元第二王妃
もう一人のヒロインその後
ベスは今日も1日平穏に過ごせた事に感謝する。
もうすぐ5歳になる息子のルーカスはベスの宝物だ。
ベスに似た赤毛にタレ目がかわいくていつも抱きしめてしまう。
この子が産まれてくれた奇跡を、どう言い表したら良いのだろう?
今生きているのもこの子のおかげだと思う。
父親はいないが、素直にまっすぐ育ってくれて何よりだ。
周りはしきりに再婚を勧めるが、ベスの心から愛するのは一人だと決めている。
「お墓参り、行きましょうか?」
「ねぇおかあさん。お花は黄色がいいかな?白がいいかな?」
ルーカスは母に似て花が大好きだ。
「そうねぇ。王弟殿下は明るい方だったから黄色かしら」
「王弟殿下はお母さんやみんなを助けてくれたりっぱな人だったんだよね?」
「ええ。ワーズウェントの王子さまに掛け合ってくれたのよ」
ブレイグ王弟とワーズウェントの王子の絆がなければ、戦争はまだ終わっていなかったかもしれない。
「お父さんのお墓もあれば、毎日お参りにいくのになぁ。せんそうで死んじゃって、お墓がつくれなかったんでしょ?」
ベスは困ったように微笑んだ。
「そうね。私のところへは一房の髪とあなたしか残らなかったわ」
王弟が父親だと言うことは息子には告げないつもりだ。
息子には本当の事を告げないと言いながら、王弟としての最後もきちんと息子に伝えたいリーザ。
リーザの名はロバートと過ごした時の名前として大切に取っておき、今はベスと名乗っています。
前後して話によっては。リーザの名で語るときもありますが…。
あ、ルーカスはリーザ似です。
【お知らせ】
短編でジェシカのスピンオフ外伝を別シリーズとして上げてます!
パラレルのつもりでしたが、意外と本編にリンクさせても違和感ないような…?
よろしければそちらもご覧ください(*^^*)




