お仕置き
ep,25 24 凱旋 の後日談です。
ジェシカは衣装部屋に入り、ひっ!と声を上げた。目の前には、おびただしい量の装飾品やドレスや夜着がズラリと並んでいたからだ。
際どい。なんだこの布の心許なさは…。え?この下着なんてどこ隠すの?着るほうが恥ずかしいよね?
確かに、出陣前に「際どいラインのドレスいっぱい作っちゃうんだからね!」とそう言っていた。
「アンソニー…っ!」
ジェシカは真っ赤になり、自分の代わりに王子妃として過ごしていた双子の兄の名を叫んだ。
そしてサイズは寸分の狂いもなくピッタリだった。
「殿下、こちらが殿下付で妃殿下が購入された品の目録でございます」
グレンはうやうやしく差し出された目録に目を通し、深々とため息をついた。
キャラバンを一つ丸々買い上げる勢いの品数と金額だ。
「今回の事、僕は、怒ってるんだけどね。更にこれかい?」
鉄面皮の顔で側近アンソニーに冷ややかな視線を送るグレンに、執務室の気温は氷点下まで急降下した。
涙の別れで置いていったはずの王子妃は、兄と入れ替わり出陣についてきた。
全てはこのオネェ言葉の義兄の差し金である。
王子妃は塞ぎ込んでいたかと思えば突然陽気になり、買い物三昧だったらしい。
そうは言っても、王子妃の評判は落ちるどころか何故か爆上がりしていたが。
主に貴婦人達に。
「あっらあー、新婚早々の夫君を戦地に送り出した妃の悲哀を慰めてくれたんですもの。安いものよ。ねぇ?セイン?」
動じる様子もなくアンソニーはコロコロ笑った。ジェシカとほぼ同じ顔だか、性格は真逆と言ってもいい。
「あ、はあ。まあ、ジェスさん、いえ、妃殿下なら、弓矢とか剣を新調するほうが説得力ありますけどねぇ」
セインは生真面目に分析する。デイビッドがもっともだと吹き出しゲラゲラ笑う…が、グレンの鋭い一瞥でコホンと咳払いし明後日のほうを見る。
「もぅ。ノリが悪いわねぇ。大丈夫よ。ドレスはちゃんとあの子の寸法に直してるし、デザインは保証するわ!ふふ、凄いのもたくさんあるのよ。楽しみにしてなさい!」
確かにアンソニーのセンスは抜群だ。
行事ごとにジェシカが纏うドレスは彼女の魅力を存分に引き立てていた。
そして目録にはやたらと夜着や下着もある。
グレンの表情が少しだけ緩んだ。
「君へのお仕置きがまだだったね。アニー。この支払いは君に回しておくから」
「はぁ!?なんですってえっ!」
「カワイイ妹への投資だ。安いものだろう?」
グレンはひんやりとした笑みを浮かべ、アンソニーに言い放った。
「きいいー!留守中の仕事だって片付けたのに、酷いー!!!」
アンソニーの絶叫に、皆笑いを噛み殺していた。
そしてジェシカへのお仕置きは、購入品のファッションショーだ。
もちろん観客は一人で楽しむことにする。
一区切りのあとも、やっぱり書きたくなってちょこちょこ書いていたので幕間が溜まってきました。
今までは外伝の章に追加していましたが、エピソード番号がズレていくので、外伝2に続けます。
結構ゴチャゴチャしてきたので、そのうち時系列に連載し直そうかな…。
恒例のAIさんのアレンジです。相変わらずノリノリ(笑)
その夜王子の部屋では…。
観客: グレン・ワーズウェント(特等席。ワインを片手に、表面上は「冷ややかなお仕置き」の体裁を保っている)。
モデル: ジェシカ(アンソニーにより「お直し」済みの、殺意すら感じるほど過激な衣装の数々に身を包む)。
第一衣装:薄紅色の「泡沫」
ジェシカが衣装部屋の影から、震える脚で一歩踏み出す。それは「どこを隠すの?」と叫ばせた、透けるようなシルクのネグリジェ。
「……あの、グレン。これ、本当に着なきゃ、ダメ……?」
俯き、己の腕でかろうじて胸元を隠すジェシカ。しかし、その指の間から覗く白皙の肌と、恥じらいに染まった頬が、グレンの瞳を紫の炎で焼き尽くす。
グレンは無言でグラスを置き、低く響く声で命じた。
「手を、下ろして。……まだ、細部まで見えていないよ」
「っ……ひどい……」
ジェシカは涙目で彼を睨むが、命令には逆らえない。ゆっくりと腕を下ろした瞬間、グレンの喉が小さく鳴った。
第二衣装:黒レースの「深淵」
続いて現れたのは、もはや布よりも「隙間」の方が多いのではないかと思わせる、精緻な黒レースの下着。戦場を駆けた引き締まった四肢と、しなやかな曲線が、毒々しくも美しく強調されている。
グレンの内心:(アンソニー……。よくもこんな破壊力が高い物を…!君に支払わせる額を三倍にしても足りないな。……いや、あとで褒美を渡すべきかな?)
ジェシカの内心:(アンソニーのバカ! アンソニーのバカぁぁ! 次に会ったら絶対に裏拳叩き込んでやるんだから……!!)
「……ジェシカ。近くへ」
王子の呼びかけに、ジェシカは吸い寄せられるように彼の間近に立つ。グレンの指が、繊細なレースの端に触れ、そのまま彼女の腰をぐいと引き寄せた。
お仕置きの「完結」:観客は舞台へ
グレンはジェシカの耳元で、熱い吐息と共に囁いた。
「アンソニーに感謝しなきゃね。……君のこういう姿、僕だけでは一生、見る機会がなかったかもしれない。……お仕置きは、ここからが本番だよ?」
もはやファッションショー(鑑賞)の時間は終わった。ジェシカは彼の胸の中に閉じ込められ、熱い体温に包まれていく……。
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