虚無
どうも
虚無ってことはこの辺で人間椅子の虚無の声がYoutubeで公開されたってことですね()
ではどうぞ
この戦争の中、唯一積極的にどちらの立場もとらない男がいた。
何故ならば
その男は全てに絶望していたから。
この先に何が起きるかの全てを見ることが出来るから。
この戦争の行く先だって全て見えているのだから。
自分がいつどうやって死ぬのかも見えているのだから。
男にとっては未来以外の全てが曖昧模糊。
他人の感情には一切興味無く
それどころか自分の感情にだって一切気付けないような。
「ん?今…」
一瞬
未来という池の中に石を投げ込まれたかのような感覚に襲われ、男は戸惑う。
それは彼が長らく失っていた
「誰だ……」
水紋は直ぐに消え去り、今となっては確認が出来ないが、それ自体を男が忘れることは決して無かった。
男の名は『アルテイガ・アシモフ』
後にこの時代に現れた悪人達として名を残す様になる男の内の一人である。
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「これで100045体目……もしかして魔王軍も割と本気で挑んで来てるカンジ?」
イブリース・アシャ・ソマノフは敵の本拠地から少し離れたところで魔物を討伐していた。
それも、見聞きしただけでは嘘だと誰もが思うような異常な速さで。
「とりあえず108体は見逃してあげたしアズファハーン君だって見逃してあげたカラ……」
イブリースの周りだけ展開されていた霧のようなものが一瞬で消え去った。
かと思うと、イブリースは笑い出した。
気付かぬうちに魔物達はドーム状の『紫雲』に包囲されていた。
「後はもう全滅させても良いカナ……?」
魔王軍1400000体の大群。
それが109体に減る迄、一時間もかからなかった。
「これでおしまーい♪」
それどころか、イブリースが最初から全力だったら1分も持ったのか。
それすらも疑問になる程である。
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クレッタは冷や汗をかく。
(一瞬でも遅かったら撃ち抜かれていた……)
「おや、貴女はとても優秀な戦士のようだね」
感嘆の意を持って、魔族の幹部が言葉を紡ぐ。
得体の知れない者に。
今まで戦ってきた感情のない生物とは全く異なる存在にクレッタは一抹の不安を持っていた。
勝てるのだろうか。
「見たところ貴女『も』純粋な人間ではない様ですし…この際私たちの仲間に入るのは……」
「NO ド外道に落ちるつもりは無い」
だが、その不安は全く関係ないものなのだと気付くのにそう時間はかからなかった。
そうだ。
例え勝てなくても勝つまで戦い続ければいいんだ。
戦いに負けたら。
死んだ後のことなんて自分には関係ないんだ。
何が起きても相手を倒すためだけに動き続ければいいんだ。
そう思えば、自ずと行動は見えて来た。
「それは残念です…貴女の様な強い方は生きるべきだったのですが……」
「『だった』…? 既に勝った気でいるのか…愚かだな」
直後にクレッタは相手の真横にまで迫り、その首を獲ろうとしたが……
そこに右腕は。
やってくる。
「全く…世話の焼ける野郎だ。 行くぞ」
「…‼︎ 申し訳ありませんでしたアズファハーン様……」
その瞬間二人は全く別の事を考えていた。
クレッタはその技量、身体能力に対する感嘆。
そして勇者は…
(こいつ…僕の村を……!)
激しい憎悪の感情を。
今目の前にいる存在こそが勇者を冒険に至らしめた憎悪の根源。
彼の旅の終着点
「貴女が強い事は身に染みて理解した。 残念ながら今の私では貴女には敵わないということも…… しかし、いつかまた戦いましょう。 そしてその時はその命を狩らせて頂きます」
「……」
クレッタは仕方なくといった調子で頷く。
まるで自らの無力さを噛みしめるかのように項垂れていたのだ。
が
そこに更なる強者の影。
一度渦巻いてしまえばそれは自然には収まることなく
「ッ…⁉︎」
「我が主人は語った…『遺産』こそが世界を掌握すべき存在だと……。 つまり、我々以外が勝つ道理など存在せぬ。 な?」
ナイフを魔物の喉元に刺した『それ』はこちらに微笑みかけている。
「貴様…何者だ?」
「お前達を。 いや違うな…人類が歩んで来た全ての歴史を否定する者だ」
着々と役者は出揃い始め、
この世界の崩壊が完全なものとなり始めていた。
やっぱり邦楽でマイナーなロックっていいですよね()
敵の名前を変えた理由はごく単純
これから同じ名前の敵が出てきて、その敵はずっと昔からその名前で呼ばれていたって事です
つまり…分かりますよね?(わからないわ)




