第一話「死と出逢い」
人生、いつ何が起こるかなんて誰もわからない。
勿論、俺もだ。
いきなりこんな話を始めたのは意味がある。
俺、瀬戸千秋は、今さっき、17年の人生を全うしたからである。
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いつもの事となってしまったこの通学。
ふあぁ...。と欠伸をかましながらダラダラと歩いている俺にいきなり声をかけてくる人物がいた。
「千秋ーー」
「ん?なんだよ千里か...」
こいつの名前は田河千里。俺の幼馴染みだ。
「なんだとはなんだよーー」
と言いながら、千里は俺に蹴りをかましてくる。
結構痛いんだぞ。それ。
「いや、いつも千里だからたまには別の人来ないかなーなんて...痛い痛い、やめろっての。」
「千秋が悪いんでしょ!後で何か奢りなさいよね!!」
「わかったから、蹴りを止めてくれ...」
そんなこんなで学校につき、一旦千里と別れた。
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下校時刻。
勉強と部活でとことん体力を搾り取られた俺は、登校の時の道を引き返す。
すぐ前には千里とその友達たち。おい千里、車道出てるぞ。
そんな前の会話をダラダラ聞いていたら、前方から車が。
馬鹿な千里はそれに気づかない。
車も運転手が酔っているのか前の千里に気がついてない。
ヤバイな、千里が轢かれる。
「傍観者になるな。」父上からの教えを忠実に守る。
千里の方向へ駆け出す。
運転手が千里の方向へハンドルをきった。あの運転手、馬鹿か!?
千里がやっと気づいた。轢かれると察知したのだろう。怯えて動けない。
このままだと千里もろともあの友人も轢かれてしまうだろう。
「千里、あぶない!!」
俺は千里とその友人を突き飛ばす。
千里とその友人が車から離れて安心した所で。
ドカッ
腹の周辺に強烈な痛み。
俺は馬鹿か?何のために千里を突き飛ばしたんだ。
車と俺の接触部分には赤い液体。あれが血か。
まあいい。だんだん眠くなってきた。
小さい頃から寝れば大体の事は治ってきた。今回もそうだといいな。
では、お休み。
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てな感じで、起きたら何もかもが真っ暗な所にいた。
体が動かない。
感覚としては落ちている、という感覚だ。
と、不意に黒いものが下から迫っていることに気づいた。
真っ暗でも良くわかる。
逃げなきゃ、とは思う。しかし体が動かない。
そして俺はそのまま黒いものに沈んでいった。
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「おや、目が覚めましたか。」
ここは...どこだ?
瀬戸 千秋...高校三年生。
田河 千里...千秋の幼馴染みであり、高校三年生。