大陸への出発 1
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「【超跳躍】か・・・。一回説明はなんて書いてある?」
開始式の後、健二ことベルセラが俺に聞いてきた。
俺は指を鳴らしてメニュー画面を呼び出す。
「えっと・・・
【超跳躍】効果:高く跳ぶことが出来る。
最高到達点まで着くと、そこから任意の場所に一瞬で移動出来る。ただしその場合、移動する場所を目視しなければいけない。
だそうだ。」
「意外に有能そうだな。」
「そうでしょうか?跳ばないでも一瞬で敵の背後にまわる、というスキルもβテストのときにはありましたよ?」
この女の子、ラインランはβテスターだったのか。
少し驚いた。
「それだったらこのスキルの存在理由なくね?劣化版それってことでしょ?」
よく考えなくても、そうだろう。
だって跳びあがるまでの無駄な時間があり、その上敵に見つかりやすいので奇襲も無理だろうからだ。
「でも、高く跳べるっていうアドバンテージの上に、お前天使じゃん?長く滑空出来ちゃったりするんじゃねーの?」
「それは盲点でしたね。今からやってみてくれませんか。見てみたいので」
そうか。
説明にもあったが、天使はその翼を使って滑空することが出来るのだ。
やってみるしかないだろう。
広場で実験するのは迷惑だろうということで、近くのフィールドまで移動する。
「んじゃ、行ってきますよっと!」
足に力を込めて大きく跳び上がる。
感想は・・・
「高ぇよ!!」
高すぎる。
普通のジャンプ出来ないなんて事はないだろうな、これ。
そう思うほどに高い。
大体マンションの3、4階くらいの高さだろう。
ジャンプで到達していい高さではない。
翼を大きく広げて旋回する。
「おお!気持ちいいな~~!」
しばらく緩やかに滑空しながら回っていたが、ふと瞬間移動の存在を思い出す。
「えっと行きたい場所を見て・・・。」
ピピッ
頭で小さな電子音が鳴る。
その瞬間景色が変わり、目の前にベルセラとラインランの背中が見える。
「あれ・・・アザナどこ行った?」
「鳩みたいに飛んでたのに、急に消えましたね。」
「そうだね、鳩みたいだった。」
鳩みたいとは失礼な奴らだ。
「おい、ここだよ、ここ。」
「おえっ?いつの間に??」
「・・・思ったよりも有能そうなスキルですね。」
2人とも驚いている。
いいきみだ。
そういえば、と跳んでいる途中でよぎった不安を取り除いておくことにする。
軽くその場でピョンピョンと跳ぶ。普通に跳べた。
強く踏み込み、横に跳ぶ。跳べる。
では、力を入れて垂直に跳ぶ。・・・飛んだ。
「へぇ・・・垂直のみスキル判定、軽く跳ぶ分と横に跳ぶ分には普通に出来るってとこですね。」
「便利っちゃ便利だが、使い慣れるまで大変そうだな。」
下で何か2人が喋っている。
可愛い子と2人きりで何しゃべってんだ、あいつ!
という訳で2人の目の前まで一瞬で戻る。
ピピッ
「おい、何話してんだ?」
「お前のスキルの使い勝手についてだよ。」
何だ、それだけか。
「じゃ俺のスキルのお披露目も終わったし、2人の分もやろうぜ。」
「そうだな。俺のスキルは
【瞬間加速】効果:自分以外のものが2秒間に限り遅く見える。再使用までの時間は2分間。
だ。」
「では、そうですね。あそこの木からこちらまで、スキルを使って走ってみてください。」
と言ってラインランが離れた場所にある木を指さす。
スキルが正常に発動すれば、目に負えないスピードで走ったように見えるはずだ。
「了解、ちょっと待ててくれ。」
そう言って走っていく。
「じゃあいくぞ~!」
「OK!」
叫びあう。
「3・2・1、スタート!!」
走り出した、と思ったらすぐ近くまでやって来ていた。
瞬間移動のように見える。
「成功、ですね。では次に私が石を投げるので、それを打ち抜いて下さい。」
2分間時間をおき、ベルセラが右手のスナイパーライフル[ダシング]をかまえる。
命中補正でリアルのようにスコープは見なくてもいいようだが、判定はシビアだろう。
「では投げます。」
そう言って手のひらにスッポリ収まるくらいの小石を放る。
ドンッ!
[ダシング]が大きな音を発する。
しかし小石には当たっていなかった。
「これ難しいな・・・。こっちのアサルトライフル[エンスジアスト]の方が命中が高いはずだ。もう一回試す。」
そう言って左手で発砲練習をしている。
2分があっという間に経つ。
「よっしゃ!こい!」
「分かりました。はいっ!」
ギャン!
放った小石を、今度は[エンスジアスト]が正確に捉える。
俺はベルセラに聞いてみる。
「ベルセラにはどんな風に見えてたんだ?」
「そのまんまだよ。小石がスローで動いてたから、少し先を予測して撃っただけだ。さっきの[ダシング]は衝撃が強すぎて少しぶれる。」
こいつ・・・ドヤ顔ホント殴りたくなるな。
「いい感じですね。」
「ああ。じゃあ最後はラインランさんだけど・・・。」
「そうね。私のスキルは
【朱霊気】効果:炎属性の放出系魔法の威力増大。先天的に炎属性の基本魔法を使用出来る。
放出系魔法というのはファイアボールやヒートストーム等の炎を具現化して使用、攻撃する魔法のことです。放出系の他に、武器や拳に魔法を纏わせる付加系があります。」
「ラインランは炎属性以外の魔法も使えるのか?」
使えれば比較出来るが・・・とも思ったが、
「無理ですね・・・。スキルを買えば使えるかもしれませんが、意味がなさそうなので買わないつもりです。」
「そうか・・・じゃ魔法使ってみてくれよ。」
「そうだな、俺も見てみたい。」
俺ら2人に言われ、何かを呟く。
おそらく呪文だろう。
「وإحدى أكثر اللغات انتشارًا ف いでよ火の球、全てを焦せ ファイアーボール!」
唱え終わると、バスケットボール2つ分くらいの火の球がラインランの頭上に現れた。
そして彼女が大きな岩を指さすと凄い勢いで飛んでいき・・・
ゴォォォン!!
といって岩の3分の1ほどが削れてしまった。
「おいアザナ、魔法かっこいいな・・・。」
「ああ、そうだな・・・。」
「これで3人とも、これから付き合っていくスキルが分かりました。では、ひとまずモンスターでも狩りに行きませんか?」
そう言って、ラインランは初めて顔を崩して大きく笑った。