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双子の育児

子育ては待った無しです

「眠れない………。」


 今日もジェシカは乳をせがむ双子たちの泣き声で目が覚める。ついさっき、倒れ込むように寝たばかりなのに。

 一月前に産まれた双子は黒髪がロビン、銀髪がアレンだ。

 アンソニーとジェシカも二卵性の双子で、小さい頃は見分けがつかないくらいそっくりだったが、ロビンとアレンは全く異なる容姿だった。

 この子達は何をするのにも同時でないと気がすまないらしく、一人が泣き出したらもう一人も間髪入れず泣き出し、オムツも授乳も抱っこも全部同時だった。

 乳母やキャロラインも手助けしてくれたが、その度に盛大にぐずるので、結局すべてジェシカが世話する事になり、乳母はそのサポートに留まっていた。

 唯一、グレンが抱き上げる時だけはご機嫌になり、特にロビンは大喜びだった。

 子どもの世話はワーズウェントに来るまではよくしていたらしく、素晴らしい手腕だった。

 オムツも手際よく替えてくれるが、乳母が血相を変えて騒ぐので、子どもたちが泣き出す前にオムツの確認をしてたまにこっそりとしてくれるくらいだった。

 それでもグレンがいるときは少し長く眠れるので、せっかくグレンが来てくれてもほとんど顔を合わせられなかった。  


 双子だから、2倍の労力がいる。ジェシカもアンソニーと双子だったから、母も大変だっただろう。

 自分達が小さい頃に亡くなってしまったが、過労だったのではなかろうか。

 ジェシカも双子を授かったので、母からの遺伝かもしれない。なら本当に過労で死んでしまったらどうしようかと思うぐらい辛かった。


***


 まとまった睡眠を取れて、久々にスッキリと目が覚めると、グレンが横のイスでうたた寝していた。あと少しで授乳の時間だが、双子もぐっすり寝ている。

 戦争復興の激務の合間を縫ってこうして世話をしてくれるグレンには、ただただ申し訳ない。

 補佐官のはずの自分が全く役に立っていないのだ。妊娠中もつわりが続き臥せっており、ろくに役に立てなかった。

 まあ、世継ぎを産むことは一番の仕事ではあるのだが。

 出産自体は医師の見立てよりだいぶん早産だった割に安産で、すこし小さめなくらいで子どもたち も健康体だった。


 産まれた双子を初めて見たとき、グレンはボロボロに泣いていた。そしてジェシカを抱きしめ


「ありがとう……、本当にありがとう……」


 と嗚咽しながら何度も繰り返した。

 二人の名前はグレンが考えてくれたが、なんとなく、王弟とグレンを連想する名前だったのは気の所為ではないだろう。

 こころなしか、ロビンは王弟の面影があるようで困惑した。


 しかしそんな疑問も日々の忙しさに忙殺される。

 ジェシカはロビンとアレンを抱え、乳を含ませる。

 幸い母乳の出が良く、二人とも汗をびっしょりかきながらぐんぐん飲む。

 首の座っていない乳児の頭は小さいのに手首がしびれるほどずっしり重たく、身体の節々が痛くなった。

 んっくんっくと一生懸命乳を飲む姿は生を体現しているようで微笑ましい。

 微笑ましいのだが、身体は悲鳴を上げている。


「いつになったら楽になるのかなぁ」


 ジェシカは深々とため息をついた。













女性としてのアレコレをほったらかしていた分、ジェシカは女性である事の大変さを痛感してますね。それでも、親となったら時間は待ってくれません。前準備がない分大変なのはしょうがないですね

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