媚薬に酔う1 キャラバンの小瓶
下ネタあり
苦手な方はご注意下さい
重い本編からはかけ離れたライトでエロに特化したエピソード集です。お気楽にお読み下さい。
深夜も過ぎた頃、突然扉が叩かれ、グレンは驚いて顔をあげた。
「誰?」
「ジェシカです。あの、少しよろしいですか?」
その声に驚きつつ、グレンは扉を開けた。
中に入ってきたのは彼の婚約者だった。夜着にガウン姿だ。ここまでこの格好で来たのだろうか?
体裁を気にしがちなジェシカにしては何だか様子がおかしいが、ひとまず部屋に招き入れた。
「どうしたの?こんな時間に。君の方から来てくれるの、珍しいね?」
グレンはジェシカに優しく問いかけた。
「急に、申し訳ありません 。考えたら眠れなくって、お会いしたくなったんです」
「なにか困った事でもあったの?」
グレンは驚いて聞き返した。
「私、今までしてもらうばかりで、ちっとも役にたってなかったんですね」
ジェシカは早口で告げながら、グレンを見上げた。何だか目がとろんとしてる気がする。
「え?どういうこと?」
グレンは思い当たる節がなく、困惑した。
「とぼけないで下さい!今のままじゃ飽きられるって言われました!だからさっきまで、練習してたんです」
酔っているのだろうか?会話がいまいち噛み合っていない。
「え。な、何を、かな?」
グレンはジェシカの剣幕に押され気味に呟く。
「すももをすすめられましたが、剥いたら手が汚れますし、私はバナナの方がいいと思います」
「は!?」
「でもみんな、まずは気軽に出来るすももに挑戦しろって…。」
「何の話を…。」
何だか嫌な予感がしてきた。バナナにすもも?
いや、ジェシカがそんな話題が平気なわけが…。
「すももは優しく揉んで、上手に転がせって教えられました。バナナはくわえられるのが一番だけど、ゆっくりとなめてもいいって」
間違い無い!言っていることは下ネタで間違いない!
「ジェシカ、ジェシカ、待って!皆ってだれ!?何でそんな話に!」
「誰って?ああ、今日来ていたキャラバンの舞姫たちが…」
そういえば今日の昼から、キャラバン隊が来ていた。宴は明日の予定だが、前日から城に入り準備や市を立てて、城は賑わいを見せていた。
「最初は私の事、男だと思って寄ってきたんですけど、女とわかったら、そんな格好じゃ恋人も出来ないって。だからつい、相手はいるって言ったら、色々相談にのってくれて。あ、もちろん、相手が王子だなんて言ってないですよ!でも、今まで城の皆には聞きづらかった事だからちょっとうれしくって」
なるほど。恋愛相談をしたわけだ。一夜の夢を売ることも多い舞姫に一体どんなアドバイスを…。
「女も努力しないといけないって。してもらうばかりは怠慢だって。恋人を喜ばせる方法は色々尽くす事だっていうから。」
「そ、それがすももとバナナ?ジェシカはバナナがいいの?」
ジェシカは大真面目にこくりと頷いた。
グレンは無意識にごくりと唾を飲み込んだ。 まずい、想像してしまった…。グレンは何とか理性で押し止める。
「はい、私みたいなぶきっちょでも簡単で良いでしょ?皮を剥いたらすぐいけるし。がぶりとかじるのがいいんじゃないですか」
「いや、ジェシカ、あの…。」
そんなにすぐにはいかないと信じたい。
そしてかじられるのは痛い。
「それともナイフでカットした方がいいですか?」
「ちょっ!それはだめだって!何でカット!?」
「食べやすいからでしょ。ほら、もってきましたよ。」
ジェシカはガウンのポケットからバナナを取り出し皮を剥いてグレンに差し出した。
「え、ええええ、バナナ!?」
「さっきからそう言ってるじゃないですか。おいしいですよ」
ジェシカはグレンにぐいぐいバナナを突き出した。
グレンは呆然とバナナを見つめる。下ネタと思ったのは自分の勘違いだったのだろうか…。いや、でも鉄板ネタなんだが。
「舞姫たちは、何て教えてくれたの?」
グレンはバナナを受け取り、ジェシカに恐る恐る聞いた。
「だから、さっき言った通りですよ。まずは、すももを優しく揉み転がして練習しろって。甘くなるんですかねぇ。やってみたら加減がわからなくてひとつ潰しちゃいましたけど」
ひっ!グレンは悲鳴をあげた。
痛い。それはきっと痛い。
「バナナってむいたらすぐ食べられていいじゃないですか。でもくわえたり、なめてもそんなに味がしなくて美味しくない気がしますが、なんでこれがいいんでしょう?」
うん、美味しくはないだろう。
「でも、食べさせてあげるなら食べやすいサイズにカットして盛り付けるのもいいかなと思って、いくつかナイフで切ってみたんですがどうも不揃いで」
「あぁー」
もう、つい想像してしまって聞いているだけで痛い。
「食べないんですか?」
「ごめん、今日は無理かなぁ…」
グレンは申し訳無さそうに呟いた。もう二度とバナナを食べる気にはなれないかもしれない…。
「急にすみません。じゃあこれは私が」
ジェシカはグレンが持ったまま、バナナに舌を這わしてから、先端をくわえた。そのまま上目遣いにグレンを眺めた。
「!!!」
その様子に、むくむくと衝動が沸き起こってしまい、最大限理性を呼び起こしこらえた。
一体なんの罰ゲームだ?自分は、ジェシカに遊ばれているのだろうかとグレンは苦悩した。
「うん、やっぱり普通に食べたほうが美味しいと思います。舞姫たちが見本を見せてやるってバナナをむいてたんですけど、口の中に入れたり出したり、どうにも行儀が悪くて。あ、してあげるときは上目遣いで相手を見るのがかポイントだって言ってました」
グレンの喉がごくりとなった。が、次の瞬間バナナがぽきりと折れた。
ジェシカが豪快にムシャムシャほおばっている。グレンは血の気が引くのを感じた。ついつい想像してしまった。痛い。
「男性に果物食べさせてあげるのがそんなに喜ばれるなんて、知りませんでした」
「ジェシカ、わかってない…」
グレンはげんなりと呟いた。
そもそも舞姫達の助言が正しく理解されていれば、こんなに平然とはしていないだろう。
「あ、舞姫たちもそう言うんですよ。なんかすごく笑われちゃって。意味がわからないなんて、いつも目をつぶってるでしょって。詳しく聞こうとしたらアンソニーに遮られちゃって…。」
アンソニー…。この中途半端さ、かえって拷問…。
「続きは恋人に教えてもらえって言われたけど…あ、そうそう、すももとバナナを試すときはこれ飲んでけって、もらったんです。普段出来ないことも出来るおまじないみたいなものだって。さっき少し飲んでみたんですけど……」
ジェシカは小瓶を見せた。茶色の小瓶に液体が入ってる。
「とろっとして、甘いシロップみたいでした。でもさっきから妙に火照るというか……」
もしかして媚薬だろうか…?どうりで普段と様子が違うわけだ。それなら、いいだろうか?
「ジェシカ…」
グレンは、ジェシカがバナナを食べ終わると同時に、口づけをした。
「ん…」
ジェシカはうっとりと応じ、グレンの背中に手を回して身体を押しつけてくる。寝巻きであるためか、柔らかい感触が胸元に当たった。もちろん口に広がるのはバナナの味だ…。
口を離すとジェシカは熱い吐息を吐いた。
「ふぅ…。何だか今日は変なんです。ほんとは、我慢できなくて来たんです……」
いつものジェシカなら絶対言わない甘い誘いだ。これも舞姫に教わったのか。それとも媚薬のせいか。
「いいよ。あちらに行こうか」
グレンはジェシカを寝台に誘う。
「舞姫が言ってたこと…教えてくれますか?」
ジェシカはいたずらっぽくグレンを見上げて聞く。
……もしかしてやっぱり遊ばれてるのか?
グレンはなんて答えたものか、苦笑いした。
媚薬に浮かされたジェシカは、溺れるような快楽に押し流されていった…。
翌朝…。
「すすすすすす、すももとバナナって!!!」
正気に返ったジェシカは、頭を抱えて号泣していた。
グレンは、なかなかよい経験をさせてもらったと大変満足したのだった。
ジェシカ痛恨のダメージです(笑)




