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第2の異世界

数日後 近未来研究所・地下8階

「おはよう、遠野くん。あら、スーツよく似合ってるじゃない?」にこやかに英美が笑う。逆に不気味だ。


「はいはい、おかげさまで」イッカンから支給された伸縮性に富んだスーツらしい。確かに動きやすいし機能性は脱群だった。だが異世界にスーツって逆に目立たないか…?まぁいいけど。


「さぁ、本題」研究所の何もなかった空間に電子パネルが現れる。そこにどこかの世界地図のようなものが表示された。一つ言えるのはその地図が地球の物ではないということだ。


「異世界…かぁ…」俺はひとつため息をついた。


「ご名答。異世界・エルバラン。ここで転生人が確認された。魔法が日常的に使用される世界で地球で言うと文化レベルは1700年代かしら」


「で、肝心の転生人は?」


英美がパネルをリモコンで操作する。画面が切り替わり、そこにはある人物の顔が表示された。


「なんだー?」俺はパネルを見上げながら首を捻った。


「これがターゲット。望月花帆。地球での享年は11歳。生まれた時から病弱だったみたいね。そこから転生して今はエルバランで活動中」


「こんな小っちゃい子が?」

画面に映っていたのはまだ幼い女の子だった。11歳ってことはおそらく地球では小学生くらいのはずだ。そんな年齢の子が岡田のように悪さをするなんてあり得るのだろうか?


「俄かには信じがたいですね」後ろから凛とした声が響く。


「!マリナさん、その恰好」マリナは俺と同じく真っ黒なスーツを着ていた。


「どうでしょうか。地球の服はどれも着やすくていいのですが、これで着方が合っているのかと……」少し顔を赤らめながらスーツの端を指で摘まんでいる。


「今回の作戦には彼女も参加してもらうわ。情報が少なくて申し訳ないけど、あとは現地調達で行くしかない。マリナ、あっちでは一応、遠野くんの指示に従って。こう見えて頭の回転は速い方だと思うから」


「分かりました。よろしくお願いします。大智」

「あ、うん。よろしく」


「じゃあ二人ともオクルクンに乗って!3分後に転送するわ」



結局また行くことになってしまった…。まぁ暇だからいいんだけど。

オクルクンに入り、一つため息をつく。

転生人はなんで生まれるんだ?そんな疑問を抱きながら、俺は異世界に飛んだ。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

――――――――――――――――――――――――――――――

―――――――――――――――――

――――――

俺は雪の積もった地面で目覚めた。隣にはマリナがいる。

「無事転送されたね」


「ええ。ですがこの街、何か様子がおかしいです」


「ん、何が?」


「先ほどから人の声が聞こえないんです」

「聞こえない?」

町の造形などはやはり地球でいう中世に近いのかもしれない。辺りを確認すると民家が立ち並ぶ大通りに俺たちは立っていたが、確かに人っ子一人いない。


ピピッ!

「聞こえる?二人とも」ポケットに入れていたスマホを見ると、英美の顔が映っている。


「英美か。無事着いたよ。ただ、街の様子がおかしい、人の気配がしないんだ」


「ええ分かってる。群衆はある一か所に集められている」


「どこ?」


「時計塔大教会」

英美が言った場所はすぐ分かった。街のシンボルのように遠方にそびえ立つ塔。



リンゴ―ン、リンゴ―ン。時計塔の荘厳な鐘の音が街に響く。

マリナと俺は一路、時計塔に向かった。


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