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プロローグ
「絡新婦。これでお別れだ」
「ええ、そうですね」
穏やかに言う青年、知導の腹には大きな穴が空いていた。そんな彼を抱きしめ絡新婦と呼ばれた蜘蛛の妖怪は唇を噛む。
人の望みを叶えるために力のある妖怪が作った娯楽、百鬼大戦。支持者の人が死ぬ、もしくはパートナーの妖怪が死ねばゲームは終わる。シンプルながら残酷な娯楽。それが百組で行われた。
知導達は最後の戦いでーーーいや、まだ負けたわけではない。
絡新婦は優しく知導を寝かせ、その額に口づけをすると、優しく穏やかな表情とは一転し、敵にとてつもない殺意を浴びせる。
爆音が遠くから聞こえた。悲鳴のような声も……
そこからなにがどうなったか分からない……知導はゆっくりと重い瞼を下ろした。