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たかがモブキャラ、されどモブキャラ  作者: 沙都
1年生【1学期】
5/13

5.新クラス

高田先生の案内で無事にクラスに着くことができた。今は全員着席して学校の説明と配布物を配っている。


暇なので教室を見回す。おお、わかってはいたけどすごいなこのクラス。

主人公のいるクラスだけあって攻略対象のキャラが3人もいる。その3人はもちろんイケメンなのだが、女の子も可愛い子が多いい。1番はもちろん主人公だが、それ以外の子も可愛くて…あれ?篠宮さんもいる!同じクラスだったのか。知ってる子がいると少しは緊張が薄れるなー。


「んじゃ、今から学校のいろんな教室や施設をみんなで見て回るから廊下へ出ろ。」


高田先生のその言葉を聞き、みんながぞろぞろと廊下へ出る。いわゆる校内案内かな。

うわ、何人かの女の子はすでにイケメン達の隣をキープして話しかけている。早いなー肉食系女子なのね。

それよりも私は篠宮さんを探さなければ。あ、いたいた。


「あの、篠宮さん。さっきはありがとう。」


「ああ、あなたはさっきの…」


篠宮さんの周りには何人かの男子生徒がいて、必死に篠宮さんに話しかけているがそれを無視して私に答えてくれる。

あ、ちょ、篠宮さんを囲んでいた男子生徒のみなさん睨まないで!


「これ、篠宮さんのじゃないかなって。」


私は保健室で見つけたブレスレットを見せる。


「あら、可愛いわね。けれどそれは私のじゃないわ。」


「そっか。うーん、これ誰のだろ……あ、忙しいところごめんね。」


そろそろ男子生徒の睨みが怖くなってきたので退散しよう……。

これ、篠宮さんのではないなら私の前にあのベットを使った人が落としたのかな?それならこの学校の生徒の誰かのかもねぇ。けど、全校生徒に聞くわけに行かないし……落し物入れとかあるだろうか。


「ちょっと待って」


「ん?どうしたの?」


「その、一緒にまわらない?校内案内。」


「えっ、うん、いいよ。」


なんと、美人さんからのお誘いとは。断る理由もないので了承する。え、普通に嬉しい!


「よかった。私のことは春乃でいいわ。千夏って呼んでもいい?」


「どうぞ!」


「ありがとう。よろしくね、千夏。」


ふふっと笑って美人さんは言った。うわ、初めて笑ったところ見た!少し近寄り難い雰囲気だったけど、笑うと少しあどけなくて可愛い。





それから、担任こと高田先生に連れられて校内をまわった。


「ここはトレーニングルームな。ほぼ運動部員しか使わないが。」


そう説明された部屋にはたくさんのトレーニングに使うであろう機械が置いてあった。


「すごいな。」


「そうね……。」


あ、これはランニングマシーンというやつじゃないだろうか。

前から1度はやってみたいと思っていたので少し乗ってみる。乗るぐらいいいよね、動かさなければ。いろいろと触ってみる。へーこんなやつなのか。


「千夏、そろそろやめときなさいよ。」


「そうだね。あ、」


その時何かがピッと鳴った。あら、何かのボタンを押しちゃった!?


「うわっちょ、止まらない!春乃助けて!」


ランニングマシーンが動き始めたので走る。え、けっこう速い!

これ、どこで止めるの!?ボタンどれ押せばいいんだ!


「もう!何やってるの!」


怒りつつもランニングマシーンを止めようと春乃がボタンをいろいろ触ってくれるが何かさっきよりも速くなってきたよ!?ひぃ、しんどい…っ!体力ないのよ…!!


「おわっ!」


しばらく頑張って走っていたが足がもつれて後ろへと体が傾く。うわぁこける!恥ずかしいっ

痛みが来るのを覚悟して目を強くつぶる。




……あれ?痛くない?


「大丈夫?面白いことしてるな。」


私の後ろからかなりのイケボが聞こえる。うわっ痛くないと思ったらこの人が私がこけるところだったのを受け止めてくれたのか。


慌ててその人から離れて振り返る。振り返った相手はイケメンだった。めっちゃ笑ってるけど。

んん?この人も攻略対象のキャラクターじゃないですか。


「ごめんなさい!ありがとうございます。」


「いーよいーよ。面白いもの見せてもらったし!俺は伊藤真樹(いとうまさき)。お前は?」


「え、橋田千夏です。」


「同期なんだし敬語じゃなくていいって!しっかし、千夏は運動苦手なの?走り方すげー面白かったし、もう息切れてる。」


ナチュラルに下の名前で呼ぶとかやるな。でも、ほぼ初対面の人にいきなり下の名前呼び捨てはどうかと思うぞ。

そして私が気にしてること正直に大声で言うのやめてもらえます!!?ほらもう!クラスの人達がクスクス笑ってるよ。恥ずかしい死にたい……。まぁ勝手に乗っていろいろ触った私が悪いんだけどさ。


「あんたもうちょっと言い方があるでしょ?」


「はぁ?」


「ちょ、春乃。」


「確かに変な走り方だけど笑いながら大声で言う事じゃないって言ってんのよ。」


あの、あれ?これは庇ってくれてるの?馬鹿にされてるの?


「しょうがないだろ、ほんとに面白かったんだから。面白いことを笑うのは普通のことだろ?」


「時と場合によるでしょ?空気読みなさいよ。そんなのもわからないの?」


「はぁ?お前誰だよ。」


「あんたになんか名乗る名前は無いわ。」


「ちょ、2人とも落ち着いてよ。別に走り方変とか私は気にしてないから。」


「……まぁ千夏が気にしてないなら別にいいけど。」


嘘です。めっちゃ気にしてます。とは言えないよね。それにしてもこの二人こんなに仲悪かったっけ?乙女ゲームではこの二人の絡みがまったくなかったから知らなかった……。


伊藤くんはもうこの場にいたくなかったのかいつのまにか居なくなっていた。

しかし、おかしいな。伊藤くんはクラスの中心的存在で、誰とでも仲良くできるキャラクターのはず。うーん、やっぱそんなキャラクターでも仲が悪い人はいるよね。


これから1年この仲の悪い2人と同じクラスか……何もなければいいけど。


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