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お久しぶりです

そう言えば、投稿していなかったなと思い浮上しました。

お楽しみ頂ければ幸いです。

「は~い、キタ部長、これが頼まれていた内職全部ですよ〜」


翌日の放課後、俺は自習部に顔を出していた。

先日、承ったキタ部長の課題を彼女に手渡すためである。


「おおおおおっ〜〜!!ほ、ホントに全部やってきた!?やってきちゃったの!?」


俺が取り出すノートをまじまじと見ながら唖然とした表情を浮かべるキタ部長。

依頼していた課題が返ってきた喜びとこんなに早く来たの?という驚きが入り交じった声だ。


「あったりまえじゃないですか。俺は、一度約束したら最後まで貫き通すことで有名ですよ??」


「なにそれ、初めて聞いた」


うん、俺も初めて言った。


ノートを受け取るキタ部長のジト〜という視線を受けながらもニコニコ笑顔で切り抜ける。キタ部長は課題の中身を確認すると感心したように感嘆の声を漏らした。


「ひょええ…ほんとに全部やってあるよ。これ、1日で終わらせるとか、ほんとどうかしてるぜ…」


「ひとつあたり、1時間くらいでしたからね。大変っちゃ大変でした」


「そらそうでしょうよ。あたしだって、1週間で終わればいいな~くらいに思ってたし」


あれ?

そうなの?

もしかして、急ぎのやつじゃなかった?テストも近いしてっきり……

そうだとしたら、俺の頑張りは……


「ムダだったのか?」


「えっ??あ~!いや??ぜんぜん??むしろ、早くて助かったかも!課題なんて早く提出すればするだけいいもんね!」


珍しくキタ部長が至極当然なことを言っている。

きっと明日は猛吹雪だ。


「と、とにかく座んなよ。いま、お茶出してあげるから」


そう言ってキタ部長が招き入れる目先には雑多なお菓子とティーセット。


「キタ部長?」


これはどういうことか?という視線を向けるとふふんと自信ありげに自分の胸に手を当てる。


「どう??生徒会が使ってたやつを借りてきたの」


「そうですか。盗ってきちゃダメですよ?ちゃんと元の場所に返してきましょうね」


「ぬ、盗んでないもん!ゆきゆきのばか!」


「え?そうなんですか?」


「あたりまえじゃん!ちゃんと許可貰って借りてきたっての!?」


「よ、よく許可が下りましたね……」


このご時世、学校の備品を自習部に貸し出してくれる団体がいるというのが驚きだ。

もう、彼らは絶滅したんじゃなかったのか?

ニホンオオカミに出会った気分である。


「ゆきゆき~?なんか、失礼なこと考えてない~?」


「いや、別にいつものことですから気にしないでください」


「ちょっと、待って!いつも考えてるってこと?!」


しまった口が滑った。

余計なことを口走ったな。


キタ部長からのジト~っとした視線をかわしつつ、俺はいつもの場所に腰かけた。


「ほんとは帰るつもりでしたけど、俺も勉強やっていきますかね。テストも近いですし」


「うわあああ。ゆきゆき、そんなこと言うのやめてよぉ〜!聞きたくなぁ〜い!」


「キタ部長?テストはどうにも出来ませんからね?自分で頑張ってください?」


「うえぇぇ?替え玉受験とかダメかなぁ?ほら、ゆきゆきが私に変装して受けに行くとか」


「見つかる前に捕まりそうなんでやめてください」


きっと自宅前で補導されてしまう。


「え〜?ゆきゆきって、顔ちっちゃくてかわいいから、女装も全然いけると思うんだけどなぁ〜?」


「無理です。そんな趣味ありません」


「え〜?そお……?あ〜!わかった〜!あたしのこのキュートでぴちぴちなボデイには敵わないってかぁ〜??」


そう言って自称セクシーポーズをとるキタ部長。

それを見るまでもなく俺は、問題集を広げながら返事をした。


「あ〜はいはい、そうですねぇ〜」


「あっ〜!また、空返事してるぅ〜?ねぇ?そんなにあたしと会話したくない?」


トコトコと近づいて来たかと思ったら身体をゆさゆさ揺さぶられ、ペン先がブレる。

これでは、解答どころではない。


「キタ部長」


「ん~?なにぃ?」


「するしないの問題じゃなく時と場合を考えてください。今は部活中です。みんな、集中して勉強してるんですよ?」


「うぅ……もちろんわかってるよ?でも、あたしのやること全部終わっちゃったし」


「それ、終わらせたの間違いです。どさくさに紛れて自分の手柄にしようとしないでください」


「ありゃりゃ、バレちゃったか」


まったく、油断したらすぐこうだ。

いくら由紀を連れまわしてもらうためとはいえ、内職を全部やってやるのは間違いだったな。


「…うるさいですよ」


ほら、時間の問題だと思ってたがやっぱりだ。


「え〜?ミコミコ?今から静かにしようとしてたじゃん」


「それなら、最初から静かにしててください。集中できないので」


「はぁ〜い」


「それと、貴方もいい加減うるさいです。諌めようとするのは結構ですけど一緒になって騒いでいたら同罪ですよ?」


「わかってるよ。俺だって真面目に取り組もうとしてたんだ」


「ふん……そうですか。あれだけ私を挑発したのですから無様なところは見せないでくださいね」


「当たり前だ。完膚なきまでに叩き潰す」


「え?ちょっと、どうしたの?2人とも」


俺たちの会話を聞いていた由紀が会話に割って入ってきた。俺の捉えるその瞳からは驚きの色が隠しきれていない。


「まあ、わけあって次の定期考査で勝負をすることになったんだ」


「へぇ!?勝負ぅ!?なになに、おもしろそ〜!」


キタ部長が目を輝かせて乗り出してくる。

うん、まあ…こう言うの好きそうだもんな。


「お手伝いをかけて勝負してるんだ」


「お手伝い?」


由紀が首を傾げる。

まあ、本当のことを言えないので前回使った祝勝会を今度も使い回させてもらう。


「ああ、例のアレだ」


キメ顔で言ってみせるとうまく察してくれたようで盛大にため息を吐かれてしまった。


「あれは、幸成がやるんじゃなかったの……?」


「人の力を借りてはいけないとは言われてない」


「………ものは言いようね」


由紀は気疲れした様子でこめかみを抑えた。

いや、ほんとは違うんだけどね?


もっと、めんどくさいことに巻き込もうとしてるだけだから。

そんな顔しないで?


心の中でしきりに俺は由紀を説得していた。


くそ……隠し事がこんなにもどかしいとは……

まったく、福城先輩も無理難題を言ってくれる。


しかし、これまでの恩義で協力すると言ったのも俺。

つまり、セルフ縛りプレイだ。


「まあ、勝てば…の話だから」


お手伝いは無条件ではない。

勝負に勝つことで初めて協力を取り付けられる。


「そうなのね。で?どういう条件で勝負してるの?」


「それは、私が全教科の合計点数で冬峰さんに勝ち、3教科合計点数で三末くんに勝つことです」


それまでずっと俺たちの喜劇を聞いていた相永が口を開く。


「へぇ……そうなのね……って、どうして私がいるの?」


「さぁ、知りません。彼が持ち掛けた時に最初に提示したのが私と冬峰さんの勝負でしたから」


「ちょっと?これは、一体全体どういうこと?私、初耳なんだけど?」


「ほ、ほら、どうしても負けられない戦いには最強の手札をきれって言うだろ?それを使ったまでだ」


「私、幸成の手札になった覚えはないわ」


「だから、俺だって参加しただろ?最終的には、俺との3教科勝負だけでいいって言ったんだ。だけど、相永が由紀とも戦うっていうから」


「そうなの?」


「はい、そうです。小物のくせに散々煽ってきたのでその安い挑発に乗ることにしました」


「ふぅん……なるほどねぇ……」


クルリと振り向いた由紀が深い笑みで俺を見つめてくる。


あ、あれ……?

雲行きが怪しいぞ?

おっかしぃなぁ……こんなはずではなかったんだが。


「幸成?」


「ハイ」


「あとで正座」


「ハイ…」


こうして、あとでお説教が確定した。


くそぉ……こんなことなら、大人しく家で勉強してればよかった。

相永のかわいそうな人を見る視線が突き刺さる。


そんな顔してられるのも今のうちにだからな…絶対勝って協力してもらう。


小さく拳をギュッと握る俺に対して、横から先輩が優しく「ドンマイドンマイ、よく頑張ったよ。偉いじゃん」と背中を叩いてくれる。


うん、だから俺はまだ負けた訳じゃないからなっ!?

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