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幕間 余談2

 クラウディア姫とアンソニーのその後の物語です。

 グレンとジェシカをブレイグに送り出し3ヶ月が過ぎた。

 ジェシカはブレイグに到着早々、懐妊が分かったらしい。知らせを聞きアンソニーは驚いた。ジェシカとデイビッドからそれぞれ報告がきた。

 なんとあの王子が避妊に失敗するとは。

 出征前は子どもは落ち着いてからと言っていたのに。

 戦争のせいで新婚早々激務続きだったため、ほとんど寝室に帰れない日々が続いていた。だから、もうしばらく二人でいたいと言うのも、わからないではなかった。

 グレンについて行ったデイビッドからの手紙には、それはもう甲斐甲斐しく世話を焼く王子に、一同胸焼け気味なぐらいだそうだ。

 カワイイ妹を連れて行ったのだからそれぐらい当然だが。


「お姉様〜。私、おじさまになるらし〜わ!」


 いつもの口調でアンソニーはワーズウェントに残された唯一の王女であるクラウディアに報告した。グレンは王位継承権の返上を仄めかしていた。


「私宛にもグレンから報告が来たわ!私の甥か姪もできるのね!あ〜、ホッとしたわぁ」


「あら、どうして?」


「後継者候補が増えれば、私の重圧も減るでしょ?私はいつ結婚するかもわからないしねぇ」


 結婚と聞き、アンソニーは酷く驚く。

 考えてみれば弟の王子が子まで成したなら、クラウディアもとっくに嫁いでもいいくらいだ。そんな話が持ち上がっているのだろうか?


「お姉様、縁談が来てるの?」


「それは来てるわよ」


「えー!誰と!?お嫁に行っちゃうの!?」  


 アンソニーは酷くショックを受けた。

 せっかく理想の上司に会えたのに!

 いや、それ以上にモヤモヤした気持ちになる。


「行かないわよ。グレンが思い直さない限り私が王位を継がなきゃでしょう?だから、お婿さんに来てもらわないとね」


 クラウディアはもう腹をくくってるようだ。


「じゃあ、縁談は?」


「降嫁してほしい所ばかりなので、お断りしているわ。そのうち募集しないとだわね。もういい歳だし」


 クラウディアはアンソニーにいたずらっぽく笑いかけた。


「あなたが来てくれれば一番なんだけど」


「え!?わたしでいいの!?」


 あまりにも軽く振られ、アンソニーは冗談かと疑った。付き合ってすらいないのに、婚姻を打診するなんて。


「もちろん大歓迎。だけど、あなたも侯爵家の後継ぎだし、無理は言えないわ」


 クラウディアはため息をついて苦笑いした。

 確かにアンソニーは侯爵家の跡取りだ。だが、現侯爵は老けて見えるがまだ40歳そこそこだ。

 意外にも亡くなった母に純愛を捧げていて、再婚はしていないが。


「私もお姉様なら最高なのに………」


 アンソニーは素直に気持ちを打ち明けた。


「あら、両思いなのね!なら、子どもだけ作っちゃう?」


 クラウディアはまるでお茶に誘うような軽さで言った。

 さすがのアンソニーも、これには仰天だ。


「おおお、お姉様!仮にも姫君がそんな軽々しく!」


「あら、だって好きな人の子ども産めるって幸せじゃない。今だったら私が少し仕事を休んでもあなたが居てくれるもの」

 

「好きな人…」


 アンソニーはその言葉を反芻するように呟いた。クラウディアが、自分を、好き?子どもがほしいほど?


「オリビアも、こんな気持ちだったのかしら…」


「オリビア?」


「グレンのお母様よ。私の小さな頃、お世話をしてくれてたの。グレンが言っていたわ。お父様が憧れの人だったらしいの」


 王が酔って王妃と勘違いしてグレンができた事までは言わなかった。


「そうねぇ。未婚で子作りに抵抗があるなら、とりあえず誓いを交して、子どもが産まれたら別れれば良いのよ。そうすればあなたは侯爵位を継いで妃を迎えればいいんじゃない?」


「おおおおお、お姉様!!!酷い!とりあえずだなんて、そんな種馬扱い!」


 アンソニーも大概奔放だが、クラウディアは更にぶっ飛んでる。

 好きな人と言いながら、かなり適当な扱いだ。子どもだけが欲しいと言われているようなものじゃないか。


「だってしょうがないじゃない。あなたも私も義務を果たさなくちゃ。それが王族、貴族の責務でしょう?」


 なんとまあ、豪快なお姫様だ。アンソニーも白旗を上げざるをえない。

 だが順序はできれば守りたい。


「………わかった。父上に掛け合うから。俺が侯爵位を放棄する。爵位は叔父に継いでもらえばいい。叔父は子沢山だし。だから、他の女をけしかける事なんてしないでくれ」


「あら、急に男っぽくなったわね?」


「好きな女を口説くのに、オネエ口調はさすがに違うだろ」


「あら、口説いてくれるの?嬉しい。私はどちらの貴方でも好きよ」


 クラウディアはどこまでも軽く受け流す。

 こんな自分を気持ちよく受け入れてくれるのはきっとクラウディアぐらいしかいないだろう。


「姫…ほんとに俺でいいんだな?」


 アンソニーは真面目な顔でクラウディアを見つめる。


「ええ。今まで出会った男の中で一番好きよ。貴方じゃなきゃ嫌だわ」


「俺も姫以上の女はいない」


 戯れの逢瀬を楽しこともある。女性の経験はいくつかあるが…誰もアンソニーの心を掴むことはできなかった。

 アンソニーはクラウディアの顎に指をかける。その指に彼女は優雅に手を添え、微笑む。


「名前を、呼んで」


 余裕そうに見えるが、クラウディアの頬は赤く上気して、触れた手が少し震えていた。


「クラウディア…父上は必ず説得する」


「ええ、アンソニー。待ってるわ」


 二人はそう約束して唇を重ねあった。



 アンソニーはそれ以上の事はせず、意外にも誠実だった。クラウディアは少し物足りない気もしたが、思いが通じ合ったことは嬉しかった。

 

「なるべく早く帰ってくるから待っててね?」


 アンソニーはそう言い残して領地へ出発した。

 後継問題ではかなり揉めたが、何とか父に認めてもらい、オニクセルの双子は王族姉弟の両方と結ばれるという快挙を成し遂げたのである。

 オニクセル侯爵は後々までずっと恨み言を呟いたという。

 アンソニーとクラウディアの恋愛模様です。無事に収まりました。

 双子の自分勝手さに侯爵はがっくりです。

 誓いを交わすという表現が度々出てきますが、この世界観では結婚する事=聖女像の前で誓いを交わす習わしがあるからです。



 この話、AIに読ませたところ、何と勝手に続きを書き出し、アンソニーがブランドを立ち上げ注目を浴び、外交にも貢献した話を展開しました(笑)

 すごいなAI。

 この激重本編もAI様にコメディアレンジをお願いすると腹筋がよじれる話をいくつも上げてくれました。

 こんなに必死で入力したテキストを一瞬で読みアレンジまでこなすAI様。

 しかし、コメディアレンジはともかく、勝手に次の展開を決めてきて、ちがう!こうなるの!そうじゃない!こう!とやってるうちに、何年も停滞してた話がさくさく展開したという…。

 はい、完結できたのはAI様のおかげです!

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