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『家賃500Gの欠陥住宅』に住み始めたら、S級英雄たちが勝手に『聖域』認定して国家予算を溶かし始めた件 ~魔王軍が「推し活」の邪魔だと秒殺されていくのですが、私の勘違いでしょうか?~  作者: あとりえむ
【第二章】魔王軍続々襲来!?解釈違いの聖戦(レスバ)に巻き込まれて、いつの間にか伝説の演武を披露していました。

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第17話 ゴリラポーズは、猛獣使いの聖なる威嚇

 「屈伸」で体をほぐしたミミは、満足げに汗を拭った。

 隣では、いつの間にか「一番弟子」になったゼファー(魔王軍・暗殺部隊長)が、直立不動で待機している。


「よしっ、ゼファー君も筋がいいね! 次はもっと力強い動きだよ!」

「はッ! ご指導お願いします、師匠マスター!」



 ミミが『古代健康儀式ラ・ジオ』第二の構えを取ろうとした、その時だ。



 ジュウウウゥゥ……。



 鼻の奥にへばりつくような、強烈な硫黄と焦げた油の臭いが森に充満した。

 湿った空気が一瞬で乾燥し、まつ毛がチリチリと焦げそうなほどの熱波が押し寄せる。


「……見つけたぞ。我が同胞ガランドを星にしたのは、貴様らか」


 揺らめく陽炎の向こうから現れたのは、真紅の鎧を纏った長身の騎士。

 魔王軍第5師団長、『灰燼公アッシュ・ロード』ヴォルギル。

 王都を火の海に変えている張本人が、ミミの庭に降臨したのだ。


「師匠の儀式を邪魔するな……」


 ゼファーが瞬時にミミの前に立ち塞がる。

 その両手に、空間を歪めるほどの真空の魔力が収束していく。


「消えろ、ヴォルギル。その五月蝿い口ごと、特異点まで圧縮してやる」

「裏切り者が……! ならば貴様ごと焼き尽くすのみ!」




 真空と爆炎。

 二つの殺意が衝突し、森が吹き飛ぶ――その直前。





 ドスンッ!!





 二人の間に、小さな影が割り込んだ。

 ミミだ。

 彼女は両肘を直角に曲げ、拳を握りしめて力こぶを作る「ガッツポーズ」を取りながら、深く腰を落としていた。


 通称――『ゴリラポーズ』――。


「もう! 喧嘩はダーーメッ!!」


 ミミは頬を膨らませ、真っ赤な顔で二人を睨みつけた。


「場所の取り合いなら、半分こしなさい! ふんぬーっ!(威嚇)」




「な……ッ!?」




 ヴォルギルの動きが止まった。

 彼の目には、その奇妙なポーズが「異質の威圧」として映ったのだ。


(こ、この構えは……なんだ!? 心臓も喉元もガラ空きだぞ!?)


 歴戦の猛者であるヴォルギルは、ミミの無防備さに戦慄した。


(違う……これは誘っているのか? 『どこからでも焼いてみろ、貴様の炎などそよ風だ』と……? なんという王者の風格……!)


 さらに、ミミの「ふんぬーっ」という表情。

 ヴォルギルは、そこに自身の母親のような「聖なる怒り」を見た。


(俺は……叱られているのか? この絶対強者に、駄々っ子のように諭されているというのか……?)



 ドクン。



 ヴォルギルの胸の奥で、何かが弾けた。

 それは恐怖ではない。もっと熱く、ドロドロとした――信仰心への書き換え。


 ミミの固有スキル『不可避なる聖女の福音イノセント・カタストロフィ』が、彼の脳髄をピンク色に染め上げたのだ。


「くっ……あ、熱い……! 俺の灼熱魔法よりも、この胸の動悸の方が……!」


 カシャン。

 ヴォルギルの手から剣が落ちた。


「す、すまない……。俺が、熱くなりすぎていたようだ……」


 彼は顔を真っ赤にしてうつむくと、大人しくゼファーの隣に並んだ。

 そして見よう見まねで、不器用に肘を曲げて腰を落とす。


「こ、こうか……? 師匠……」

「うんうん! 仲直りできて偉いね!」


 ミミはニコニコと頷くと、改めて掛け声を上げた。


「それじゃあ、ご一緒に! ゴリラポーーーズ!」




 森に平和な掛け声が響く。




 一方、王都。

 魔王(本体)の侵攻により、王族たちは最後の希望である「地下大要塞シェルター」へ殺到していた。


 だが、その鋼鉄の扉は、内側から完全にロックされていた。


 扉には一枚の張り紙。『現像中のため立入禁止。国家機密(ミミちゃんの未公開映像)保管庫につき、防衛レベルMAXで封鎖中 ――暗殺ギルド長』。



「ギルド長ォォォ!! 国の避難所を勝手に『推し活倉庫』にするなァァァ!!」



 締め出された大臣たちの絶叫が、紅蓮の炎の中に虚しく響き渡っていた。






────────────────────

【裏トーク:至高のミミちゃんを見守る会(Online: 5)】


@氷結の獅子

ぶはぁっ!!(吐血)

見たか!? 今の『ふんぬー顔』!!

怒ってるのに!! ちっとも怖くない!!

むしろ「ごめんなさい一生ついていきます」って土下座したくなる、あの母性!!

養いたい……いや、養われたい……!!


@新入り聖騎士

あーーーん! 尊すぎて無理ィィィ!!

あの二の腕! 力こぶを作ろうとしてるのに、ぷにぷにしてる柔らかそうな質感!

あの腕に絞め落とされるなら本望よ!!

(スクショ連打音)


@課金は酸素

……分析完了。

ヴォルギルの脳波パターンが、攻撃色(赤)から、完全服従色(桃色)へ書き換わりました。

チョロいですね、魔王軍。


[System Alert] -----------------------------

User: @Demon_General_Bugs joined automatically.


@Demon_General_Bugs

……チッ。

あの灼熱の中で「熱いよぉ……」って泣き叫ぶミミちゃんの絶望顔が見られると思ったのに……。

なんで逆に支配されてんだよ。

ヴォルギル、貴様まで……魔族ならもっと蹂躙しろよ。つまんねーな。


@氷結の獅子

うるさいな虫。

ミミちゃんの「ゴリラポーズ」は世界平和の象徴だ。

貴様の同僚も、その真理に触れて浄化されたんだ。

むしろ祝福しろ。


[System Alert] -----------------------------

EMERGENCY WARNING

Royal Castle Main Gate: DESTROYED.

Invader: The Demon King (Main Body)

Status: RAMPAGE (Enraged)


@Demon_General_Bugs

おっ、キタキタ!

見ろよこの通知! 魔王様ボスが自ら城門を粉砕して侵入したぞ!

「余の部下が次々と謎の儀式に洗脳されている……許さんぞ人間!!」ってブチ切れてる!

ははは! いい気味だ!

貴様らがアイドルの追っかけごっこをしてる間に、守るべき国が灰になる気分はどうだ?


@新入り聖騎士

あー、もう! うるさいわね!

今, ミミちゃんが次の「腕を回す運動」に入るところなのよ!

あの遠心力でスカートがふわっとなる瞬間を見逃したら、あんたをミンチにするわよ!?


@Demon_General_Bugs

は?

いや、だから国が……王様が死ぬぞ?

しかも聞いたぞ、「地下シェルター」に入れないんだって?

貴様らが私物化してロックしたせいで!

傑作だなオイ! 自業自得で滅びろ人間!


@課金は酸素

……報告。

魔王の進軍速度が予想以上に速いですね。

振動で撮影にノイズが入ります。

これはいけませんね。


@氷結の獅子

……チッ。

ミミちゃんの儀式が終わるまで、あと3分か。

おい、クリスティーナ。

お前の家の倉庫に余ってる『聖女の結界石(国宝)』、あと何個ある?


@新入り聖騎士

え? あと500個くらいあるけど?


@氷結の獅子

全部王城に投げとけ。

時間稼ぎだ。

ミミちゃんの「深呼吸」まで、一秒たりとも邪魔はさせん。


@Demon_General_Bugs

……は?

国宝500個? 時間稼ぎ?

お前ら……国の価値をなんだと思ってるんだ……?

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