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第三話「ログゲートと夜月」

晴れて冒険者となった俺だが、今のところ無一文である。

仕方がないので、ギルドマスターに言われた通り、クエストをこなそうと思う。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

俺が前までやっていたゲームと言っても、ギルドの配置やクエスト名なんかはゲームと変わっていたりする。

とりあえず、クエストが貼り付けられてるっぽい掲示板に近づき、どのクエストを受けるか考える。

「これが良さそうだな。」

俺が手に取ったのは「草原の暴れ者」というクエスト。

名前は難しそうだが、単にコブリン15体を倒すだけのクエストである。

その割に報酬は高そうなのでこのクエストをすることにした。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

さて、仕度を整えて草原へ行こうと街を歩いていた所、見たことの無い所を見つけた。

単に壁に魔方陣が描かれているだけなのだが、一応町の人に聞いてみた。

「すいません、あれって...」

「ん、あれ?あれはログゲートだよ。あれを使うと違うアカウントにログインすることができるんだよ。」

ログゲート、か...確かに生前の俺は違うアカウントは作らなかったから近づこうともしなかったが、もしこの世界でも使えることができれば...

まぁ、まずはクエストをやってこよう。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

クエスト終了後、早速ギルドに戻り、報酬を貰う。ついでに子ギルドへの加入申請をする。

申請するギルドは「カロテン」。

俺が生前に作っていたギルドだが、まさかあるとは思っていなかった。

そしてログゲートに行き、俺の生前のアカウント、「シドウ」にかわろうとしたが...

「テスウリョウニ、5000Tイタダキマス。ヨロシイデスカ?」

はぁ!?

今の俺の所持金は850T。

仕方がないので死に物狂いでクエストを片っ端からクリアしていく。

ログゲートに行ったときは昼だったのに、5000T貯まったときは既に夜中。

しかし流石「眠らない街」とも呼ばれているカイセ。まだまだ賑やかだった。

そしてやっと「シドウ」にログインできた。

シドウの姿になったことに感動を覚えながらギルドに戻る。

そしてチアキの子ギルド加入を許可する。

更にシドウの物を8割ほどチアキのアイテムBOXに突っ込んでおく。

そしてチアキに戻ろうとギルドを歩き始めた頃...

「シドウさん!!!」

ここで思わぬ邪魔が。

その相手は「夜月」。

子ギルド「カロテン」の大事な一人だ。

「夜月か。久しぶりだな。」

こっちは早く戻りたいのだが。

「いえいえ、それよりこの子ギルドに新しい人が入ったらしいのですが。」

「ああ、それは俺が許可しといた。それと、俺は暫くログインできそうにないからチアキ...さんの事は頼んだ。」

「えぇ!?私がですかぁ!?...まぁいいですけどね。そのかわり...」

「そのかわり?」

「黄金の果実、一個下さい!!」

残念ながら今の俺のボックスにはそんなもの入っていない。

「......今度来たときにチアキさんのレベルが120を越えていたらな。」

「えぇ!?そんな無茶ですよぉ!」

「確かに言ったからな。では。」

と言って逃げ出した。後ろから「シドウさんの鬼畜ー!!」という声が聞こえたが無視。

そんなこんなでチアキに戻ってきた。が、所持金を見ると85T。


宿、どうしよう...


T...この世界の通貨。


子ギルド...ギルドの中に更に結成されたもの。定員は5000人とされているらしいが、5000人入っている子ギルドがいないので上限は分かっていない。


カロテン...シドウがつくった子ギルドで最盛期には250人ものプレイヤーが集まったがとある理由で壊滅。現在はシドウと夜月のふたりのみとなっている。


夜月...カロテンのもう一人の存在。夜月と言う割には性格は明るく、職業も白騎士という反転っぷり。


職業...ジョブとも呼ばれる、戦術を建てるには必須の者。各職業ごとに装備できる武器が限られている。因みに現在のロヴェスの職業は「ファイター」。


白騎士...攻撃を専門とするが回復魔法なども使える職。主に援護役などに使われることが多い。


ファイター...剣聖マテリアル史上最低のステータスを持つ職。主に一番最初の職として使われる。唯一の利点は全ての武器を装備した時にボーナスがつく事。


黄金の果実...ドーピングアイテム。食べるとHP,MPが150ずつ上がる。

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