二人の技能
「Bランク……いえそれ以上の能力があるのはわかりました。ですが、すぐにランクを上げるのは立場上難しいです。ここは下から3つ上のDランクからスタートでお願いします。後は絡新婦さんがクエストをこなして上げていく事になります」
「わかりました」
「後は知導君、だっけ。君はどうしたい?」
「どうするって?」
「冒険者になる気はない?まだ未成年だから本格的な登録にはならないけど、ここで仮登録したら後はスムーズに冒険者登録になるわ。仮契約でも身分証明になるし、街や国に行った時の通行許可書になるしね」
(なるほどな)
「わかりました。仮契約でお願いします」
絡新婦が冒険者となるなら知導の道も同じ。
離れるつもりは毛頭ないのだから。
「決まりね。じゃ、こっちについてきて」
「おいおい、俺は置いてけぼりか?」
スタスタと歩く三人をアエンは小走りで追いかけていった。
―――
「ここは鑑定部屋。種族と能力を見る場所よ。さ、絡新婦さん、この石に手を付けてください」
絡新婦は頷くと石に手を付けた。すると文字が浮かびでる。
絡新婦、妖族。毒耐性レベル10、暗殺レベル10、技能レベル10。
「レッ、レベルカンストが3つもっ?!」
「妖族って、おとぎ話の種族だろっ?!いるのかよおい」
2人が驚く様子を絡新婦と知導は黙って見ていた。
絡新婦が毒耐性、暗殺、技能を持っている事はなんら不思議でもなんでもない。なんせ蜘蛛なのだから。
「取り乱してすみません。とりあえず、次は知導君ね。お願い」
「はい」
ペタリと知導は石に手を付けると、今度は日本語で文字が浮かび上がる。
そこには―――
知導、半神。絡新婦の伴侶。と書かれてあった。