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追放されたエンハンサー(戦闘補助師)、効果が見えないだけで実は上限なしでした 〜地味職だと思われて切られたが、長期戦では最強らしい〜  作者: 白石ユウト


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第13話 打診

 ギルド本部の応接室は、静かだった。


 装飾は最低限。

 威圧するための豪奢さも、安心させるための温かみもない。

 ただ、決定を下す場所としての機能だけが整えられている。


 俺とセリアは、向かい合う形で席に着いていた。


 しばらくして、扉が開く。


 入ってきたのは、ロウエンだけではなかった。


「紹介しよう」


 ロウエンの隣に立つのは、見知らぬ男。

 年齢は中年。

 服装は冒険者寄りだが、所作に無駄がない。


「運営部特別監査官、ハロルドだ」


 “特別”という単語に、セリアの指がわずかに動いた。


「本題に入ろう」


 ロウエンは腰を下ろし、こちらを見る。


「君たちには、協力を要請したい」


「協力、ですか」


 俺が問い返すと、ハロルドが口を開いた。


「名目上はな」


 正直すぎる言い方だった。


「実際には、観測だ。

 そして……管理」


 言葉を選ぶ様子はない。


「拒否権は?」


 セリアが即座に聞いた。


「ある」


 ロウエンは頷く。


「だが、拒否した場合でも、

 君たちの記録取得は続く」


 それは、拒否しても無関係ではいられないという意味だった。


「理由を」


 セリアは一歩も引かない。


「基準が壊れかけている」


 ロウエンは淡々と答える。


「ギルドは、再現可能な強さを前提に回っている。

 君――レインの補助は、その前提を否定する」


 視線が、俺に向く。


「力を持つ者に、自由は与えられない」


 以前にも聞いた言葉だ。


「だから囲う。

 壊れる前に」


 部屋の空気が、少しだけ重くなる。


「協力内容は?」


 俺は、ようやく口を開いた。


「指定依頼への参加。

 分析職の同行継続。

 記録の提出」


 ハロルドが補足する。


「代わりに、身の安全は保証する。

 報酬も、通常の枠を超える」


「……管理下、ということですね」


「そうだ」


 隠さない。


 俺は、少しだけ考える。


 追放された時、選択肢はなかった。

 切られるか、切られないか。


 だが今は違う。


「即答は、できません」


 そう言うと、ロウエンは眉を動かした。


「理由は?」


「条件を整理したい」


 その言葉に、セリアがわずかに口角を上げた。


「条件?」


「はい」


 俺は、二人を見る。


「協力するかどうかは、

 その内容次第です」


 ハロルドが、少しだけ目を細めた。


「……交渉するつもりか」


「交渉、というほどのものでは」


 俺は静かに続ける。


「俺の補助は、見えない。

 だから誤解される」


 一拍置く。


「誤解されたまま使われるなら、

 協力しません」


 部屋に、短い沈黙が落ちた。


 ロウエンは、しばらく俺を見てから言った。


「条件を聞こう」


 その一言で、立場が変わった。


 追放された補助職は、

 管理される存在から――

 条件を出す存在になり始めていた。


本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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