうも

海の日特別投稿です。

こうでもしねぇとモチベ上がらねぇしな()

ギルド内は大混乱に陥っていた。

本部に侵入されたことによる責任問題などは二の次とされ、兎に角市民の命を最優先に各地での争いの一刻も早い沈静化を図ってはいるのだが、何を行なってもその結果は悪い方に転がって行く。


「まさか数十分で敵勢力がここまで来るとは……」


今や人間が住む地の8割が戦場と化しており、それ以外の2割は避難地域という風な指定をしてはいるのだが、護衛のメンバーが全く足りていない。

しかし、これは何も不意打ちだったからという理由でもない。

圧倒的な力不足。

敵勢力の何者かによる大幅な後押し。


「不味いな…ここで『彼』が動き出したとすると中々厳しいことになる……」


ギルドの長であるこの男(ギルドマスター)は、世界の秩序を守るために名前までもを捨て去った。

戸籍などというものに囚われては本当の『平和』は実現できないと悟ったからだ。

肺の中の空気を全て吐き出すほど深いため息を吐くと、ギルドマスターは重々しい表情のまま立ち上がった。


「仕方がない…出し惜しみは出来んな」


ここから正義(ギルド)の反撃が始まる。


_________________________________________


「俺の名はゴロンズ・ジェイルソン。そこに転がっている同志の仇を討ちに来た」

「それは面白い…返り討ちに合わなければ良いけどなー?」


ジェイルソンは周りに転がっている4人の遺体を見下ろすと、無念そうに目を瞑りその名を詠う。


囚われた悪の監獄(ジェイルロック)


二人の周りが煙に包まれる。

(サレイン)も最初は警戒していたが、それは毒ガスの類ではないという事に気付くとその顔に笑みを取り戻していた。


「へぇ…それで何するっての?」

「何をすると思うか? 当たってたら命だけは助けてやろうか?」


サレインは思わず笑いを堪え切れなくなる。


「ハハハハハ‼︎‼︎‼︎ この俺に向かって『命だけは助けてやる』? お前そこに転がってるやつが誰だか分かってるのか?」

「知ってるよ…対人成績7位8位のコンタスティング兄弟と対人43位のイズィール、あとは対人成績は秀でていなかったが対魔物に優れたレインディスだろ?」

「7と8がやられてるって気付いている上で俺にその態度か…まぁ良い。すぐに殺し(連れ)ていってやるからよ」

「俺は6位……」


ジェイルソンが吼える。

その憎悪や怒り。

抱いていた物の全てを感情に任せて吐き出す。


「俺はギルド(対人戦)第6位の『ゴロンズ・ジェイルソン』‼︎‼︎ 部下(戦友)の犠牲は無駄にする事など出来ぬ‼︎‼︎‼︎」

「なーるほど…ねぇ。それなら俺も全力で相手せざるを得ないかもしれないなぁ……」


彼の咆哮と同時に、激戦は始まったが、それと同時に『終わっていた』。

誰にも知られることも無く。


_________________________________________


「今回は対魔物戦力は本部で保護しておけ。 儂の推理が正しければこれをキッカケに魔王軍も大量に攻めてくるはずじゃ」


雀 李玉はギルド本部と通信をしていた。

そして。

その足元に力なく倒れているのは吊られた男(ハングドマン)に他ならなかった。

しかし、雀はまるで興味を失ったかのように足蹴にしながらその通信に応じている。

的確な指示を一通り行うと、雀はある森の奥深くに入っていった。


「さてと…儂は儂でやらねばならんことがあるんでの……」

虞淵(グエン)、遅いぞ。 もう会議はとっくに終わっている」

「おぉそうじゃったのか……さては儂にそれを伝える為だけにここにおったのか? カプリチオ」

「それだけな訳ないだろう。 寧ろここから先が重要だ」

「なァんじゃ。今回はただの無意味な駄弁りではなかったのか」


雀を『虞淵(グエン)』と呼び、親しいかのように会話を続けているその『骨だけの存在』は、なんとか魔法の杖のような物を介護用の杖として扱いながら『それ』を伝えた。

その直後、その骨は黒く染まり、影と一体化して何処かへ消えてしまった。


「成る程…な」


雀のため息はとても深かった。

それはまるでギルドマスターと同じようであった。

ただ一つ違いがあるとするならば。

それは『人に味方する』者のため息か『人に仇なす』者のため息か。である。


「仕方ないのォ……」


雀は止まることなく暗闇に向かって歩いている。

もう二度と光に戻ることは出来ないのだと知りながら。


「ギルドマスター…儂はお主のことを気に入ってはおるが、所詮それだけじゃからのォ…」


先程までの指示はまさか知らず知らずの内に自身の襲撃を予知してしまっていたのではないか。と

雀は自嘲気味に笑いながら歩き続けていた。

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