第2話 クラスメイトは皆、敵だ
保健室から教室に向かって走っている途中、
”キーンコーンカーンコーン”
2時限目の終業のベルが鳴った。
校内が騒がしくなる。
そんなこともわき目に見ず、僕は走り続けていた。
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僕が教室についたは10分休憩のちょうど中間くらいの時間だった。
ほかのクラスでは教室の外に出て話したりしている生徒がいるのだが、僕のクラスは誰一人教室から出ていない。
授業に遅れている僕は、先生に遅れた旨を伝えなえなければいけなく、急いで職員室にいなければいけない。誰一人、教室から出ていないことを一瞬、不審に思ったが急いでいた僕はそんな考えを胸の中に押し込めて教室の中に入ろうと、少し開いていたドアに手をかけ、開けようとする。
”パーン”
一瞬何が起きたのか理解できなかった。
僕の視界が白い煙に覆われたのだ。それを吸い込み、僕は肩を上下に揺らしながら、苦しそうにせき込む。
「ごっほ………ゴホッゴホッ」
足元に転がっているものを見て、僕は何が起きたのかを理解した。
床に落ちていたのは、『黒板消し』だった。
よくあるいたずらで、教室のドアの上の方に黒板消しが挟めてあって、誰かがそのドアを開けると黒板消しが頭の上に落ちてくるというのがある。
僕がやられたのはまさにそれだった。
「あ、ははははは」
「あいつ、こんなしょぼい罠にも引っかかってやんの」
「マジ、受けるんですけど」
僕のことを笑ったのはヒエラルキー最上位にいる三人。三人は腹を抱えて僕のことを笑っていた。
初めに笑ったのは、有馬隆二。
朝、僕をカツアゲした田村慧と二大頭首をはる、クラスのドンの一人だ。
格闘技をやっているらしく、そのガタイはとても良い。
その次は田村慧。
最後に笑ったのは、このクラスの女子のトップ、西園寺桃子だった。
彼女はギャルって感じで、少しパーマのかかったダークブロンドの髪を背中の中間ぐらいまで垂らしてる。10人に聞けば全員が『かわいい』というほどの顔をしている。
明らかにいじめであるが、ほかのクラスメイトの内、半数は、僕のことを見て笑っている。
「えへへ」
僕は作り笑いをして、この場を切り抜けようとする。
「ちっ、面白くねーな」
慧が隣の机を蹴りながら、怒鳴り散らす。
僕が職員室に行こうとして教室を出ようとすると、
「まだ、話終わって、ねーぞ。どこに行くつもりだ。」
「慧、いい加減にしろ」
その一言で教室が静寂にやってくる。
妙な緊張感が教室を支配する。
その言葉の主は少し茶髪が混ざった黒髪をサッカー選手のような髪に整えている男子。
爽やか系のイケメンで、高校1年生ながら同年代はともかく、上級生の先輩にまで、人気がある。
少しぐらい分けてほしいものだ。
さらに、彼はサッカーをやっていて、この県のU-18の選手にも選ばれるほどうまい。
そんな、彼の名は、柴葉海翔。
しかし、そんな彼に告白する人はいない。
その理由が、彼はいつも幼馴染と一緒に行動しているからだ。
彼女の名は、遠藤鈴。
人形のような顔立ちをしていて、身長も150センチくらいと小柄だ。
慧は、柴葉君にそう言われて、僕に興味をなくしたように、いじめをやめた。
「さっすが、海翔くん。救いようのない国崎君にまで気にかけるとはやっぱ、かっこいいっスね」
「そういうの、いいから…ま、今はオレに免じて国崎君に絡むのはやめてほしいな。朝の一件も見てたけど、あれはやりすぎだ。いじめにはいじめる方といじめられる方、両方に問題があると思うからお前らのいじめについて、口を出すつもりはない。だが、限度っていう言葉は知った方がいいとおもうぞ」
「分かりました。これからは、気を付けていくっス」
慧は自分よりヒエラルキーが高いと思う人に対してはこうしてへこへこしている。
僕はそんな彼のあり方が気に食わず、彼に対して、いじめ以上に腹を立てていた。
「それと、国崎君もだよ」
柴葉君は、慧だけではなく、僕にも言いたいことがあるらしい。
「君は、じっとこらえていれば、いつかは誰かが気づいて、助けてくれるって思ってるかもしれないけど、自分からSOSを発信していかないと誰も助けてくれないからね」
柴葉君はなんでもわかっているかのように僕のことを諭すかのように話す。
彼のそんな態度に腹を立て、拳を強く握りしめるが、クラスの僕に対する態度が”柴葉君にアドバイスをもらえたんだから、ありがたく思え”というもので、無言の圧力をかけてきたから、僕はそれ以上、反抗することができなかった。
柴葉君はそれだけ、僕に告げると、席に戻ってしまった。
それを合図に、教室を支配していた、妙な緊張感がなくなり、全員が席に戻る。
始業のベルが鳴る数秒前に委員長が教室に戻ってきた。
僕たちのクラスの委員長は、東大寺優芽という。
絵にかいたような委員長で、成績は学年1位。
全国模試でも全国順位はいつも一桁台らしい。
運動もでき、家が弓道の道場をやっているらしく、幼少期のころから、弓道をやっているらしい。
容姿もとても、整った顔をしており、桃子が10人中10人が『かわいい』と答えるならば、優芽は『美人』と答えられるだろう。髪は、腰まで伸ばした濡烏色のロングストレートだ。
”キーンコーンカーンコーン”
職員室に行けなかったな。昼休みにでもいかなければならないな。と思う僕だった。
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授業が終わり、昼休みになった。
いつもなら、慧たちが絡んでくるのだが、今日はなんか先輩に呼びだされてるとかなんかで僕にかまっている時間がなかったらしい。
まぁ、僕としては好都合であるが。
先の休み時間に行けなかった職員室に僕は向かっていた。
職員室につくと、中で女子生徒が何かをしているようだった。
少し、中の様子を確認した方がよさそうだったが、僕は職員室に来る時間が遅れていたため、これ以上遅れるのはいけないと思って、ドアを勢いよく開ける。
開けた瞬間、中にいた人が全員僕を見る。
そのには、クラス委員長の東大寺優芽もいた。
「く、国崎くんがどうしてここに。」
「遅刻届を出しに来ただけですよ。ほら、僕、今日の朝いなかったでしょう。」
「そう…」
「それより、委員長はどうしてここに。」
「それは…」
委員長は少しどぎまぎしたが、意を決したように、その真剣な目を僕に向けて、頬を赤く紅潮させながら、
「あなたに、対するいじめについて先生方に直談判していたの」
「え…」
僕は言葉を失った。
誤字・脱字等々教えてくだされば幸いです。




