9.委員会
「千夏、委員会行こっか。」
委員決めを行った次の日の放課後、春乃と話していると伊藤くんが声をかけてきた。
そう、委員会。委員決めた次の日にあるとは……早いよね。まぁ今日の委員会は別に何かを決める訳ではなく、顔合わせのようなものらしい。
「うん。じゃあ春乃、行ってくるねー。」
「ちょっと、私も行くわよ。学級委員だけじゃなく会計も収集かかってるの。まぁ、そこの人が嫌じゃなければ私も千夏と一緒に行きたいんだけど?」
やけに私の名前を強調して言うなぁ…。そこの人とは伊藤くんのことだろうか。
「そうなんだ。じゃ、一緒に行こう。いいよね、伊藤くん?」
「……まぁ、いいけど。」
伊藤くんの返事を聞いてから歩き出す。私の右側に春乃、左側に伊藤くんが居るのだけれど二人とも無言で無表情なのでなんか怖い。
それでも、すれ違う人からは羨望の眼差しを向けられる。美男美女に挟まれているんだもんな…それゃ羨ましいよね。今はこの空気に耐えれないから切実に変わってほしいと思うけど。
「そういえば、伊藤くんはなんで私を学級委員に選んだの?私よりも良さげな子いっぱいいたと思うけどな。ほら、桜井さんとか。」
あまりにも話さないので私から話題をふる。ふふ、さり気なく桜井さんを推しておこう……桜井さんが私の知ってる攻略対象のキャラの誰かとくっついてくれなきゃ私死んじゃうからね!
「何となく、かな。愛?愛はそういうキャラじゃないだろー。」
笑いながらそう答える。え、私何となくで伊藤くんに学級委員指名されたの!?うーん、解せぬ。
しかし、桜井さんって敬語だし真面目そうだから学級委員とかやってそうに見えるんだけどな。まぁ伊藤くんには伊藤くんなりの考えがあるのだろう。
その後は特に会話もなく、委員会がある部屋へと歩いた。
「えー、今回各クラスの学級委員と会計に集まってもらったのは顔合わせと代表を決めるためだ。」
教室に全員集まったのを確認すると、私たちのクラスの担任である高田先生がそう話始めた。
「代表は学級委員の中から各学年1人。代表の仕事は生徒会の仕事をすこーし手伝ってもらったり、生徒会から各学年への連絡とかを代表を通して伝達してもらったりと……まぁ、生徒会の雑用係だ。」
うわぁ、めんどくさそう。1年生の学級委員はみんなそう思っているみたいだが、2・3年生は違う。お姉さま方から殺気が溢れ出てるよ!なるほど、この代表とやらになればイケメン揃いの生徒会との関わりが増えるのか。
……あれ、ゲームに代表なんてあったっけ。
「さて、話し合いでやりたい奴を決めると毎年揉めるから今年はくじでいく。割り箸の先に赤がついてれば当たりな。ほい、1年生から。」
先生から渡された袋から順番に割り箸を引いていく。ああ、なんだか悪い予感しかしない。
「私は……はずれね。」
「俺もはずれ、生徒会少し興味あったんだけどなー。」
私の先に春乃と伊藤くんが引いたがはずれだった。そして私の番になる。
ポケットが少し熱い。何かカイロでも入れていたかな?と思いつつくじを引く。割り箸の先には赤い印が。
「……当たっちゃった。」
「さっそくだが、1年生代表の橋田。生徒会室に行ってくれ。」
「わかりました。」
高田先生の指示で生徒会室に向かうために廊下に出る。そんな私の背中に嫉妬の視線が突き刺さる。うう、お姉さま方すみません……。
「千夏!」
「春乃?どうしたの?」
「私も一緒に行くわ。あんた絶対に迷子になるでしょ。」
決めつけられてる!?
「そんなことないよー。」
歩きながら話そうと思い、生徒会室の方へ歩き出す。
「……どこ向かおうとしてるのよ。そっちは逆方向だけど?」
「すみません。春乃さん、道案内お願いします。」
一瞬でだめだと悟ったわ。うん。
春乃に案内されて向かう途中さっき熱いと感じたポケットに手をつっこんで中のものを出してみる。あ、これは……保健室で拾ったブレスレット?うーん、これしか入ってないみたい。気のせいだったかな。