7.委員決め
※2015/04/20。誤字報告をいただき、「はんば無理やり」を「半ば無理やり」になおしました。御指摘いただき、ありがとうございましたm(__)m
「もう!どこ行ってたのよ!じっとする事もできないの!?」
無事に教室へとたどり着き、みんなと合流した。みんな教室に戻っていたのか…。私は先生に軽く怒られ、今は春乃に怒られている。
「う、ごめんなさい……戻れると思ったんだけど」
「戻れなかったんでしょ…千夏って方向音痴なの?」
「違う、はず。」
春乃にはぁと溜息をつかれる。そんなに怒らなくても……。
「春乃ちゃんは心配症なんだねぇ。」
後ろから抱きつかれる。思わずげっと声が出た。いや、なんかさっきのやり取りでちょっと苦手になったんだよ。うん。
「唯ちゃん、びっくりした…。」
そう、抱きついてきたのはさっき教室まで案内してくれた唯ちゃんである。
「し、心配なんてしてない!勝手な事言わないでくれる?」
そんな勢いよく否定しなくてもいいのに……。
「優しいね。」
そんな春乃の声が耳に入っていないのかにこにこと話し続ける唯ちゃん。
「優し…!?えっ!……は?ちょ、ちょっとお手洗いに行ってくるわ!」
あれ、さっきトイレ行ってなかったっけ。
「面白い子だねぇ。からかいがいがあるな。」
ふふふと楽しそうに笑う唯ちゃん。春乃、遊ばれてない?大丈夫か……。
「あのー、唯ちゃん?そろそろ離してほしいんたけど。」
最初に抱きつかれてからずっと抱きつかれている。見た目は可愛い女の子でも中身は男でしょうが。
「嫌?」
「うーん。」
ぶっちゃけ中身男でも女の子に抱きつかれてるみたいな感じなので何だか嬉しい。唯ちゃんの見た目が幼いせいもあって妹に抱きつかれているようだ。
「なら遠慮なく♪」
「わっどこ揉んでんの!?」
「女の子同士のスキンシップだよー……千夏ちゃんC、いやBか…思ったより小さ」
「うわぁぁあ!」
慌てて唯ちゃんの口を手で塞ぐ。いきなり何やってんの!?人の胸を揉むなよ!小さくて悪かったな!
「……何やってんの?」
「春乃!」
唯ちゃんから離れてトイレから帰ってきた春乃の後ろに隠れる。相変わらず唯ちゃんはにこにこと笑っている。あれ、ゲームの中の唯ちゃんってこんなのだっけ?もっと子供っぽかったような……。
「僕は大きさ好みだよ。」
「そんな情報いらん!」
「学級委員をやってくれるやつはいるか?男女一人ずつだ。」
シーンと教室が静まり返る。ただいまクラスの委員決めをクラスで行っているのだが、学級委員ってあんまり人気ないよね。私は絶対やりたくない。めんどくさそうだし、それに学級委員になると嫌でも生徒会と関わらなくてはならなくなる。まぁだから2年からは人気の委員になるんだよね。女子限定だけど…生徒会って何故か代々イケメンだから。しかし、私は乙女ゲームをやったから知っているのであって入学してきたばかりのみんなは知らないから、やりたいと言う人がいないのだろう。
「先生、俺やります。」
誰も手を挙げないのを見かねてか伊藤くんが申し出る。その瞬間、殺気立った。主に女子が。
「おー、伊藤さんきゅ。女子は誰かいないか?」
「「「はい!」」」
その時、何人もの女子生徒が一気に手を上げた。
びっくりした…!そんなに伊藤くんと同じ委員になりたいのか……。女子のみなさん、目がギラギラして怖いっす。
しかし、残念。乙女ゲームのシナリオ通りならばここで伊藤くんが主人公の桜井さんを指名してはんば無理やり伊藤くんと桜井さんが学級委員になるからだ。
「先生、俺がもう一人の学級委員決めてもいいっすか?」
「おー。こんなにやりたいやつが多かったら決めんのめんどくさいし、そうしてくれ。」
ほらきた。ここで桜井さんの名前を
「千夏。悪いけど一緒に学級委員やってくれない?」
「え」
ええええ!あんなに桜井さんと仲良さげにしてたじゃないか!なぜ私。乙女ゲームのシナリオどこいった……!
こうしてはんば無理やり伊藤くんと私が学級委員に。桜井さんはどうするのかと思えば図書委員に入った。そして、なぜか春乃が不機嫌な顔で会計に。
どうなっているのだろうか。シナリオは絶対だと思っていたが違うのかな?委員決めは共通ルートのはずなんだけど……。
先生が委員の説明をしている中、一人うーんと唸って考えている私のことを見ている人達がいたことに、私は全く気づいていなかった。
私の学校ではLHR委員や、体育委員が4人、選挙管理委員みたいなのもありました。私は図書委員でした(*`・ω・´)