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追放されたエンハンサー(戦闘補助師)、効果が見えないだけで実は上限なしでした 〜地味職だと思われて切られたが、長期戦では最強らしい〜  作者: 白石ユウト


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第6話 結果が静かに狂っている

 翌日も、俺は同じようにギルドの掲示板の前に立っていた。


 特別な依頼を選ぶつもりはない。

 単独受注可能で、期限に余裕があるもの。

 昨日と同じ基準だ。


「……これで」


 二日連続で同じ系統の依頼を取る冒険者は、あまり多くない。

 だが、理由は単純だった。


 体が、まったく疲れていない。


 ダンジョンに入る前、いつも通り補助を仕込む。

 動作は機械的で、迷いはない。


 戦闘も、やはり問題なく終わった。


 一体ずつ、確実に仕留める。

 無理な動きはしない。

 被弾もしない。


 それでも、昨日より少しだけ――早い。


「……慣れ、か?」


 そう考えたが、納得はできなかった。


 慣れで説明できるほど、差は小さくない。

 判断が速い。

 踏み込みが深い。

 集中が途切れない。


 終盤になっても、同じ調子が続く。


 本来なら、ここで動きが鈍るはずだ。


「……まあ、いいか」


 結論を先送りにして、依頼を終える。


 ギルドに戻ると、昨日と同じ受付の職員が対応に出た。

 書類を受け取り、目を通した瞬間、手が止まる。


「……昨日も、あなたでしたよね?」


「はい」


「今日も、消耗なし?」


「はい」


 職員は何度か瞬きをし、周囲を見回した。

 他の受付が忙しそうに動いている。


「……少し、確認させてください」


 奥へ引っ込み、別の職員と小声で話している。

 戻ってきた時、表情が微妙に変わっていた。


「討伐数と経過時間が……合わないんです」


「合わない?」


「いえ、記録としては正しいんですが……

 通常、この内容だと、もう少し消耗が出ます」


 言い淀みながらも、彼女は正直に続けた。


「二日連続で、同条件。

 しかも単独。

 正直に言うと……おかしいです」


 おかしい。


 その言葉を、俺は頭の中で転がす。


「でも、不正はしていませんよね?」


「していません」


 即答だった。


 職員は、少し困ったように笑った。


「……ですよね。

 記録も、装備も、全部問題ありません」


 処理は受理され、報酬が支払われる。


 だが、去り際に小さく付け加えられた。


「無理、しないでくださいね」


 無理。


 その言葉が、やけに引っかかった。


 ギルドを出て、街を歩きながら考える。


 無理はしていない。

 自覚はない。


 むしろ、余裕がある。


「……余裕?」


 足を止め、手を握ってみる。

 力は入る。

 震えもない。


 補助は、昨日と同じ。

 何も変えていない。


 それなのに、結果が変わっている。


 ――少しずつ、だが確実に。


「……積み重なってる?」


 ふと、そんな考えが浮かんだ。


 だが、すぐに否定する。


 補助は一時的なものだ。

 戦闘が終われば、効果も切れる。


 そう教わってきた。

 そう信じてきた。


 だから、深く考えない。


 考えたところで、確かめる術がない。


 俺にできるのは、いつも通りに動くことだけだ。


 ただ一つ、確かな違和感がある。


 結果が、静かに狂い始めている。


 まだ誰も、それを「異常」とは呼ばない。

 だが、確実に、基準から外れつつあった。


本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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